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るろうに剣心 最終章 The Final

「その消えない傷は、彼が背負う十字架だった」

◎“小さくも強靭”な物語と”至高にして究極”のアクション

現時点で邦画史上圧倒的No.1アクション!!
るろ剣シリーズと言ったら何といっても、無言で魅入ってしまうゴイゴイスーな”華麗な剣術アクション”
今作もまぁーカッコよすぎて、凄すぎて思わず笑ってしまうレベル。笑
第一作公開から10年経っており、その場の付け焼き刃で作れるようなものでは当然なくて、長い時間を共にしてきた大友組だからこそ作り上げられた、”るろ剣アクション”のいわば一つの完成形がそこにはあった。
とことん突き詰めて、練りに練って、緻密に計算された一振り一蹴りは、もはや芸術と言っていいだろう。
本当に観ている我々の心を一気にドライブがかかるアクション。それを可能にできたのは、高性能なエンジンとそれを動かすモーターがちゃんとあったからで、谷垣健治をはじめとするアクション部と、佐藤健をはじめとする役者陣の歯車がしっかり嚙み合ったからこそ生まれた唯一無二のアクションなんだと思った。
また、剣心が使う飛天御剣流の見せ方も今作は特に良くて、一対多数の戦いを得意とする剣術なんだけど、ゲームの無双シリーズをやっているかのようなダイナミックさ。これは演出の部分も含めて素晴らしかった。
物語に関しては、前作の志々雄と剣心の戦いに比べるとスケール感はかなり小さくなっているのは確か。しかし、小さいがゆえに艶やかで儚くも美しい様が雪や雨のシーンも相まって際立っていた。
前作では互いが時代を背負って戦っていたが、今作の剣心と縁は、互いが同じ人への、でも違う形の愛を持ってぶつかっていた。それは、我々も共感しやすく、凄くシンプルだった。シンプルがゆえに分かりやすく、そして力強かった。

◎雪代縁というもう一人の”主人公”

今作がここまで面白くなった大きな理由は、誰が何と言っても新田真剣佑という存在だろう。
この人なしではこの映画は成立しないだろうと確信するぐらいの圧倒的存在感とドハマりっぷり。佐藤健演じる緋村剣心と同じぐらい、かなり魅力的なキャラクター・敵役だった。
まずその完璧なるヴィジュアルね。あの二次元から飛び出してきたかのような甘いマスクに、銀髪でサングラスをかけ、印象的なシャレオツな中華服、まぁカッコいいこと。そしてあの筋肉ですから、いやもうアクションが映える映える。毎分毎秒目が潤って仕方がなかった。
そして流石アクションスター千葉真一の息子、めちゃめちゃアクションが凄い、とにかく凄すぎる。本当敵ながら惚れ惚れする。
横浜駅でのアクションから始まる映画冒頭で一気にボルテージMAX。狭い通路内での重力を感じさせないド派手な体術とけん玉アクションとで雪代縁の強さを一目で分からせる冒頭シークエンスから最高。
そして最後の剣心VS縁の一騎打ち。ここではBGMが無くなり、聞こえるのは二人の息遣いと風を斬る音だけ。一生観ていられる、いや観ていたい、終わらないでと思ってしまうほど、互いの感情がバチバチにぶつかり合い、モーションとエモーションが完全に合致したここ近年稀にみるベストバウト
縁の使う倭刀術もそのトリッキーさがまたカッコよかったし、それらを作り物感無く完璧なまでに表現・体現してた新田真剣佑の持つポテンシャルの高さに感銘した。
さらに、そういったアクションをただカッコイイだけで終わらせないのも素晴らしくて、縁の持つ深い怨みつらみ、ただただ剣心への復讐の為だけに生きてきた哀しさ、淋しさが振るう剣からも感じるし、寂寥感溢れるその姿が観ていて辛かった。
縁というキャラクターは、パンフレットで監督も語っていたが、世界中で起きている紛争などの根深い原因は、時代や国境を越え拡がる怨みつらみの連鎖であり、そういったもののメタファーになっている。ではそれらを止める、救うには何が必要か。剣心を見れば分かる通り、過ちを認め、謝り、そして許す、真正面から受け止め、向き合う姿勢が大切なんではないかと思ったし、だからこその台本にはない佐藤健=緋村剣心の”活きた言葉”だったんだなと心が震えた。

佐藤健、新田真剣佑はもちろん、江口洋介や伊勢谷友介もまぁエロカッコよかったし、土屋太鳳なんてブルース・リーかってくらいビックリするほどアクション満載だったし、武井咲はいつにも増して可愛いし、青木崇高演じる左之助は相変わらずのやられっぷりだし。汗
原作にはない映画オリジナルのサプライズ展開も激アツで、原作未読でも楽しめる超絶エンタメ映画だった。6月公開の追憶編であるThe Beginningも楽しみでしかない。個人的にはかなりハードルは上がっているが、ドラマパートや時代劇としてのクオリティには期待したい。

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