自作短歌お気に入り
花びらは散り行くあいだ一点で春の光の全てを浴びる
陽光が緑の隙間すり抜けた 少女のまつ毛のようなゆらめき
竹林の葉は風鈴のように揺れ鈴の代わりに夏の光が
そういえばこの前マスクを取った時キスしたんです、Julyの湿気
葉脈で濾した光はあたたかく左右の肩に均等に降る
何本の白色鉛筆使ったら入道雲をつかめるだろう
太陽が夏の角度を決めていたわたしが夏を見初める前に
夏服に切り替わる日の情報が簡単に漏れむむむ太もも
「冷やし中華始めました」の暖簾揺れ私にするっと夏が流れた
純粋な心を抉じ開けられたのでキャンパスの金木犀は罪
野良猫がくしゃみをしたら雨粒が溢れるような曇り空だね
濃い雲にビルの明かりが反射してそれは天使の輪っか
住み慣れた都会の冬の青空を半分折つたスカイスクレヱパ
お互いを知りたくもない街の人まるでみんなが透明人間
避けるのが上手すぎるので渋谷では人の思いもすれ違ってる
雨水が晒す渋谷の高低差
紫陽花の花弁に落つる露の音は交響曲でワルツのリズム
よく眠り心穏やかなる時は学びの中で喜びと会う
湖面にも波は生まれるツイートは時に社会へ投げられた石
とりあえず言っときゃいいかとSDGs 愛はそんなに軽くないよね
わからない、バラの色さえ「同じ」かは。だからわたしは言葉を磨く
一日を捌いた仕事の大小で定義しないさ人間だから
絶対に無くしちゃいけない切符などなかったんだよ生きる旅路に
やさしさやきびしさとして現れる愛を集めて紡ぐ人生
雨雲を避けては何も育たない涙が力になる時もある
大空はあっという間に変わるから人は気ままに夢を育む
たかくとぶこころの行方をあれこれと考えないで見惚れたままで
ゴールテープのない旅だ それでいい 僕は僕なりの道を行くから
秒針の音色以上に世の中の尺度で生きるのは単調です
開け方は知らないままに開いていた「ときめき」という心の扉
氷しか残っていない瓶の底溶け出したやさしさの行き場は
例えると藤の小花の揺れ方で風をみつけるそんな優しさ
何百の景勝さえも霞むほどきみのこころの清らなりけり
ラムネ瓶中のビー玉贈り合い君との夏が光る化石に
まっすぐなわたしでなくてもまっすぐにみつめていたい人と出逢えた
雨音のフォルテッシモに溶けたなら私の歌よ海へと届け
前向きになりたい今日は靴の音スタッカートのヒールで歩く
肩凝りし我と比べて柔らかく円描きたるこの扇風機
口笛が空気に溶けず彷徨って冷えた小窓のサッシに停まる
風が吹きそれを詠んでる脳内に生まれた風に気付いたわたし
あこがれは夜空に浮かぶ星であり手を伸ばしても追いかけはしない
たまにある幸せとして混ぜご飯
クリームと初めましての一口に天使のような軽いため息
コーヒーの香に包まれし思い出をこぼさぬようにゆつくりと飲む
あなたへとつながる世界であるのなら大体何でも許せるのです
ツイートはボトルメールに近いから言葉は時にロマンを帯びる
いいねでは伝えきれない感情を紡ぐ過程のうつくしきかな
色のない筑波の靄の破れ目を広げるように自転車を漕ぐ
冷房が生まれる前は暑い夏団体戦で乗り越えていた
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