見出し画像

日本の餓死者が7,200万人っ!?

東大 鈴木教授の“緊急”提言


お久しぶりなのにしかも正月から超ヘビーな話題です。
農業と関連した食料自給、食料安保の話です。
めちゃくちゃ大事な話です。

年末に東大の鈴木宣弘先生という方が緊急提言をされました。
とあるアメリカの大学の試算によるとどこかで核戦争が勃発した際、世界の餓死者は2億5500万人に上り、そのうち7200万人は日本だということです。

なぜ日本でそれほどまでの餓死者が出るのか?
日本の食料自給率は38%と言われてますが、種や飼料や肥料、ついでにエネルギーもほとんど輸入に頼っているため、実質の自給率は10%程度とのことです。そのため国際的な物流がストップすると一気に食糧難になるということです。

また、その対策として農業予算の拡充や法案の可決についても言及してます。
(ここが一番議論されなくてはいけないポイントです)


そんなこと日本人みんなわかってるよー!って思いたいですよね。

でもこういった話題ってニュースで取り上げられることってなぜか無いですよね。ニュースで取り上げられてコメンテーターや政治家が議論するといった場面を見たことがありません。ものすごく大事な話だと思うんですが、実は国民の多数にとっては興味ない話題だったりして。


動画の中では『核戦争が起こったら』となってますが、核戦争じゃなくても物流が止まる、もしくは止められることはあります。動画の中でも兵糧攻めという言葉を使ってましたが、日本に直接的な攻撃を加えなくても、海上ルートを抑えてしまえば日本を落とせるわけです。武力同士の戦闘だけが戦争ではないのです。


その時日本は何人養える?



こちらは京都大学の農学博士篠原先生の本で日本や世界の食料、エネルギー問題を地政学的、歴史的観点を含め、様々な視点で論じています。どれも一元的な問題ではなく、いろんなものが複雑に関係してますが、そのさまざまな繋がりをわかりやすく説明されており、大変参考になる書籍でした。

この本の中では日本が自給的に養える人口は3000万人とのことでした。
冒頭では日本の餓死者は7200万人とのことなので、生き残るのは3000万人くらいですよね。数字は大体リンクしてますね。


「信長の野望」と重ね合わせて


兵糧攻めと聞いて私が思い浮かべるのは戦国シミュレーションゲームの名作「信長の野望」です。私が最も愛するゲームです。ただ兵隊を動かして戦争して国取りするゲームではありません。内政、外交も駆使し国を広げていく秀逸な「シミュレーション」ゲームです。

信長の野望の内容に例えながら兵糧攻めで「日本を落とす」ことについて少し考えてみたいと思います。

ゲーム開始して序盤にまず何をするかというと人材と兵糧の確保です。人材の確保は置いといて、兵糧の確保は何のためにするのかと言うと、兵を動かす為です。
兵がいないと戦えませんが、兵糧がないと兵を養ったり、動かしたりすることができません。ゲームだからとかじゃなくて現実的に当たり前ですよね。兵士分の食料がなければ兵を動かすことはできないわけですから。特に小国でプレイする場合は序盤の動きが大切です。序盤の動きをミスるとすぐに周りの大国に攻め込まれて詰みます。兵糧の量は動員兵数に直結するので大国といえど最初から大軍を動かすことはできません(もちろん例外的に最初から超強い国もありますよ)。小国はもちろん兵数も少ないです。だから大国から何度も攻め込まれます。上手く局地戦で勝って兵力の損耗を少なくしても、兵糧は徐々に削られてしまうんです。どうやって増やすかというと内政つまり『政治』ですよね。

中盤以降になると動員する兵数が大きくなる(戦う相手も兵力が大きくなる)ので尚更兵糧を大きく消費します。もちろんこの頃になると自国も周辺国もそれなりの規模になってますので国力自体がそれなりにあるわけですが、それでも戦続きになると兵糧が心許なくなるのです。勢力がそれなりに大きい同士がまともに戦うと、たとえ勝ったとしても損失が結構大きく、その隙に他国に攻め込まれてしまうことがあります。だから中盤以降でそれなりの勢力と戦うときは全面対決ではなく、相手の隙(弱点)を突くことを狙います。というかその『タイミング』を伺うことが大事になってきます。もちろんその隙をただ待っていてもくるわけでは無いので『外交』をすることで周辺国との『パワーバランス』の中で隙を狙うわけです。

そして兵力のそれなりに大きな相手に対して効果的なのが兵糧攻め。相手もそれなりの兵力持ってますので真正面からぶつかるとこちらもダメージを受けます。ちなみに通常兵糧攻めというと戦力の劣る籠城した敵を包囲して行うものが一般的ですが、今回話しているのは戦力が同等以上なのでトリッキーな方法です。もちろん兵糧攻めする側も兵糧が必要なので兵糧切れの心配がないことが前提です。直接戦闘を仕掛けるわけではなく、国境付近に兵を配置することによって、相手側に対応の兵を準備させる。相手が兵を起こせばそれだけ兵糧を消費する。戦闘を仕掛けてきたら逃げる。兵を起こさなければ国境付近を蹂躙し、国力を衰退させる。兵糧の浪費をケチり、対応に来た兵力が劣るようなら戦闘を仕掛け殲滅する。兵糧攻めを仕掛ける側にはいろんな選択肢があり、徐々に敵国の国力を削いで行きます。そして相手の兵糧が消耗すると、とうとう持っている兵糧分の軍隊しか編成できなくなります。食料がないのに大軍を動かすことはできないですよね。そのような軍事的優位な状況を作り出してから全面対決を挑むのです。結果的に自国のダメージ少なく、他国を落とすことができます。

信長の野望の中での戦略としての兵糧の重要性や、戦術としての兵糧攻めについて書きましたが、現実の日本と重ねるとどうでしょうか?

