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悪魔

愛する作家はジャン・ジュネと、太宰治。彼らは、悪魔。

自分はおそらく、破壊的な生き方が好きだ。
今、逃げたくて逃げたくて堪らないのは、自由が、破壊的な生き方が、ただ破滅することが見えているあの生き方がしたいからなんだと思う。

失うものがないと、何でもできる。そしてその安心感には、強い中毒性がある。

わたしが一番破滅に向かう生き方をしていた時期は人生で大まかに2回ほどあって、そのうちのひとつは21歳、離婚したすぐあとだった。

お金もなくて、家もない。アパレルショップの契約社員で、深夜は風俗嬢。男にも女にも体を売った。慣れると面白いもので、いろんな人種を観察できて楽しかった。抵抗はなくなった。
服で見えない位置にタトゥーをどんどん増やし、シェアハウスでルームメイトと煙草を吸っては自惚れた。間接的とはいえ、わたしはシェアメイトを2人も風俗の世界に引きずり込んだ。悪魔だ。

その頃の友達というものはみんなセフレと友人の間みたいな感じで、異性とも同性とも、どこでも寝た。友人がどこからか6万で手に入れたプリウスを派手に運転し、屋上で花火をした。多分みんなみんな、普通じゃなかった。
希死念慮はいつもついて回り、睡眠薬は手放せない。仕事中は普通の人みたいな顔をして、嫌になればいつでも転職できることを知っていた。

だけども、美しい日々だった。目の前に迫る、死へ続く道を突っ走る快感。過去も気にならない。いつ死んでも良いなーというとてつもない安心感。

皮肉にも、その頃に撮った写真は、自分で今見返しても眼を見張るほど美しい。




【余談】
龍が如く0をプレイしていて、佐川がセラを殺したところで「は!?悪魔じゃん!」と部屋でひとり叫んだ。

悪魔はお前だよ馬鹿が。

いつ逃げよう。どうやって、何処へ行こう。


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