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エアーズロックトレイル 8mile -1-

2023年7月、オーストラリア入国。
ただただ現実逃避のために向かった国。メンタルダメージの症状が悪化し、社会復帰の見込みが立たない私が絶望とともに過ごした国。季節は真冬。
気温5℃のメルボルンに3日間滞在し、ウルルへ移動。

クラシックな建物が立ち並ぶ街並みから1時間ちょっとで、赤茶色の土しか見えない大地が広がっていく。小型飛行機の小さな窓に顔を押し付けるほど近づいて、見たことのない景色に目を奪われたままの時間が続いた。

土と雲と空だけの大地・異世界に来たような感覚

道さえないただの大地。誰も踏み入れたことのないだろう地上が続く。

エアーズロック空港に到着し、ウルル カタ・ジュタ国立公園での1泊2日キャンプをするために、現地ツアーのバスを待って乗り込んだ。

「Hello!」

バスにはすでに5人が乗っていて、笑顔で挨拶してくれた。オーストラリア人の男女ガイドが年齢も国籍もバラバラの私たち6人をひとつのパーティーにまとめるべく、ウルルの土地の歴史的な背景を説明してくれた。これからとても神聖な場所にお邪魔するのだという興奮が湧いてくる。

バスは赤茶色の土と乾いた木々のあいだに走る道路の上を進んでいく。いつまで経っても変わらない景色。目の前にはエアーズロックが見えているのに、全然大きさが変わらなくて遠近感がバグってくる。
どれだけ大きいんだ、あの一枚岩。

バスは荷物を積んだコンテナを引っ張って進む

しばらく進むとウルル カタ・ジュタ国立公園のゲートが見えてきた。ここで人数分の通行料を支払って公園の中へ。世界遺産であるこの国立公園には、ウルル(エアーズロック)とカタ・ジュタ(オルガ山)という巨大な岩が存在し、公園の広さは132,566ヘクタール。
規模が大きすぎてもうよく分かんない。東京ドーム何個分みたいな表現は通用しないし、そんな表現など陳腐に感じるスケール。

カタ・ジュタのフォルムはかわいかった

今日はまずカタ・ジュタに向かう。その前に、参加者それぞれの自己紹介タイムがあった。

ドイツ人の親子3人。お母さんと高校生の息子さん、オーストラリアでワーキングホリデー中の20代の娘さん。
「母はあまり英語が得意ではないので、僕が通訳します」と男の子が言った。娘さんはピー音が入るスラング使いまくるやんちゃ系女子。

一人で参加していたのはアイルランドで高校教師をしている男性。もう一人はスイスの女性。仕事を休んで1年間ほど世界を旅しているという。

私は「Japanから来ました」と開口し、職業をどう伝えようか迷ったあげく「TV producer」と説明した。

みんなが「Oh!Wow!」とリアクション。
今、その仕事休んでるし、復帰できるかも分かんないんだけどね…と心の中でつぶやきながら。

お互いの挨拶を済ませた私たちは、巨大な岩に向かって歩き始めた。

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