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感情の軌跡が筆致

今日は朝からアトリエに作品をとりに向かった。

家からアトリエはまでは車で30分ほどの距離だ。

遠くもなければ近くもない。

ゆっくり思考にふけるにはちょうど良い時間だ。


この作品を持って今から赤坂のギャラリーに向かう。

今日は作品購入を検討していただいてるお客さまもご一緒だ。

自分の作った作品を眺めてやっぱりいい作品だと自画自賛する。


ハケを使ったスタイルの作品は情熱的で筆致も鋭い。

思考が追いつかない速さで書き上げるので一瞬の勝負だ。

構図も筆致も自分の経験の蓄積が一瞬で出る。

良い作品は何度見返しても、やっぱり良い。


自分の作品を見ながら自分に向き合う。


そういえば最近、「Sだね」とか「破天荒だね」とか

そんなことを言葉を投げかけられる事が重なった。


いやとんでもない。

私ほど社会に恐れ慄いている人はそう多くないだろう。

逆毛を立てる猫と一緒だ。



私の世界に他人がいるのを自覚したのは中学生。

それから社会を知ったのは大学になった頃だ。

それから今も恐る恐る社会を歩いている。



ただ、繊細だからと引きこもるほど強くもないし

もうどうでもいいと振り切れるほど繊細でもない。



宙ぶらりんの精神状態が常に内在している。


その精神が緊張を持って世界を咀嚼している。

その感情値の高さが自分の核にあるからこそ作品を作る事ができるので

皮肉な話だ。


その感性に蓋をせず、殺さず生身に刺激を受けながら社会を歩く事


それが私にとっての筆だ。


結局人生の軌跡が筆致になる。

ようやく朗らかに生きれるようになったのは

たくさん経験してたくさん対処法を覚えた年の功だろう。


若い頃の感情値の高さと七転八倒の経験が作品の筆致に深みを与えてくれる。


高みを目指すのも苦しいだろうし

深みを目指すのも苦しいのだ。



逃げない、諦めない、感情に蓋をしない。




今日も1日生きるのだ。





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