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サピエンス全史を読んで(3)

宗教は、貨幣や帝国と同じように、人類を統一する要素のひとつ。

「宗教とは、超人間的な秩序の信奉に基づく、人間の規範と価値観の制度。」

多神教と一神教、そして二神教

「アミニズムと多神教、そして一神教。多神教は寛容性があり、異端者や異教徒を迫害したりしない。一方キリスト教のカトリックとプロテスタントの争いは大虐殺を行う。やがてゾロアスター(ツァラトゥストラ)教という二元論の宗教が生まれ、キリスト教にも”天使と悪魔”という二元論が生まれるた。」

中世ヨーロッパでは「魔女狩り」ということが頻繁に行われましたが、なぜ悪魔が大きな意味を持っているんだろう? なぜ大天使ミカエルが悪魔に堕ちたりするんだろう? と思っていましたが、「神」を際立たせるために、正反対の「悪魔」が必要とされたということなのでしょうか?

イデオロギーも宗教と同じ

「近代にはいると宗教は次第に重要性を失っていくが、代わりに自由主義や共産主義、資本主義、国民主義、ナチズムといったものが台頭した。これらはイデオロギーと呼ばれるが、宗教と同じ。個人主義や人権といったものも宗教と同じ。」

社会主義でいう「人間」は、個人ではなく集団

「自由主義的な人間至上主義という考え方があるが、社会主義的な人間至上主義というものもあり、この場合、人間性は個人ではなく、集合的なものとしている。」

ナチスと白人至上主義

「なかでもナチスは、人間至上主義という考え方に、進化論が結びつき、人類は進化も退化もすると考えた。」

「ナチスとは、人類を退化から守り進化を促すという野望をもっており、最もすぐれている人類をアーリア人とし、そこにユダヤ人や黒人などの劣った人類が加わると、人類の全体の質を落とし、ホモ・サピエンスの絶滅の危機を招くと考えた。」

だからユダヤ人などを虐殺したんですね…。

「1945年以降の遺伝子研究によって、さまざまな人種の系統の違いは小さいことが立証されたが、それまでは、白色人種の優越性が信じられていた。アメリカにおいては、1960年代までは白人至上主義は主流のイデオロギーだった」

個人の自由を最も大切なものだとする国と、個人の自由を認めない国

「3000年紀が始まったばかりの今、進化論的な人間至上主義の将来は不明。戦争終結から60年は、人間至上主義を進化論と結び付け、生物学的方法を使ってホモサピエンスをアップグレードすることを提唱するのはタブーだった。(略)しかし、人間の生物学的作用に関して深まる一方の知識を使って、超人を生み出そうとする考えている人は多い。」

中国がチベットやウイグルの人々に行っている粛清は、このような考えによるもの?

倫理とか宗教は?

「誰もが不可分で変えることのできな神聖な内なる性質を持っているという信念がある。(略)その性質が世界に意味を与え、あらゆる倫理的権威や政治的権威の源泉になっている。これは、各個人の中に自由で永遠の魂が宿っているという伝統的なキリスト教の信念の生まれ変わりだ」

確か中国共産党は、党員になる条件の中に、宗教を信じていない、という項目があったような…。

ミーム学と遺伝子学とポストモダニズム

「ミーム学とは、文化は一種の精神的感染症、あるいは寄生体で、人間は図らずもその宿主になっているという考え方」

「生物の進化は遺伝子、文化の進化はミーム学」

「ミーム学の双子の兄弟がポストモダニズム」

「ゲーム理論とは、多人数が参加する系で、全プレイヤーを害する見方や行動のパターンがどのように根付いて拡がるかを説明する。軍備拡張競争が好例」

そして科学革命

1492年 コロンブス アメリカ大陸発見
1522年 3年かけてマゼラン世界一周
16世紀、スペインとポルトガルがヨーロッパ一番の強国、
    次第にオランダが信用を得て追い抜く
1602 年 株式会社の起源、連合オランダ東インド会社(V.O.C)
    インドネシアを200年支配。
1620年 フランシスコ・ベーコン「知は力なり」
1621年 オランダ西インド会社(W.I.C)
    ニューアムステルダムを建設。(現在のニューヨーク)
17 世紀 オランダの「チューリップ事件」(バブル崩壊)
    オランダに代わって台頭するフランスとイギリス
1717年 フランスによるミシシッピ事件(バブル)と金融破綻
1674年 微生物を発見
1711 年 イギリスで設立された南海会社(中南米の奴隷貿易を独占)
1768年 ジェームス・クック世界一周(壊血病を克服)(オーストラリアなどの南西太平洋がイギリス領になった)
1776年 アダム・スミス「国富論」
18世紀 産業革命
1873年 「80日間世界一周」(ジュール・ベルヌ)
1831年 ダーウィン「進化論」
1840年 アヘン戦争(政府が資本家のいいなりに)
    投資家の利益のために戦争が行われる
1945年 原子爆弾を発明
1969年 人類、月面に到達
2007年 アメリカの住宅バブル
現在は、48時間で世界一周

