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国立新美術館(東京都港区・乃木坂駅/蔡国強展)

国立新美術館では企画展として蔡國強の展示『蔡國強 宇宙遊-〈原初火球〉から始まる』を開催。中華人民共和国の出身で現在はニューヨークを中心に活動している作家で、アジア圏を出身とする作家の中ではかなり世界的にも有名なアーティストと言える。火薬を用いた作品制作を主としており、そのルーツについて作家の歴史と共に紹介している。

蔡国強のアイデンティティの一つとして、中国の文化と関わりの深い火薬での作品制作が挙げられる。東洋哲学や社会問題をコンセプトとして作品を製作している。蔡は割と早い段階で中国から日本へと移住しており、日本の文化に多く触れることが多かった。その後はニューヨークに拠点を移して活動しているが、日本との親密な関係は続いており、自身の制作した作品でヒロシマ賞を受賞したり、いわき回廊美術館のデザインも手掛けている。

火薬を効果的に用いた展示

一般的な視野も含めて考えてみると蔡國強の作品として最も人口に膾炙するしているのは北京オリンピックでの視覚特効芸術監督と花火デザインだろうか。中国の伝統的な文化である火薬を使ったパフォーマンスでは他者の追随を許さない。会場では火薬を用いたインスタレーションをはじめ、電極を活用した巨大なインスタレーションも目を引くところ。

会場の半分くらいが電極の展示

原初火球とはビッグバンのこと。自身の作品の爆発的なルーツと宇宙のルーツであるビッグバンを重ね合わせながら、その波乱に満ちた生涯を紹介している。蔡と夫人にとって日本の特にいわき周辺は思い入れのある場所で、自身もいわきに関する制作を行ったりと思い入れの深い場所だったという。展示会場ではそのいわき市の復興のための作品づくりの背景まで紹介されている。トイレはウォシュレット式。

インスタレーションの巨大さは圧巻である


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