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我が家の子宮頸がんHPVワクチン接種物語

娘が15歳になりました。

この15歳という年齢で、ここずっと考えていたのが、HPVワクチンの接種をいつするかということでした。

私の中では、適切な時期に娘も息子もHPVワクチンを打つことはすでに決まっていて、この数年様子を見ていたのは国の承認や推奨状況をよく見極めながら、同時進行でHPVワクチンに関して専門家の方のTweetや婦人科の先生に相談するなど私なりに学びを深めてきました。

ただ、ワクチンて人に勧められてやるものではないような気もするし、私も、そんなに親しくない人に「絶対打ったほうが良いよ」なんて言えるような専門家でもないので、いうつもりもありませんでした。

だけど数年学びを深めてきて知り得た結論としては、親しい友人や家族には、HPVワクチンを我が家は打つことにしたと伝えようと思いました。

今回は、私がなぜ、HPVワクチンを子供に打たせたいと思うに至ったストーリーを語りたいと思います。

日本でのHPVワクチン接種のはじまり時期

娘が2歳になった2009年に、日本で初めて2価のHPVワクチンのワクチン接種が始まりました。
この2価というのは、2種類のHPVウィルスに効くという意味で、HPVワクチンには4価、9価もあります。

子育てしてると5歳くらいまでは、ハードなワクチンスケジュールの真っ最中で、3種混合(今4種らしいけど、どんどん変わる)、日本脳炎、おたふく、水疱瘡などなど、3ヶ月あけるだの3回打つだのややこしいスケジューリングに乳飲み子を抱え頭を悩ませる日々。特に小さいうちは、中耳炎やら、風邪やら、突発性発疹だの、病気にかかりやすかったりして、予定してたワクチンが先送りになったとか、年の終わりのインフルエンザワクチン2回と被ったりして、まあ、とにかく、母子手帳に記載されているワクチンの項目を全て終えるノルマに追われる日々だったように思います。

2009年当時は、HPVワクチンに関しては、女子だけが打つという特異性はあったものの、肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンなど新しいワクチンもたくさん出てきていて、他のワクチンと一緒で、あんまりそのワクチンを打つことで何の病気に対して効果があるのか、調べたり考えたりすることもなく、摂取する初年度が12歳だったのもあって、「この子が12才になったら、打ちに行くんだなー」とぼんやり思っていたくらいでした。

その後、テレビでそのHPVワクチンを打ったせいで、身体麻痺になってしまったと言う少女の衝撃的な映像と国に訴訟中と言った情報が毎日のように流れ、小さい娘をあやしながら、障害を負われた方と成長した娘と重ね、強烈な恐ろしさを感じました。
このインパクトは非常に強く、10年以上経った今もたまに同世代の子を持つ親ごさんとHPVワクチンについて話す機会があると、かならず当時のこの副反応の話題になり、一応に怖い印象が強烈に残っているということ聞きます。

その副反応の原因はなんだったのかという一番大切な部分であるHPVワクチン自体に問題があったのか、はたまたHPVワクチンに限らず、その方の体質に原因があったのか、それ以外なのかと言ったそんな問題提起が宙に浮いた状態で、その後、国の方針としてHPVワクチンの積極的接種が推奨されなくなり、テレビからも話題は消えていきました。

結局、国の検証期間を経て、このHPVワクチンの特性と副反応による後の障害の因果関係は、証明されませんでした。
これに関しては、素人の私が言うより、厚生労働省のHPVワクチンに関するQ&Aに国としての回答が詳しく載っているので、接種検討されてる方で詳しく知りたい方はご覧ください。



テレビやメディアが取り上げた話題全てに言える事ですが、強烈な映像と情報を与えた問題提起後の、伏線の回収がなされぬまま、視聴者に不安だけを残し、その後医学的検証もなく、うやむやに記憶に残り、その記憶はいつしか思い込みとして定着してしまう。
この件についてはこれの最たる悪い例だと思います。

