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【ピラティス日記】ピラティスはリハビリテーションから生まれた、、、これ捏造です

ピラティス、特にマシンがブームのようですね。
ピラティスインストラクターの立場としては嬉しいことですが、よくピラティスの説明の中で、「リハビリテーションから生まれた健康体操です。」という文言を見ることがありますが、これ捏造です
誇張されてますし、そんな歴史的事実はありません。

そういう文言を書いている人は直ちに修正していただきたい。

僕は理学療法士ですから、リハビリテーションの専門家です。
リハビリテーションの歴史について学生時代に習っていますし、もちろん自分のアイディンティティとして本も読んでます。
社会人になってもずっと病院などでリハビリテーション科に所属し仕事をしてきましたが、その中で「ピラティス」という言葉は一度も聞いたことがありません。
というか、リハビリテーションの歴史の中にピラティスが入ったことは一度もありません。
ましてやリハビリテーションからピラティスが出てくることもありません。

現代は、リハビリテーションとピラティスを融合して提供する病院やクリニックなどが欧米をはじめとして日本でも出てきていますので、リハビリテーションがピラティスを導入し始めたという事実はあります。
しかし、ピラティスがリハビリテーションから生まれたことはありませんし、彼が医学やリハビリテーションを学んだこともありません。
完全な誤情報です。

誰が言い始めたのか知りませんが、リハビリテーションの専門家としてはかなり困惑する文言です。
ピラティスという健康体操を提唱したジョゼフ氏は、捕虜として英国のランカスターにいたのは事実だと思います。
そこで同じ部屋の方々に自分の体操を教えたことで、疫病の蔓延の中でも比較的同部屋の方々が元気だったということで、自分の体操に自信を持ったというのは事実かもしれませんが、ただの健康体操のおじさんですから、文章や写真などその事実を確認するようなものは残っていません。
看護師として働いていたような文言も見かけたことがありますが、そのような資格をとった事実はないでしょう。
彼の奥さんクララは看護師だったですから、写真でもナース服を着ていますが、ジョゼフ氏が看護師を持っていたという事実は聞いたこともその証書も見たことがありません。
英国からしたら彼はただの捕虜であり、別に普通の健康オタクおじさんに特別な資格や役割を与えるはずもありません。

そもそもリハビリテーションは医療です。
彼は一度も医療業界に入ったことはありません。
医療に入れて欲しいという思いで、整形外科医の息子を指導してその経過を動画に撮り、どれくらい変化するかを証明しようとしたのは残っています。
しかし、当時彼のメソッドを医療として提供した事実は一つもないでしょう。

リハビリテーションというのは、自分勝手に名乗ったり、考案していいものではなく、医療の専門家チームとして医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、介護士など全体で行なっていくものを指します。

概念としてはノーマライゼーションであり、そもそもの意味は、宗教を破門にされた人々の復権を意味しています。
確かに、第一次世界大戦時の負傷兵の社会復帰政策を契機として活発化した概念であり、比較的新しい専門科目になります。
そういう意味では、ジョゼフ氏がちょうど活躍していた時に、リハビリテーションも確立されていったという歴史的背景はあります。
しかし、リハビリテーションからピラティスが生まれたというような事実はありませんし、医療でないものを医学を背景にしているような幻想を与える記述は誤解を生む表現であり、リハビリテーションの専門家としては無視できない誤情報として指摘せざるを得ません。

リハビリテーションについて国民の認識が薄いことも問題だと思いますので、この機会にぜひこの記事を読まれた方は正確なリハビリテーションについての情報を学んでいただきたいと思います。

参考になる論文はこちら。

「リハビリテーションの歴史と変遷」月間地域医学

「リハビリテーション医学の進歩と発展」リハビリテーション医学

ぜひ正確な表記、歴史認識をした上でピラティスを理解していただきたいです。
捏造や誤情報を真に受けて、フィットネスに医療のような期待をして受けたり提供することは控えていただきたいと思います。
彼の著作の中で、彼もしっかりと「フィットネス」と明記しています。
ピラティスは医療ではありません、フィットネスです
ピラティスに医療として、リハビリテーションとしての歴史的事実はありません。
ジョゼフ氏が自分で言っていたこと、願っていたことと、歴史的事実は別ですので混同しないようにお願いします。

僕も医療保険外の健康産業においてピラティスを指導し、かつ啓蒙している立場ですが、リハビリテーションからピラティスが出てきたというような表現をしたことは一度もありません。
予防医学としてのポテンシャルは感じていますし、健康増進としてはもちろん素晴らしいものです。
また、医療でのリハビリテーションを卒業した方を対象としたポストリハビリとしての価値もあると思っています。
また、前半にも書きましたが、医療サイドが今ピラティスを取り入れてきているという進行形の事実はあります。
僕自身もクリニック勤務時代にリフォーマーを自分で購入してクリニックに導入しておりました。
これらは、あくまでも医療サイドが取り入れているのであって、ピラティスそのものが医療であるのではありません。
医学的知識と判断において、ピラティスを応用しているのです。
何度もいいますが、ピラティスが医療なのではありません
そこも注意して正確に認識していただきたいと思います。

過剰な期待は事実を歪めますし、ブランディングとして安易に医療の名称を使う人もいます。
僕も気をつけていますが、発信される方、またWebやブログなどで色々な情報に触れますので、記事を読む方々もぜひ今一度情報の信頼性については確認をするようお願いします。

ピラティス自体は素晴らしい概念とメソッドだと思っています。
ただし過剰な期待、誤情報含むブランディング、誇大広告にはご注意ください。

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