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『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた』を読んで

自分と任天堂の出会いで覚えているのは、5歳の誕生日だったと思う。
お絵かきが好きだったので、『マリオペイント』を、おそらくスーパーファミコンとセットで買ってもらったはず。

当時住んでいた街のゲオで買ってもらった記憶がある。
ただ、あまりそれで絵を描いた記憶はなく、ミニゲームの『ハエたたき』ばかりで遊んでいた気がする。マウスで絵を描くのは少年にとって難しかったのかもしれない。

ゲームは、誕生日やクリスマスといった、特別なときに買ってもらう高価なもの、という印象だ。
そんな自分がまさかゲーム制作に関わるとは当時はまったく思ってもいなかった。

『岩田さん』という本の存在を知りながらも、このタイミングで本書を手にとったのは、現状やや手詰まり感があったため。
いま関わっているものの方針の違和感だったり、おぼろげで言葉に出来ていなかったことに輪郭を持たせたいということだったり。そういったヒントを求めて、購入したところ、とても刺さる言葉がいくつかあったのでピックアップしたい。

判断とは、
情報を集めて分析して、優先度をつけることだーp.26

状況がピンチの時ほど、実力が試されるというのはあると思っています。
その時により早く、より正確な打ち手を打てるか、というのが腕の見せ所です。

・情報を集めるという認識がないのか(= 現状把握力の課題)
・情報が集まっていないのか(= 情報収集力の課題)
・情報が集まっているが、課題を抽出できていないのか(= 課題発見力の課題)
・情報が集まり、課題を抽出できているが、打ち手がイマイチなのか(= 課題解決力の課題)

いま自分たちがどこで詰まっているのか?というのを俯瞰して、見る目が必要になってくる。

自分たちの得意なことが活きるように、
苦手なことが表面化しないような方向へ
組織を導くのが経営だと思いますーp.41

相互理解しないと、誰が何が得意で不得意なのか?というのは意外と見えてこない。
それが大きなチームサイズになればなるほど、意識しないと相互理解というのは減っていくと思う。

いま並行して読んでいる、『一兆ドルコーチ』にも、1on1の重要性が書かれていた。任天堂、グーグルといった世界で活躍する会社のトップの人たちが言っていることなので、これは本質になるのだと思う。

最初、お客さんは、たいして興味がないどころか、まったく興味がない。
いつもそこから、はじまるーp.52

これは本当にそう。
そもそも「知らない」と選択肢にも入らないし、知ったとしても「惹き」がないと手にとってもらえない。
だからこそ、最初に「お!」と思ってもらえるフックが必要になる。

ここ2年くらいで、プロットを作成したり確認したりすることが多かったが、出だしで惹きになるような「パワーワード」というのはとても意識する。
せっかくなら手にとって欲しいし、手にとってもらえたからには、良かったと思って欲しい。

新しい人が入り続けることはとても大事なんです。
新しい人が入るようにしておかないと、
いつかかならずお客さんはいなくなってしまうーp.158

運営成熟期以降のプロダクトにありがちな状況なのが、「いまいるお客さんの単価を上げる」という打ち手。
「いまいるお客さん」もいずれは離れていってしまうのが宿命ではあるので、「これからのお客さん」を育てていかないといけない。
ただ、「これからのお客さん」を育てていくというのは、結構大変。
掛ける労力に対して、得られる効果というがさほど高くないというのが一般的だったりする。

短期目線だと、半年後のプロダクトコンディションよりも、今月・来月が予算比で超えているかどうかが「評価基準」になってしまう。
なので、上記はやりつつも
・新しいユーザーさんを入れる
・そのユーザーさんが楽しんでもらえるような導線をつくる
というのは、並行して覚悟をもってやらないといけない。

人間って、自分がしたことに対してフィードバックがあると、
それによって次の動機が生まれるんですね。
逆にいうと、フィードバックのないことって続けられないーp.171


つくっていて一番楽しいと思うのは、やはり反応があるとき。
企画時に反応を狙って設計するので、「狙い通り!」となるのはやはり嬉しい。
後はこちらが思っていること以上のリアクションがあると、「なるほど」とこちらも嬉しくなります。

ただ、気をつけないといけないのが過度なリアクションを外部に期待してしまっている時。
それがないことで、「モチベーションが下がる」となってしまってはもったいないので、過度な期待は禁物というのがここ数ヶ月で学んだことでもある。

気になった方は、無料で半分読めるようです。

書籍でガシガシとラインマーカー引きたい方は、紙の本がいいかも。
ぱっと気になるところ見返せますし。
後で見返したときに、あの頃の自分はここ気になっていたのか、という記憶が蘇るのでおすすめの読み方です。


よく読んで、よく書く。
良い本があれば、また紹介していきます。

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