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水出しのお茶を世界のカルチャーに

アメリカ展開を前進させるために、英語が得意ではない私は、ポケトークを握りしめ、22年12月上旬コロナ禍の谷間のタイミングで極寒のオレゴン州ポートランドに降り立ちました。そこでは、アメリカでの水出しのお茶の無限大の可能性を直に感じることができました。この渡米がなければ、一坪茶園のアメリカ事業展開を前進させることは難しかったと思います。早速、この渡米についてお話をさせていただきます!

羽田空港からシアトル経由でポートランドへ

何よりポートランドは電車とバスが空港から都市・地方エリアまで走っており、車を運転できない私でも自由に動き回ることができました。夜スーパーマーケットの視察に熱中しすぎていつの間にか真っ暗になってしまった日などは、通訳のまゆかちゃんにLINEで安否確認の連絡を取り、慌ててUberに乗り込んだり、朝から晩まで活動して過ごしました。

ポートランドのトレイル:トライメットライン

アメリカ出張が紡いだセレンディピティー

まずここで、まゆかちゃんの紹介をさせてください!出張前に他にも通訳の候補者さんが数人いましたが、他の誰よりも一坪茶園のビジョンに強く共感してくれたのがまゆかちゃんでした。私自身アメリカ出張での通訳をどうしてもお願いしたいと思い、アメリカ出張の1週間を一緒に(まゆかちゃんはオンライン通訳として参加)過ごしました。この出会いは、本当に素敵なセレンディピティーで、共通の知人である元サントリー飲料中味開発者の方からまゆかちゃんをご紹介頂きました。実は、まゆかちゃんもまた、元サントリーの飲料中味開発担当者で、今はアメリカ人の旦那様と結婚、ロサンゼルスに在住しています。このアメリカ出張を機に、一坪茶園アメリカチームメンバーとして、通訳のまゆかちゃんがジョインしてくれることになりました!彼女がいなければ、今のアメリカチームの前進はありえません。この出会いに心から感謝しています。

 
私とまゆかちゃんは、サントリーで仕事でのやりとりしたことはなかったのですが、すっかりアメリカ出張前の事前打ち合わせで意気投合、アメリカ出張中、精神的に本当にまゆかちゃんに支えてもらいました。ちょうどその頃日本では、海外から日本帰国者からオミクロンが1人で始めた頃で、アメリカからの入国規制が日々目まぐるしく変わり強制隔離条件や期間も厳しくなっていきました。渡米自体に対して、周囲から心配の声なども多々ありましたし、現地の医療機関で72時間以内のコロナ陰性証明書の受領が必須で、事前に現地の病院予約等、個人で渡米するため全て自分でやらなければならず、こうした手続きも時間を作ってサポートしてくれました。こうした物理的・精神的サポートに支えられ、予定通り渡米することができました。

渡米で実現したかった3つのこと

今回渡米した目的は、大きく3つでした。

 1つ目は、ブランドパートナーであるSnow Peak USでの店頭販売やレストランでのサーブ状況、そして現地のお客さん達の一坪茶園のお茶に対する感想を聞くこと。

2つ目は、日本の有識者の方からご紹介いただいた現地のリサーチャー、アートディレクターの方々にお会いして、アメリカチームにジョインしていただくこと。

3つ目は、ローカル・日本スーパーなどの違いをストアコンパリソンし、一坪茶園の製品展開をすべき販路の示唆を自分なりに得ることでした。

 

”一坪茶園”のアメリカでの可能性

まず1つ目についてお話しさせて下さい。スノーピークUSでは、店頭ではボトルと一緒に展開してもらっていました。ポートランドのストアマネージャーのHallieと通訳の田邊さんとミーティングをさせて頂きました。事前に、Snow Peak USのお客様に試飲会を開いてくださり、そこでアンケートも20人以上分を取ってくれていました。その中でこんなコメントがありました。

snow peak USストアマネジャーのHallieと通訳の田邊さんとミーティング

 「一般的なお茶は苦いものですが、これはストレートで飲めます。焙じ茶を飲みました。特に、甘い香りがするのが良いと思いました。仕事中にとても簡単に消費できるのが良いと感じました」

「焙じ茶を飲みました。このお茶は、香りが良い。特に、より甘く、よりしっかりとした味わいが好きです。仕事中に、coffee代わりに飲んでみたい。

「焙じ茶を飲みましたが、ナッツのような風味があり、大地の香りを感じました。これは、特に水でだせること、冷やして飲むことができるのがいいです。」

snow peak USのストアでの一坪茶園のお茶の展開

手軽にマイボトルで、水だけであれば美味しく飲めるティーバッグのお茶は、アメリカ現地では、あるようでなかった飲み物であり、ポテンシャルを強く感じました。こうした現地需要性を強く感じるコメントを現地到着後にドキュメントで受け取り、それを読み込んで、とても嬉しかったのを思い出します。ローカルカフェである、スタンプタウン・コーヒー・ロースターズのカフェでそのドキュメントを日本語訳して一人でニヤニヤしていたのが懐かしい(トップの写真)です。何より、お茶の水出しでも、甘くて美味しく、しっかりと香る点がアメリカの人たちにとって価値になるのだということことがわかりました。

アメリカチーム結成にむけて

次に、現地で様々な方々に事前にアポイントをとりミートアップさせて頂きました。ビジネスパートナー候補である、WillとMichaelの2人を始め、現地でお茶事業の経営者、現地デザイナー、そして、ポートランドで事業展開している日本人のFond福山さん、福山さんから紹介を受けた現地駐在の商社マンの徐さんにもお会いし有意義な知見をいただくことができました!