個人的な意見ですが、SNS情報社会の中で、心揺らされる時、迷いをはらってくれるのは、やはり、正式な科学的根拠や実証に責任が伴う自国の発表しかないなと思います

短気が玉に瑕の我が夫がよく誰かのブログやどこぞの記事の情報を鵜呑みにするのではなく、正式な機関が発表しているデータや論文を読めと私に言います。
長く読みづらいかもしれないが、誰かが自らの責任をかけて発表しているものは信憑性が高いはずだから、それを選びなさい、と。

向井亜紀さんの子宮頸がん告白と代理母出産と言う選択

会いたかった―代理母出産という選択


HPVワクチンの定期接種が始まった2009年から遡る事、6、7年、世間では、向井亜紀さんと高田延彦さんご夫婦が海外で代理母をお願いするという話題がテレビのワイドショーやドキュメンタリー番組などで取り上げられいました。

私も、当時、結婚前後で、出産適齢期だったこともあり、向井さんの代理母関連の番組は食い入るように見ていました。
向井さんが書いた「会いたい」という代理母の体験記は号泣して涙で歪んで字が読めないという経験を初めてした本でしたし、その後何度も読み返し私の家の本棚に今もひっそりと置いてあります。
当時、同じ女性として他人事とは思えない思いで向井さんを祈るような気持ちで見つめていました。

概要を説明すると、向井さんははじめての妊娠中に、自らが子宮頸がんに罹患されていることを告知されます。
そして、命懸けで子どもを産むことを望みますが、癌の進行は子どもの成長を待ってはくれず、自分の命をかけてもという思いは叶わず、片方の卵管のみを残し、子どもと自分の子宮を同時に失うという悲劇に見舞われます。

治療のタイムリミットを抱えながら、向井さんの自分の命と子どもの命を計りにかけなければならないという苦悩は、読んでいただけの私も、いまでもその地点に考えを巡らせると同じように思考が停止し頭が真っ白になるような想いに駆られます。

その後、向井さんは様々な苦悩を抱えながら、代理出産で我が子を抱くという夢が叶います。

現在、出産や子どもの誕生に関して様々な形がありますが、向井さんも代理母という選択により、当時心無い非難を浴びたり余計な詮索を受けたりしていました。
様々な立場の方がいる事を知ることで個々の苦悩に想像を巡らせ、考えを深め、特に必要な思いやりを養うという点でもこの本は大きな意味を持っていると思います

この向井さんの大きな体験に触れて、子宮頸がんという病気の悲惨さ、恐ろしさを当時の私は他人事ではないと痛感しました。

妊娠を考えるタイミングで「ブライダルチェック」を受けたのもこの頃です。
「ブライダルチェック」とは、婦人科などで行っている、妊娠した時に赤ちゃんに感染する病気を持っていないか、妊娠出産に影響を与える病気はないかをチェックする為の検査です。
自費検査のため10,000円以上はかかりますが、妊娠に伴う不安が払拭される部分もあり、妊娠を考えている方は検討してみたらどうでしょうか。

子宮頸がんワクチンと内診検査の必要性

子宮頸がんの内診検査というのは適齢期の女性が2年に一度、受けることを推奨されています。

子宮疾患もあり何十回と検査経験を重ねた私ですら、内診台にあがることは、今でも億劫なものです。
これが若い子だったら、尚更だと思います。
けれど、それと同時に年齢を重ねた今だからこそ、身近な怖い病気だと痛感します。

子宮頸がんは、日本では毎年約1.1万人がかかる病気で、さらに毎年2,900人の女性が亡くなっている病気です。
患者さんは20代から増え始めて、30代までに
がんの治療で子宮を失う(妊娠できなくなってしまう)人も、1年間に約1,000人います。

(厚生労働省HPVワクチンリーフレット詳細版より)



未性交の子供たちに推奨されている、2価ワクチン(サーバリックス)および4価ワクチン(ガーダシル)は、HPVの中でも子宮頸がんをおこしやすい種類(型)であるHPV16型と18型の感染を防ぐことができます。そのことにより、子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。
 9価ワクチン(シルガード9)は、HPV16型と18型に加え、31型、33型、45型、52型、58型の感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。
(厚生労働省ホームページより)