「近代科学とは、最も重要な疑問に対して、集団的無知を公に認めたもの。古代の知識、イスラム教・キリスト教・仏教・儒教は、重要事項はすべて、ムハンマド・イエス・ブッダ・孔子が知っていると主張した。
ナチスや共産主義も、非科学的な方法に頼った。」

「数字(統計学など)はテクノロジーのツール、近代科学で使用される数学的言語。」

資本主義と産業革命が到来して結びついた、化学と産業と軍事のテクノロジー

「19世紀までの軍事的革命(古代ローマ・古代中国・ナポレオンも)の大多数は、テクノロジーではなく、効率的な組織や鉄の規律、大規模な呼び兵力などのおかげだった。」

「第二次世界大戦で化学はさらに大きな役割を演じた。
V2ロケット、原爆、その後、テクノロジーは、防衛にも大きな役割を果たす。」

「近代の文化の進化によって、例えば貧困は、長い間、避けようのない現実と受け止められていたが、現在は、農学・経済学・医学・社会学による政策で、解決できる問題になった。不死についても、語れるようになった。」

「特に注意を向けるべき力が2つある。帝国主義と資本主義だ。科学と帝国と資本の間のフィードバック・ループは、過去500年に渡って歴史を動かす最大のエンジンだった」

なぜヨーロッパだったのか?(ヨーロッパ帝国主義と近代科学のラブストーリー)

「近代前期までは、地中海地方のオスマン帝国・ペルシアのサファビー帝国・インドのムガル帝国・中国の清朝の黄金時代だった。1775年はアジアは世界経済の8割を担っていた。インドと中国の経済を合わせただけで全世界の生産量の3分の2を担っていた。」

「15世紀になり、ヨーロッパが軍事・政治・経済・文化的発展の重要地点になった。」

「ヨーロッパは、軍事・産業・科学複合体といったテクノロジーによって、戦争でアジアの列強を倒し、領土の多くを征服し、世界の覇権の中心になったのは1750~1850年にかけてだった。」

「1900年にはヨーロッパが世界経済を掌握し、1950年代にはヨーロッパ西部とアメリカ合衆国が全世界の生産量の半分以上を占め、中国は5%にすぎず、ヨーロッパの支配下による新たな世界秩序が生まれた。」

「このヨーロッパの躍進は、近代前期に浸透した「近代科学」と「近代資本主義」という考え方によるもの。テクノロジーが発展した時、活用することができた。(日本だけは例外的に西洋を手本に思考を作り直し、19世紀末に西洋に追いついた)」

科学

「古代化学が発展したのは、古代ギリシア・中国・インド・イスラム教世界」

「帝国主義のスペイン・ポルトガル・イギリス・フランス・ロシア・オランダの拡張と共に具体化する。」

「アダム・スミスやカール・マルクスは、イスラム教徒の経済学者を研究
イギリス医学は、アメリカ先住民の治療師から
西洋の人類学は、ポリネシア人の情報データから」

「ローマ人もペルシア人も中国人も、やろうと思えばできたかもしれないが、征服しようとはしなかった。」

「ヨーロッパ人が特別なのは、探検して征服したいという無類の飽くなき野心。科学的好奇心。」

「アーリア人」

「非ヨーロッパ文化に真のグローバルな視点が取り入れられたのは、1945年以降。反植民地主義の世界的ネットワークの支援により、アルジェリア独立戦争やベトナム戦争で大国に勝利。」

資本主義(経済の成長)

「帝国を建設するにも科学を躍進するにも必要なのはお金。」

「過去500年の間に人々は進歩という考え方によって、次第に将来に信頼を寄せるようになった。この信頼によって生み出されたのが信用で、この信用が経済的成長をもらたし、成長が将来への信頼を高めてていった。」

「1776年 アダム・スミス『国富論』 
生産利益は生産増加に再投資されるべき
経済成長は至高の善→近代科学の発展にも影響を与える。」

(銀行のルーツは紀元前3000年のバビロニア古代王朝時代まで遡る。
世界最古の銀行はイタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(Banca Monte dei Paschi di Siena、MPS)だと言われています。同社は1472年にシエナ市で誕生。)

「自由主義というカルト」

「16世紀~19世紀まで、約1000万人のアフリカ人が奴隷としてアメリカに連れてこられた。投資の利回りは年6%。強欲と冷淡な無関心。改善しない倫理観。」

「社会主義」

産業、そして近未来

「エネルギー変換 蒸気機関 原爆 電気

ショッピングの時代(消費主義)、自然破壊、公共交通機関、家族とコミュニティの崩壊、想像上のコミュニティ、秩序の崩壊、原子の平和(パクス・アトミカ)

戦争は採算が合わない、平和は利益をもたらす

現在は史上初めて、平和を愛するエリート層が世界を治める時代

遺伝子工学、サイボーグ工学、遺伝的プログラミング、コンピュータウイルス、特異性(シンギュラリティ)」

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