 まず、Willはアメリカを代表するリサーチャーで、米国展開に必要なリサーチ要素をディスカッションさせて頂きました。「何より、成功確率を上げる為に、リサーチに基づくペルソナとジャーニが必須である。一番重要なのは、マーケティングメッセージ含めて、すべてのタッチポイントがメイクセンス、つじつまが合うように、すべてを含めて話があうようにしないといけない。

よくやるのは、メイクセンスするために、私たちがやりたい、複数のペルソナ仮説を立てその中からペルソナを選ぶ。そして、このペルソナがやるジャーニー(行動パターン)を見ていく必要がある。」と彼は言いました。

Willとのミーティング

ジャーニーとは、以下ステップで詰めていこうと議論をしました。
Step1:Hear
・なぜ、いつ、どこで、どうやって、製品に出会った?
・ファーストインプレッションは?
・どこで聞いた?どこで知った?
Step2:Learn
・その製品について、何を知ってもらいたい?
・何に興味を示す?
Step3:Buy
・競合相手がいっぱいいるのに、なんでこれを選ぶ?
Step4:Use
・何が一番気に入って使うの?
Step5:Dispose
・捨てる時点で気にするポイントは何?
・地球に優しい?

もう一人、ZibaのアートディレクターであるMichaelは、事前に送った一坪茶園のお茶にボトルを持参してミーティングに来てくれました。そこで、彼は一坪茶園のお茶の価値をこう伝えてくれました。

Michaelとのミーティング

一坪茶園のお茶は、毎日の習慣のような、ちょっとそこに遊びや楽しさもあって、だけど、セレモニー的要素がある。抹茶を立てるといった日本茶のティーセレモニーは儀式的でお堅い感じがするが、一坪茶園のお茶はお茶はそうじゃなくて、お茶なのに、簡単にポンといれるだけでお茶と水だけで美味しいお茶ができる、この行為は、全然複雑じゃなくて、自分の手の中でコントロールできる。忙しい毎日の中で、どこかで一瞬の間でも自分のRitual(経験をもちあげるようなこと、教会に行ったときに石に触る、教会にキャンドルがあるとか)が必要な時がある。こうした時に、このお茶は、とてもシンプルに、エレガントに、ファースト(すごく簡単・短時間に)自分のお茶が作れることで需要があると思う。」と。

一坪茶園のお茶は「Convinient+」であると表現してくれました。単に、Convinient なだけではなくRitualあるので、「+」がつくと力説してくれました。とても新鮮な響きでした。

現地で人気のお茶カフェ前にて

こうした現地の方々との議論や消費者アンケートを通して、アメリカにおける潜在顧客のペインは、カフェイン&砂糖をとることによるアップダウンしてしまうこと、すなわち、「カフェイン&シュガーアタック」であることがクリアになりました。そこで、水出しのお茶は、カフェインがコーヒーに比べて1/3であるため、コーヒーや水・炭酸水の代替となり、それらを解決することができることがわかりました。手軽に作れて、ちびちび水みたいに飲めるのに、コーヒーや水・炭酸水より満足感があることが価値になるもわかりました。

 それに加え、「簡単・手軽(シンプルに)作れる)」「(アメリカではペットボトルのお茶が当たり前でないので)持ち運びできる」「地球にやさしい(エコフレンドリー)」「本物(オーセンシティ)で美味しい」「お茶をポンといれるだけ」「お茶がでるまで待つ(色の変化を楽しむ)プロセス」が価値になることもわかりました。

 無事に帰国後は、14日間の強制隔離を追えコロナに感染することもなく過ごすことができました。こうしたアメリカ現地で得た知見を最大限活かし、アメリカでマイボトル×水出しのライフスタイルをカルチャーにしていくべく、アメリカチームを22年1月より始動。帰国後には、早速アメリカチームでミーティングもスタート。年内のローカル製品・サービスのテストローンチを目指していきます。目下、アメリカテストローンチに向けて、タイムラインを作成中です。

22年2月のアメリカチーミーティング

何より想いを実現する為に、立ち止まることなく、既成概念に縛られず柔軟に都度学習し続け、チームメンバー、日本の飲み手のみなさん、協力農家さん達、丸山製茶さん、様々なサポートをくれる方々と一丸となり、もがき続けていきたいと思います!これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。

 次回は、先月テレビ取材のタイミングでお会いした掛川市の協力農家さん達とお話した内容をお伝えしたいと思います。

(一坪茶園代表 脇奈津子)

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