HPVワクチン推進者の方々の努力

「みんパピ」について

HPVワクチン接種の情報収集のため、HPVワクチン普及のために運動されている婦人科医の方や感染症専門医の方の記事やTwitterをたくさん読みました。

子宮頸がんを患った方や子宮頸がんで奥様やお母さんを亡くした方のお話にもたくさん触れました。
その度に、やりきれない思いを感じました。
このやりきれない思いは、HPVワクチンが普及していて打っていたら、訪れなかった不幸だったかもしれないという悔しさだと思います。

そして子宮頸がんのやり切れなさをきっと身近に感じられてきた産婦人科医や感染症専門医、研究者の方々が立ち上げたHPVワクチン推進プロジェクト「みんパピ」のホームページに専門家の先生方によるわかりやすい説明がたくさん載っていますので、もし、接種を検討されている方はどうぞ。


ここ数年でHPVワクチンに対する国の対応は大きく変わりました。一度は積極的推奨から外れた2価4価HPVワクチンが積極的推奨に戻り、かつ、高額自費接種だった9価ワクチンも、令和5年度無料接種が開始されると言うテコでも動かなさそうな岩がぐぐぐっと動き出しました。

みんパピに参加されている専門家の先生方のおかげで、私のような年頃の娘や息子を持つ母親に貴重な情報や啓発をおこなっていただいたこと、どうするか迷いながら選択する上で学びを深めることができました。感謝しています。

最後に

というわけで、色々調べてたくさん考えて、我が家はHPVワクチンを打つことにしました。

娘は4月に一回目を打って来ました。
コロナワクチンの副反応がすこし出たこともあり、ワクチンを打つ前は副反応に多少恐れ慄いていたのですが、打ってみたら、こんなもん?て感じで全く副反応はありませんでした。
来週あたり2回目を打とうかなと思っています。

息子も中学位で、もし9価が無償化されてなかったら自費で打つつもりです。

息子が打つ理由は、HPV媒体にならない為と自身のガン予防(中咽頭がんなど)のためです。

余談ですが、娘の同い年の従姉妹が、今年からアメリカの高校に行くのですが、留学に向けてワクチンを何本も打たなければならないのですが、その中にもHPVワクチンは必須で入っているそうです。
娘の従姉妹は1回目は終わっているのですが、2回目は留学に間に合わないので、アメリカで打つそうです。
9価が自費で日本で全3回で10万円くらいだったので、アメリカで打つのは高いんじゃ無いの?と聞くと、アメリカはワクチン安いみたいだよと言っていたのですが、裏は取っていないので不明です。
従姉妹が2回目をアメリカで打った時の状況がわかり次第こちらに追記したいと思います。

娘曰く
宝くじに当たるような確率で大変な目にあってしまった人とそれを煽る人がいるけど、自分は100回連続おみくじで凶を引くんだという自信のある人は確かにやめた方がいいかもね。

だそうです。

捻くれた言い方ですが、交通事故にあう確率や他の病気に罹る確率、それをやらなければなりえなかった事故や病は世の中に数知れずあります。
ワクチンを打たなければなり得なかった病気もそのひとつでしょう。
しかし、だからと言ってそれをやらなかったらやらなかったでもっと大きな可能性で致命的な病気に罹患するかもしれない。
ならば取るべき手段は自ずとリスクの度合いを天秤にかけて、どちらのリスクが高いかを考えるべきではないかと思います。

厚生労働省が出してくれているHPVワクチンのリーフレット(詳細版)にはワクチン接種によって、副反応が出る人の割合、重篤な症状が出た人の割合などが詳しく出ています。
それらと、子宮頸がんに罹患するリスクを考慮して自分で決めるのがよいのではないかということを娘はいいたいんだと思います。

いろんな考えがあるので、あくまで個人的な意見です。不愉快に思われた方がいたらごめんなさい。

本当は専門家でも無い素人の私の意見なんて烏滸がましいし、間違ってたら大変だからと、出すのを躊躇っていたのですが、こう言った素人の子供を持つ母である私みたいな個人的な意見を欲してる人がもしかしたらいるのならとnoteにあげてみることにしました。

誰かのお役に立てれば何よりです。

※何せ素人なので表記に間違いなどがあればコメントなどで教えてください。すぐなおします。

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