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悲惨なニュースの意義を考えてみたいわたし「どうしても生きてる」/読書感想

朝井リョウもっと読みたい。この本は短編集でした。

・健やかな論理

 『健やかな論理』=『暴力描写のある漫画を好んでいたから、あいつは人を殺した』『この登場人物は再配達を頼んでいたのだから、死因は自殺ではないだろう』

”この論理が正しいと信じることで自分がおかしくないと安心したい。
あの人はおかしいから正しいのは自分である。
自分と他者に壁を作る。
しかし、この論理は正しくない。
自分と他者に、幸福と不幸に、生と死に明確な境目はない。
積もり積もったものの最後の一滴は誰にも分からない。”(本文抜粋)

→これ、前に読んだバイアス事典の「公正世界仮説」の考え方だと気づいちまった。この自分の知識がつながる感覚が本当に大好きだし、誰かにわかって欲しい。

報道ニュースを見ていて一つこの話と結びつきを感じた。
自分は前から報道の意味がよくわからなかった。
どこかの誰かがある時間帯にどのように殺されたかなんてめちゃくちゃどうでもいいやんと。
コンビニのコンセントを利用して焼きそば作ってた男が逮捕されました(今日のニュース)・・・いや、だからなんやねんって。

でも、これってもしかしてまともじゃない誰かを見て落ち着きたい視聴者の隠れたニーズを満たしてるのかもしれないって思った。

事件、事故の報道の理由としては、、、記録を残すこと、被害者救済や復旧の間接的支援、注意喚起、再発防止が主なものらしい。
なるほど。
このまともになりたい需要が潜んでると私は考えてみたい。
面白いから。

・痛いに決まってる

なんかえぐいけど、人間の表と裏が見れるお話は好き。
なんか性の欲求ってその人の見かけ・性格と全く関係なくないですか?
この作品の登場人物の話であって一般的には知らんけどね(SFじゃないんだからこの作品の登場人物は一般に当たり前のように存在すると思っていいのですが)。
いや、統計的なデータがないだけか?

・籤

くじと読みます。あみだくじのくじ。
最後の短編は他の短編との絡みが多かったかも。
朝井リョウは一冊の中で真逆の概念を持ち込むから、あーそっちの考えだとそうなるのねとかさっきの考えはそう否定できるのねってなるから面白い。一辺倒じゃないのが好き。


2021/7/15


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