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赤ちゃんが繋いでくれたもの。

2週間ほど前のことだ。

会社の同期、Aから連絡があった。

Aとはかれこれ10年以上の付き合いで、その間に彼女も私も二児の母になった。育児にまつわる色々を教えてくれる有り難いママ先輩でもある。

連絡はいつもどおりLINEだった。

曰く、連絡をくれた前日に彼女の妹が第二子を出産したのだと。が、生まれた赤ちゃんはダウン症の疑いが強いと今日わかったのだと。

赤ちゃんは今もNICUに入っていて妹は我が子に会うことができない。妹夫妻はショックを受けている。妹も自分もダウン症について何も知らない。姉として、叔母として、力になりたい。何か情報をくれないか。

そういった内容だった。いつになく切羽詰まった語り口で、Aが動揺しているのがわかった。

わたしはお祝いの言葉とともに思いつく情報リソースをいくつか送った。

ダウン症にまつわるもの、医療的ケア児の子育てにまつわるもの。そのうちのひとつは、わたしの友人で進行性の難病、筋ジストロフィーの娘(現在10歳)をもつ女性Sが5年前に出版した本だ。彼女ら家族は24時間テレビに取り上げられたこともあり世間の注目を集めた。

本には自分の娘の病気を告げられた時のS夫妻の計り知れない悲しみ、その後社会との繋がりを断ちたくなるほどに思いつめた時期もあったこと、その後どう前向きになることができたかなどがリアルに綴られていたから、Aの妹さんに是非読んで欲しいと思った。

私自身はその本を1年半ほど前に読んだ。涙が止まらなかった。

SにAとの一件を話した。Aの妹さんに著書を贈りたいから、一筆メッセージをもらえないかと相談するためだった。

するとSは「良かったら私、会いにいくよ」と軽やかに提案してくれた。願ってもない申し出。ありがたい。Aの妹さんがそれを望むならぜひお願いしたいと思った。

その後トントン拍子で話が進み、昨日めでたくAの妹のYちゃんご夫婦、S、私の4人(プラス私の次男👶)で昼食を共にすることができた。

池袋駅そばの和食のお店。個室を予約していて、先にYちゃん夫婦が到着していた。私がベビーカーを押して引き戸をまたぐと、それはそれは柔らかな笑顔でふたりは出迎えてくれた。

その時思った。

あぁ、間違いなく赤ちゃんはこのふたりを選んで生まれてきたんだなって。このふたりが良かったんだって。(このことは後からYちゃん夫婦にも伝えた)

ほどなくしてSも到着し、瞬く間に打ち解けた我々4人は賑やかで温かなランチのひと時を過ごした。数日前にNICUから退院できたという赤ちゃん、写真を見せてもらったがキレイな二重の美人さんだった。話題はダウン症のことに留まらず、それぞれの仕事の話やYちゃんの旦那様の幼少期(南アフリカに住んでいたのだそう!)の爆笑エピソードまで多岐に及んだ。

あっという間に2、3時間が経ち、我々は再会を約束して別れた。ふたりとも外食は久々だったらしくリフレッシュできたと嬉しそうだった。

2週間前、Aが真っ先に私に連絡をくれたのが嬉しかった。束の間でも、友人とその家族が辛い時に頼れる相手であれたことが嬉しかった。

素敵なYちゃん夫妻と出逢えたことも嬉しかった。赤ちゃんが引き合わせてくれたご縁だ。赤ちゃんがその個性を持って生まれていなければ、私もSもYちゃん夫妻に出逢えることはなかった。

ご縁はこうして繋がっていくのだと心震えるほどに実感した。

大切にしたい。

それは必ずしもkeep in touchを意味する訳ではないと思う。仮に二度と会えないのだとしても、出逢えたこと、出逢わせてくれた誰かに手を合わせながら、ひとつひとつのご縁を心に刻んで生きる自分でありたい。

それが、私なりの一期一会。

クリスマスの頃には赤ちゃんも外出できるようになる。抱っこできる日が待ち遠しい。


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