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エッセイ|記憶のマリアージュ

匂いと記憶は結びついていると聞く。

ぼんやり生きている私でも、なんとなく実感がある話なのだが、最近珍しいタイプの匂いと記憶の連動を経験した(たぶん)ので、書き留めておきたいと思う。

先日、友人からちょっと良いハンドソープを貰った。いや、先日は嘘です盛りました。半年以上前(初春頃だったと思う)に貰って、漸く使い始めた。普段はスーパーで買える某泡のハンドソープを愛用しているので、なかなか出番がこなかったのだ。あと容器がちょっとデカかったし。我が家の水回りにはそんなにスペースの余裕がないのである。

しかし某泡の詰め替えパックが切れたとなれば話は別。これは良い機会とお洒落な容器を出してきた。早速ワンプッシュ、ふわっと広がる香りから頭をよぎったのは…
『銀座』という単語だった。なんで??この匂い初めてだけど???

大変いい匂いで好ましいものなのは間違いない。ちょっとしたスパイス感と爽やかさと白樺っぽさが合わさったような感じの匂いだ。(…さっぱり言語化できない。成分表示をみたところ、ゼラニウム、ラバンジン、ユーカリと書いてあったので、これらが良い感じにミックスされていると思ってください。正直ラバンジンも知らないけど。)ただ、やっぱり初めて使うし、自分も周りもほぼ香水をつけないから記憶に残るような思い当たるものは無いんだけどな〜。うーん。

とモヤモヤ考え続けて数日。なんでこんなこと考え続けているのかと思われそうだが、仕方ないのです、手を洗う度に思い出しちゃうんだもん!

その結果、ひとつの仮説に辿り着いた。銀座の記憶の平均値=この香り、というものだ。
銀座から連想すると、私の場合以下の3つが出てくる。
①お洒落な鞄屋さん(通勤バックを探して一時行脚していた、なんかうっすら甘い香りの印象)
②インド風アフタヌーンティー(お気に入りで繰り返し行っている、ちょっとスパイシーなお茶とお菓子の組合せが最高)
③大きな楽器店(ロビーは天井が高く少しヒンヤリしていて、どことなく静かな森感がある。)

これを足して3で割ると、あのハンドソープの雰囲気になる気がするのだ。記憶の中のイメージを混ぜ合わせたものが香りとして現れたから、きっと頭の中にも『銀座』がバーンと出てきたのだろう。合っているか分からないが、数日のモヤモヤに説明がついてちょっとスッキリした。ほんと、合っているかは分からないけど。

さて、こんなことをしばらく考えていたので、今度はハンドソープを使う度にこの仮説(妄想?)を思い出すようになってしまった。漠然とでも銀座のままの方が、なんかお洒落だったのでは…?

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