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新規参入の方法 ケーススタディ メモ ⑤

<設定>
クライアントは産業用の洗浄溶剤や殺菌剤を製造している化学品メーカーである。
政府当局による新しいガイドラインの導入によって、クライアントの売上高は減少傾向にある。
クライアントは、ガイドラインに合わない製品をさらに規制の緩い国に安価に投げ売り、またはガイドラインを満たす新製品を開発することで事業環境の変化に対応してきた。
化学品業界の市場規模は年率3%という緩やかなペースで成長はしている。
今後5〜7年はこの傾向は変わらないことが予想されている。

クライアントとしては、このことから事業の多角化に乗り出すことを決心した。
従来の化学品事業は維持したまま、長期間にわたり高い成長率が期待できる業界への進出を望んでいる。
どの業界へ進出すれば良いかというアドバイスを求めるために雇われた。

<問題>
今回の場合は、具体的な業界を求めているわけではない。
クライアントは、どの業界に多角化を図っていくかを決めるにあたって、どのようなプロセスを踏めば良いか、また、各プロセスでどのようなことを考慮しなければならないかを示すことである。
それ以外の目的はない。

<分析>
クライアントが求めている高い成長率とは具体的にどの程度の数字を指しているのか?
年率10%以上の成長率である。
このことから、化学品事業と関連がありそうな業界をすべて取り上げ、その中から昨年度年間成長率実績と今後1年間の予想成長率が10%未満の業界を切り捨てることから始める。
クライアントとしては中程度のリスクを負える。
そのため、需要の浮き沈みが激しく、リスクの高い企業は切り捨てる。

クライアントが望む成長率とリスクの度合いを満たす業界を絞り込んだ上で、クライア
ントがシナジー効果を発揮できる業界を探す。
例えば、ターゲット顧客が、クライアントの現在の顧客層と重なるような業界である。
またクライアントはBtoBのビジネスを行ってきたので、個人向けは避ける。

次にその業界における主要企業や各社のマーケットシェア、参入障壁の有無について分析をする。

新規参入方法は主に3つある。
①自社で全てを構築する自力参入
②既存企業の買収による参入
③他社とのジョイント・ベンチャー設立、または戦略的提携による参入

また参入障壁も考慮する必要がある。
例えば政府による規制が挙げられる
もしあるならば、既存の企業を買収した方が良い。
または、業界内の既存企業による対抗措置も考える。
業界内の2大企業がマーケットシェアのほとんどを握っており、新規参入を妨げる場合である。
原材料を供給するサプライヤーの数が限られている場合も参入障壁となる。


新規参入先の候補となる業界の将来像を注意深く分析をする。
具体的には、年率10%以上の成長率は今後維持するのか。
どのくらいの期間高い成長率を期待できるのか。
業界内の企業数は増えるのか、減少するのか。
業界内でM &Aや事業再編が頻繁に行われているかといったことを1つ1つ調べてきます。
業界の成長率が減速した場合の撤退方法についても、あらかじめ検討をする。

<まとめ>
化学品事業と関連がありそうな業界を全て上げる。
その中からクライアントが求める条件を満たす、さらにクライアントの現有資源とシナジー効果を発揮できる業界を絞り込んでいきます。
次に業界内の主要企業、競合常状況、参入障壁の有無など市場を分析をし、どのような参入方法を選択するのかを決定をする。

新規参入シナリオ

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