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三鷹市美術ギャラリー(東京都三鷹市・三鷹駅)

三鷹駅前からすぐの商業ビル、コラルの中にある美術ギャラリー。ミュージアムというよりもギャラリーといった規模で、1フロアに3つの展示室がある。今回おとずれた時は収蔵品の展覧会となっており、なんと無料で著名な画家の作品を見ることができる。時期によって前期と後期に分かれ、今回は後期、瑛九の作品が112点も展示されている。

瑛九は本名を杉田秀夫といい、戦前〜戦後にかけて活動した画家・版画家。当時にこのような変わったペンネームを使用する人は珍しく、幻想的なその作風も相まって、前衛画家としての地位を確立している。

展示されているのは版画作品。リトグラフ、またエッチングが大半で、サイズ的にもA4、あるいはB5サイズくらいの割と小ぶりな作品になっている。残念ながら撮影ができないが、いずれもシュルレアリスムというか、実態が掴めない。悪夢がそのまま紙の上にのっかったかのような作風で、モノクロームなのでまだマジマジと見られるけれど、これがカラーとなって具現化したときには目を背けたくなるような不穏さが漂っている。アナーキーというべきか。赤瀬川原平、池田満寿夫、宇佐美圭司らバラエティに富んでいた前期にに対して、後期は瑛九のみの展示というのもまた挑戦的で興味深い。

展示室の一部は太宰治の旧居をイメージした「三鷹の小さな家」となっている。こちらは前回おとずれた時と内容に大きな変動はない。ただ根強いファンが多いため、ギャラリーに比べて狭いながら訪れている見学者の数も多い。仕事部屋では文机を使って執筆体験もできる。トイレはウォシュレット式。


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