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【地方移住】ポスター交換で見た共感の芽生え

 前の記事で決意表明をしていた地域の農産物直売所に貼ってある古くなって色あせているポスターを新しく張り替えることが出来た。

 直売所をいじるので、後々揉めないように様々な人に根回しや確認をしたところ、ほぼ話した人全員に共通していることがあった。それは、
「いいよいいよ、どんどんやって!」
とのことだった。

 そ、そうか、多くの人が直売所のポスター、観光用に置いてあるパンフレットが古かったりとか気にしていたのか…気にしていたことに気づいたことが最初の発見だった。

 今回相談や確認をした方々は、
・直売所の会長(70代)
・直売所の事務局担当のおじいちゃん(80代)
・直売所で当番をしている方々(70、80代)
・広報の仕事の先輩方(40、50代)
後期高齢者の方がほとんど。

 職場で10枚以上の観光ポスターをゲットした後、それは車に一時保管して、ポスターを張る脚立やガムテープ、画鋲などがあるか確認しに何度か直売所に通った。
 
 その時お店番のおばあちゃまズに今回のポスター張替え案を話すと共感してくれたようだった。脚立の場所を教え、「このポスターはまた張りたい。」「今やっちゃえば?」と言ってくれた。一応会長の許可が欲しかったので、また顔出しますと言いながらもお茶を頂く私。

 直売所に行けば会長さんに会えるかな、と思っていたけれど中々会えず直売所の事務局のおじいちゃまに先に会えたので今回の計画を伝えてみた。「限定!真田丸のロゴ入りお菓子!」とかいてあるポスターは破れているし何年も前だし外していいか聞くと、「隣のお蕎麦屋さんの許可がいるから」と言っていた。

 お蕎麦屋さんの店長さんは広報の仕事を始めて顔見知りになったので外していいか聞きに行った。すると「いい!いい!もうお菓子売ってないし!」と言ってくれたので外すことが出来そうだ。

 会長さんには広報の仕事中に顔を出してくれたので許可をもらった。これで根回しと確認はOK、実行するだけだ。

 ポスター張替えの朝、保育園に子どもたちを送った後通り道に直売所があるのでそのまま立ち寄った。大量のポスターとガムテープ、マスキングテープ、両面テープ、画鋲も持ち込む。

 その日の当番さんは長女と同い年の子のおばあちゃんで顔見知りだったのでほっとした。ポスターを張り替えるのでちょろちょろさせて頂きますと伝えると「まだお客さんも来ない時間帯だから手伝うよ~」と言ってくれた。店中のほこりをかぶって破れっぱなしだったポスターを順番に外していく。全部外すとさすがにさっぱりした直売所になってしまった。

 「あ~こりゃいけねぇや、全部取っちゃって、あ~あ~。」といいながら90歳手前の当番のおじいちゃんが裏から顔を出した。
「これからまた新しいの貼りますよ。」と言うと半ば疑わしそうに「ここも、ここも、さっぱりしちゃって。」と文句を言っている。

 こういうおじいちゃんの相手の仕方を私は知っているのだ。10年以上アパレル販売で身についたとも言える。
「おじいちゃん、時計の横に貼るポスターはどれがいいと思う?」と作業に巻き込み且つ判断を委ねるのである。そして選んだポスターを一番よく見る時計の隣に貼り「いいね!!」と伝えるとまんざらでもないおじいちゃんがゆっくり行動を起こしてくれるのである。

 文句ばっかりは言うのも聞かされるのも疲れるだけだ。だったら共感できるところを探して一緒に何かを決めたり話したりする方がよっぽどいい時間が持てる。相手に判断を委ねたりその判断を肯定していくことが相手との距離を縮める(もちろん相手による)、と考えている私はおじいちゃんとポスターの貼るデザインと位置を決めた。

 最初は私とおばあちゃんだけで始めたポスター張替え作業だったけれど、おじいちゃんが他にも行動を起こし始めていた。まず、丸まってくるくるになっているポスターを入念に裏から丸めてまっすぐにしてくれていた。そしてポスターを張り替える私の脚立を支えてくれ、まさかの脚立移動まで!そして最後には「外に貼った方がいいんでないの?」と自ら貼る場所を提案してくれるように。ありがたいの極み。

 1時間ちょっとで終わった張替え作業。たったそれだけのことだったけれど、色々な年齢や立場、考え方がある人と話を出来る私自身にもいい機会だったと思う。これからも広報の仕事と農業の仕事がつながることに小さいことでも挑戦ごとでも向き合っていきたいな、と考えている。


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