見出し画像

映画『愛がなんだ』 痛すぎる20代の恋と、なんでもない30代の火曜日。

愛がなんだを観てきました。
さながら20代だった自分の、駄目な恋愛を追体験するかのような、
なんだか痛くてひりひりした、恋愛映画でした。

他人事とは思えない痛さや恥ずかしさを感じながら、
観終わった帰り道は、なんかちょっと泣けてしまったりしました。
別に、泣かせる系の映画でもなかったんだけどね。

***

時間がちょうど空いたので、アップリンク吉祥寺にようやく行けて、
観たのがこの映画でした。

不毛な恋愛をこじれにこじらせて、仕事も友人も失って。相手から決別宣言されたって、それでも恋愛をやめない、やめられない。そんなどうしよーもないテルコの物語。

20代の頃の私も、吉祥寺の街を舞台に、不毛な恋を死ぬほどこじらせてばかりいました。
だから、もうすぐ結婚で中央線を離れる私にとって、この痛い恋愛映画を、
思い出がいっぱいつまった吉祥寺の街で観られたことが、なんだかちょっと感慨ぶかかったのです。

電話ひとつで、好きなひとのところに飛んで行った夜も、
連絡がこなくてじりじりした夜も、
メール一本で有頂天になったことも、
主人公のテルコだけじゃなくて、ぜんぶぜんぶ、私にも起こった出来事で。

他人事に思えない、という頭と、
さすがにここまで馬鹿じゃなかったかな、という自己正当化とを、
観ている間何度も繰り返しました。

あの頃の毎日は、いつも精いっぱいで、ぱつぱつで、
なにもかにもにセンチメンタルで、でも本当にきらきらしてました。

好きな人と会った帰り道に、月がいつも以上にしんと綺麗だったり、
秋めいてきた空に、すごく切なくなって、彼に会いたくなったり。
そんな日々はすごく胸いっぱいで、
私は好きな人を思って絵を描いたり、日記を書いたりしたものでした。
(メルヘン野郎だったのです、どうしようもなく)

でもいま、もうすぐ旦那さんになる彼と、晩ごはんの買い物をして帰ったり、
家で野球を見ながらビール飲んだりする日常の方が、
会いたくて会いたくて夜道をすっ飛んでったあの頃より、
幸せに思えるくらい、自分が大人になれていることに、
なんだかホッとしたりもするのです。

あの頃の私に言ってあげたい。
もう、綱渡りの恋をしなくてもいいし、
綱渡りの恋じゃなくても、ちゃんと幸せで、楽しくて、
毎日を愛せる自分に、なれるんだよって。

一日いちにちと、遠くなる20代の私が、
ひょっと私の前に現れたような、そんな映画でした。

もし、読んでみて、絵を見てみて、なんか面白いなぁ、とか、いいなぁと心に少しでも何か残ったら嬉しいです。 もし、もしサポート頂けたら、とてもとても嬉しいです…!