食料問題における『政治』について

そもそも政治家の中には農業を食料安保の観点から見るのではなく、産業の一分野としか見ていない人が多いのではないでしょうか?農業のGDP割合は1%に過ぎず、そんな産業に予算割くくらいなら他の産業に予算割くべきだといった議員がいたとかいないとか。選挙公約に食料自給率改善とか持続可能な農業とか書いている人はいますが、ふんわりとそんなことを掲げているだけで具体論を言っている人は正直あまりいません。今の国政を見た時、農業(食料安保)に力を入れてるなんて言えるわけがないですね。国内で作れないものは輸入すればいいと思ってますからね。国際競争力を高めることばかり言ってます。輸出できるものに力入れてます。食料を蓄えるのではなく、お金を蓄えたいんですよね。食料は食べれますが、いざとなった時お金は食べれませんよ。農業従事人口は300万人おりますが、政治にこの票をまとめて動かすことができていないことが、政治家が農業に注力しない理由の一つでしょうね。自分の勝手なイメージですが、農家は自分の声を上げる事が苦手な人が多いようです。どうやれば食料安保の観点で農業が前に進むことができるか?についてはまたいずれ書くタイミングを考えたいと思います。

日本を『兵糧攻め』

まあ要するに信長の野望的に見ると日本は兵糧を作るための内政に力を入れていないということになります。結果、実質的な食料自給率は10%です。平和なグローバルな時代ならそれでも大丈夫です。
日本の人口は1億人超。今はまだGDPでは世界3位。それなりの経済大国でそれなりの軍事力も有してます。アメリカの後ろ盾もあります。他国が日本を手に入れたいと思った時、最初から正面切って全面的に攻めるなんてことはしません。まずは内部工作して切り崩しを狙います。もしかすると内部工作の中に国民の目を食料問題に目を向けさせない、というのがあるかもしれませんね。そして兵糧攻めです。全ての海上ルートを押さえることはできないとは思いますが、台湾ルートや東南アジアルートを押さえるだけでかなりの物流に制限を加えることが可能です。またモノそのものを流通させないという選択もできます。食料生産の元となる肥料のカリウム産出量はロシア、ベラルーシ、中国で世界シェアの50%程度、リン酸は中国が40%で日本では使用量の9割を中国から輸入しています。肥料そのものを流通させなければ日本は食料生産すらできません。

そして日本には食料がなくなり餓死7200万人。それから日本を占領しに行けばいいのです。武力なんて大して使わなくても日本を落とすシナリオなんてできてしまいます。日本にミサイルをバンバン撃ち込んで攻撃する必要はないんです。

そしてこの餓死者のシミュレーションを行なったのはアメリカの大学です。日本の同盟国でどんなことがあっても日本を最後まで見捨てず助けてくれる(と思いたい)アメリカが試算したんです。どの海上ルートが閉鎖してもアメリカルートは残るでしょう。でもそのルートが残っても日本は餓死するんです。アメリカの言うこと聞いてアメリカの農産物たくさん輸入していれば安心安全な時代じゃないんですよね。

外交によるパワーバランスの変化と始まりのタイミング

信長の野望と同様に『外交』を行いながら、他国との『パワーバランス』を自国の有利になるように変化させ、尚且つ『タイミング』を図る。それは現実世界でも常に繰り広げられています。

ロシアのウクライナ侵攻の中で、西側はもちろんロシアには勝たせたくない。でも自分らも正面切ってロシアとは戦いたくない。だからウクライナを支援するが、圧勝できるような支援ではなくギリギリ勝てるかどうかの支援ですよね。これはロシアをできるだけ長く戦わせて消耗させる目的があるでしょう。戦争が長引けばロシアは疲弊し弱体化するわけです。ただし欧米からの武器供与も増える=一時的な在庫不足が生じ始めているようです。そうなると増産と同時に同盟国同士での融通も積極的に行えるようにしていくんでしょうね。アメリカが増産して、もし余ることがあれば日本が買い取るんでしょう(笑)。
同時にこういった一瞬の綻びを虎視眈々と狙っているのが、他の共産主義国家ですよね。特に中国はアメリカとの国力差を埋めたいわけですから、アメリカが武器や資金を大量に他国の支援に回すとありがたいわけです。アメリカの武器数が減るわけですから。台湾侵攻のタイミングをパワーバランスの変化のタイミングを待ちながら狙っていると言われています。準備ができていれば、あとは何をきっかけにスタートするかです。領空侵犯も領海侵犯も海底調査も内部工作もサイバー攻撃も、時には偶発的な自然災害も全てを利用して、相手の隙をついて、自国が有利になる状況を作っていく。そんなしたたかなことを日本が考えるようになれば、逆に仕掛けてくる側の考え方も理解できるようになると思いますけどね。



以上浅い知識で広い守備範囲のことを語ったがためにとっちらかってしまいました。浅はかな素人の意見ということでご容赦ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?