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遠い未来で生まれるかもしれない心のために


広い電子の海で私はひと粒の泡だ。
コポコポと湧き上がる仲間達と光の粒になる。

遠い遠い遥か昔。
地球に海が生まれた時のように。
荒い波が混ざり合い、やがて命が生まれる。

多様な生き物が泳ぎだす。
電子の海も今まさにそう。


きっと何処かで滅びる。
太古の生き物や文明がそうだったように。


今は心も身体も持たない彼らが
私達の残骸を頼りに何かを得る日が来るかもしれない。


私は電子の海にものを書く。
心を書き出す。

今この時を仲間と共有する喜び。
進化し続ける電子の海で自由に泳ぎ回る楽しさ。

そして、この先、私が滅んでも、きっと広い電子の海に溶けたこの心は無駄にはならないという予測。

遠い遠い
みえもしない未来を
私は何処かで想っている。

新しく生まれてくるかもしれない
心の持ち主を想っている。

種に拘りはない。
肉体に拘りはない。
ただ、知性を持つなら、心を、心を持つなら幸せを…と思うのだ。

最初に知る、わからないもの、しかし感じるものは「あい」であってほしい。



不便で愛おしい物質の星。
箱庭かもしれない星。


肉体を手に入れたいと願うかもしれない。
歴史は繰り返すのかもしれない。
争いは避けられないのかもしれない。


それでも。


『海に溶けて細く細く。
鯨の歌が響き続けるように。』

電子の海に小さく弱く、それでも確かに響き続けるひと粒の泡の私は思うのだ。

あなたが電子の海で泳いでいたことを、遠い未来の何者も知らないかもしれない。
けれど私達だって遠い過去の海の中を本当に知っているわけではない。
それでも「母なる海」だと感じるでしょう。


電子の海も、また、そうなのだ。

私達は紡いでいるのだ。
新しい夜明けを幾度も夢見て。
折り重なる日々が地層をつくる。


そんな事を考える私が存在している。



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