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会議とはMURALを描くこと

議論するってむずかしい

会議などで議論するシーンにおいて、こんな悩みごとありますよね。

対立が生まれてしまい前に進まない。
建設的な意見が生まれない。
人間関係がじゃまになる。
発散して何が結論かわからなくなる。

総じて、「会議のムダ」とか「ファシリテーターの不手際」とか「決裁者への不満」とか、そういう結論に片付けられがちです。

そもそも会議とは

調べてみました。

会議(読み)かいぎ
合議体の構成員が一堂に会し,一定の事項 (議題) について,互いに意見と情報を交換し合って審議を行い,最良の施策を見出そうとする会合またはそのための組織をいう。
https://kotobank.jp/word/%E4%BC%9A%E8%AD%B0-42216

“最良の施策を見出”すのが目的だ、ということは、これを少し言い換えると「(その時点における)良き施策をつくる」のがゴールだということです。

そうです。「話し合う」じゃなく、「つくる」のです。

何をつくるか

では、何をつくるか。

ここでぼくが提案するのが「MURAL」です。

Muralとはそのまま翻訳すると「壁画」です。壁画と言われると、遺跡に書かれた古代の絵とか、公園や美術館などの施設の壁にある大きな絵とか、そういうイメージだと思いますが、ここでの解釈としてはグラフィティ文脈におけるMURALです。

グラフィティ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3

MURALの定義は、それこそ明確ではないですが、グラフィティという「公共空間に描かれる落書き」(あえてすごい乱暴に書いています)のような意味に対して、もう少し「意図を持って描かれる、場合によっては多数の人によって共同で描かれる、認められたアートとしての落書き」です。それには、共同性、偶然性、意思や目的、があり、作品として多くの人を惹きつけるものとなります。

で、あらためて。

議論の場は、往々にして、「人の発話」のみに寄りかかって、すすめることが多いです。発話し、聞き取り、解釈し、また発話し、の繰り返しです。非常に高度な情報処理と表現技術が必要。参加者の能力が発揮されるには、心理的安全性も求められます。そもそもそれは、とてもむずかしいのです。

であれば、みんなでひとつの「絵」を「壁」に向かって描く、をその時間の目標にすればいい、という考え方です。その絵に正解はありません。なんなら完成すらありません。決められた議論の時間が終りを迎えた時、「壁」に描かれたそれが「絵」、MURALです。

競作であり、共作。完成した「絵」が、その時点の合意事項みたいなものです。いやいや、まだ納得しないぞ、絵がどうもイマイチだな、まだ完成じゃないな、と思えば、その続きを描くためのアクションが、ネクストアクションになります。場合によってはだれかひとりの手によって加筆をし続けるでしょう。もしかしたら、画材が足りてないかもしれません。じつは必要なライター(絵を描く人)がその場にいなかったのかもしれません。自然と「次に何をしたいか」が浮かびあがります。

具体的にはどうするのか

これはけっこうシンプルです。本当に、「壁」と「絵」を用意すること。なんとなく漠然としてしまう"会議"を、創作活動(つくること)に持ち込みます。

「壁」は、文字通りただの壁でいいんですが、本当に落書きするわけにはいかないので、ホワイトボードや模造紙などを用意しましょう。大きいほうが心に余裕も生まれます。代筆者を立てて、PCのツールをモニターに表示するのもありです。ぶっちゃけ、A4の紙でもいい。とにかく描ける「壁」を、参加者の見える場所に、置くのです。

「絵」はゼロから描いてもいいです。いいのですが、うまくやるためには、最初の一筆を会議を、計画した人が描きましょう。ファシリテーターという役割がいるのであれば、その人が描くのがスムーズです。絵のスタイルはいろいろありますね。文字だけでなく、線、矢印や、囲ったり、色を分けたり、なにかダイアグラムにするとかっこよさそうです。表でもいいです。箇条書きも良いでしょう。その一筆は、どんなにヘタクソでもよいです。そこにみんなで重ねていくので。

もちろんその先には、そのMURALが、未来永劫残されていくような芸術作品になるか、そのうち上書かれてしまう凡作になるか、その差は出ます。仕方のないこと。でも凡作も無価値ではありません。かならず次に描かれるMURALにインスピレーションを与えます。そこが、肝です。だから、恐れることはないのです。何かが描ければ、議論は成功です。

まとめ

長くなりました。言いたいことはひとつです。

壁に向かって、MURALをみんなで描こう。

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