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週末に迫る都知事選、この街を「ヘイト」で覆わないために

東京都知事選が目前に迫っています。

テレビ討論会が開かれない中で、6月27日、Choose Life Project主催での「わたしの一票、誰に入れる? 都知事選候補に聞く10の質問」が放送され、津田大介氏の司会のもと、山本太郎氏、小池百合子氏、宇都宮けんじ氏、小野泰輔氏の4氏が議論を交わしました。

10の質問に対する各候補者の回答は下記の通りです。

この中で私が注目したのは、「ヘイトスピーチ禁止条例」の制定に「×」をつけた小池氏、小野氏、両者のコメントです。

ヘイトや差別に対する二人のスタンスが垣間見える場面が番組中にもありました。

毎年9月1日に墨田区横網町公園で行われる「関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典」には、歴代の知事が追悼文を寄せていました。ところが小池氏は、2017年からそれを取りやめています。

その上、横網町公園の占有使用許可申請の受理を、都は3度に渡って拒否しています。これに対して抗議の署名がネット上で3万筆以上集まっています。

これを司会の津田氏から問われた小池氏は、「大きな災害で犠牲になられた方、それに続いて”様々な事情”で犠牲になられた方、すべての方々に対しての慰霊という気持ちに変わりはない」という曖昧な回答に終始しました。

関東大震災後、朝鮮半島にルーツを持つ方々が命を奪われたのは、「自然災害」による死と大きく異なります。当時、市井の人々だけではなく、警察などの公権力もデマに流されたことで、虐殺が起きたことが指摘されています。だからこそ公人が、繰り返さないための意思を示す必要があるのではないでしょうか。

「虐殺」とは言わず、”様々な事情”という曖昧な文脈に回収しようとすることにも、彼女の歴史認識の一端が表れたのではないでしょうか。

続いて気になったのは、過去に「レイシスト」としてみなされるようなツイートをしていたのではという指摘に対する、小野氏の回答です。

ここに私が挙げたツイートは飽くまでも一例です。

これに対し小野氏は、「自分にも在日の友人がいる」と答えています。ただ、「友人がいる」ことは差別をしていいという免罪符ではありません。

これは「I have black friends」という言葉で、黒人差別を否定する論法とも重なるように思います。

私の知人たちの中でも、小野氏が熊本地震後の復興に尽力されことを高く評価する人たちは少なくなくありません。ただそれも、他国の人たちをまとめて蔑んだり、女性の身体的特徴を揶揄していい理由にはならない、と思うのです。

都内でも、耳を塞ぎたくなるほど醜悪な言葉で、他国にルーツのある人々を罵り歩くヘイトデモは繰り返されてきました。

けれどもその差別の矛先を向けられる人々の中には、この社会に懸命に生きながらも、日本国籍を持っていないために、投票で直接声を届けることが叶わない人たちもいます。

そんな友人たちが少しでも生きやすい社会になるように、という願いも込めて、私は投票に臨んでいます。そのためには、過激な言葉や、派手なパフォーマンスとは真逆の態度が、選ぶ側に求められてくるでしょう。

目立たなくてもその人が何を積み上げてきたか、逆にどんな問題発言や行動をしてきたのかとも、冷静に向き合いながら投票する候補者を選びたいと思います。

最後に、「投票では何も変わらない」と感じている方もいるかもしれません。けれども今、自分が何に問題意識を持っていて、何を変えたいのか、そう考えながら候補者を選んでいる時点で、自分自身が既に変わっているのだと思います。

「変えてほしい」から「変えていきたい」への変化は、そこから始まるのではないでしょうか。

参考:


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