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気象庁、気象等及び噴火に関する特別警報の「緊急速報メール」の配信を終了

気象庁は2022年 (令和4年) 12月26日14時に、気象等及び噴火に関する特別警報の「緊急速報メール」の配信を終了します。(緊急地震速報、津波警報・大津波警報の緊急速報メールは継続されます。)

私は海外赴任が長いこともあり、日本国内における災害時の防災気象情報の伝達方法についてあまり身近に感じていなかったのですが、この特別警報の「緊急速報メール」での配信は、2019年 (令和元年) 7月9日から配信が開始されたとのことで、気象庁によると、

携帯電話事業者(NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー(au)、ソフトバンク、楽天モバイル)が無料で提供するサービスで、国や地方公共団体による災害・避難情報等を、回線混雑の影響なく、特定のエリア内の対応端末(スマートフォン・携帯電話)に一斉に配信するもの

とのことです。

携帯を持っている人であれば、自動的に受信できるということなので、自分でアプリをインストールしたり、登録をしたりすることなく受信できることは、利用者にとっては受信するためのハードルが低く、高齢者や携帯に詳しくない人も含め、携帯利用者に対する伝達方法としては大変有効な手段なのではないかと感じます。

気象庁は2021年10月に「2週間後に配信を取りやめる」と発表したところ、自治体や災害情報の専門家から「突然の配信取りやめは戸惑う」とか「拙速に廃止するべきではない」などといった声が上がり、すぐに取りやめを見送っています。

その後、気象庁は全国1741すべての市区町村を対象に大雨などの特別警報や噴火警報がどのように住民に伝えられているかアンケートを実施しました。
上記NHKの記事によると、今回配信終了となる「気象などの特別警報」および「噴火の特別警報」に関しては86%が緊急速報メールなど強制受信型で住民に伝達されているとの回答です。

これを見る限り、特別警報の「緊急速報メール」での配信は現在も各自治体で非常に頼りにされていると感じます。

一方で気象庁もホームページ内でアンケート調査結果を公表しています。

https://www.jma.go.jp/jma/press/2210/18a/20221018_2.pdf

ここで不思議なのは、86%の自治体が情報伝達手段として「強制受信型の情報伝達手段で住民に伝えられている」と回答しているのですが、この手段の注釈として「都道府県や市区町村の緊急速報メール、市区町村の防災ラジオまたは個別受信機(全戸配布)など」と書かれていて、さも気象庁からの特別警報の「緊急速報メール」での配信はここには含まれていないような書き方となっているところです。

現に気象庁のアンケート調査結果のまとめにも『特別警報は、市区町村から「緊急速報メール」や「防災行政無線」などの適切な手段を用いて住民に伝達されている。』と結論付けています。

アンケートの回答の中で、自治体は気象庁による特別警報の「緊急速報メール」での配信も「強制受信型の情報伝達手段」の一部と考えているのではないでしょうか?

また、今回のアンケート調査には気象庁が緊急速報メールの一部の配信を取りやめるとした判断について、自治体に意見を求める質問項目は設けられていません。

上記NHKの記事 (2022年10月20日) によると、気象庁はアンケート結果を受けて緊急速報用のメール配信を取りやめることについて以下のように説明しています。

気象庁は「情報はすべての市区町村でメールなど多様な手段で住民に伝えられている」「防災アプリなどで情報が提供される環境が充実している」「気象の速報メールは危険でない地域も含め広く配信される」などと説明しています。

また、「対応が拙速だ」などとしていったんは見送ったメール配信の取りやめを改めて決めたことについては「去年からことしにかけて全国すべての自治体にアンケートを行った結果、取りやめに対する反対意見などはなかった」とも説明しています。

上記NHK記事 (2022年10月20日) より

なんだか結論ありきのアンケートだったのではないかと勘繰ってしまいます。

全国167自治体で構成する火山防災強化市町村ネットワーク (会長:鹿児島市長) は気象庁の長谷川直之長官に配信継続を求める要望書を提出しています。気象庁がアンケート結果を恣意的に解釈していることの表れではないでしょうか?

代替手段に頼るというのであれば、それがすべての自治体で有効に機能していることを十分確認してから、既存のシステムを終了する必要があります。また、改善点が明確であれば、改善し、機能を充実させる手立てもあると思います。気象庁の緊急速報メールが不十分な点があるからすぐ終了というのではなく、改善努力がまず先ではないでしょうか。改善に対する費用対効果、代替手段の具体的有効性や課題も示すことなく、配信取りやめありきで動いているように見えるところが私にはすごく奇異に感じます。

自然災害は、本気でやろうと思えば交渉努力が実を結ぶ外交などとは違い、いまだ人間の科学技術力ではコントロールが難しい分野です。しかしながら技術とお金をかければ、住民の命をより高い確率で守ることができる分野でもあると思います。手を抜かないでほしいと思います。

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