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展覧会レビュー:日本の中のマネ ―出会い、120年のイメージ―@練馬区立美術館

マネの作品が約50点(版画が多い)見れる、森村泰昌・福田美蘭といった現代アートも鑑賞できる、区立にしては気合の入った展示会。
日本中から集まったマネを見る機会は中々ないため貴重だし、「第4章 現代のマネ解釈」の部屋は、アートに興味が薄い人でも楽しめると思います。

私は、2015年ぶりの練馬区立美術館。その時はシスレー展をしており、その展示のおかげでシスレーのことが好きになった記憶に残る美術館です。
日本でシスレー作品は約45点で、マネは約100点だそうです。印象派、新印象派が好きな日本人にとっても、マネの人気が伺えます。(今回、シスレーの展示も2点あります)

本展示では、題名の通りで日本中からマネの作品を蒐集しており、「所蔵先」に注目すると、いろんな美術館からやってきているのが面白い。
そのためか、展示室内での写真撮影不可なのは少し残念。
版画(エッチング)作品が多いのは意外だったが、行ったことのある町田私立国際版画美術館の所蔵もあったのは少し嬉しかった。

マネの作品では、「サラマンカの学生たち」(ポーラ美術館)、「散歩(ガンビー夫人)」(東京富士美術館)はともに現地で見たことはあったものの、代表作として再度、鑑賞できたのは良かった。

「草上の昼食」「フォリー・ベルジェールのバー」はないが、それをモティーフにした石井柏亭や森村泰昌の作品で補完しているのは面白い試み。
『踏みはずす美術史』(森村 泰昌、講談社現代新書)を読んだことはあったが、彼の実際の作品を見たことがなかったので、初の鑑賞となった。
ただ過去の名作を写真で模倣しただけでなく、そこに一捻り(二〜三捻り)あること、写真の大きさが2m以上あることに、彼の意思が感じられた。
福田美蘭は初めて知ったが、まさに「現代アート」で好きだった。東京都現代美術館のスケールの大きい美術館で見ると印象が変わるかもしれない。

キャプションについて3点苦言だが、1)文字数が多い、2)文字が小さい、3)明朝体は見づらい。文字が多いと人が集まって流れが悪くなるので、キャプションはもっと簡潔に、読みやすい文字でお願いしたいです。

まとめると、マネの作品がいっきに見られること、森村泰昌・福田美蘭といった現代作品が見られるコンパクトでありながら、見応えのある展示だった。(個人的には2015年のシスレー展の方が感動は大きかったが…)

美術館前にはさまざまな動物の遊具(?)があり、地域の憩いの場となっている
美術館が準備していたフォトスポット。三脚を置いてくれると助かる

展覧会名:日本の中のマネ ―出会い、120年のイメージ―
場所:練馬区立美術館
満足度:★★★☆☆
会期:2022.09.04(日)~ 2022.11.03(木)
アクセス:中村橋駅から徒歩約5分
入場料(一般):1000円
事前予約:不要
展覧所要時間:約1時間
展覧撮影:不可
URL:https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202204141649901997

↓練馬区立美術館作成のマネ動画。分かりやすいです。

モネとマネは混同しやすいですが、モネは風景(「印象派、日の出」の作者)、マネは人物、と覚えれば間違えづらいと思いました。

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