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みやま なつみ
2022年12月6日 22:27
雨が降っている、と風のうわさで聞いて空を見ると、大きな虹がかかっていた。虹を見ると、少しだけ得をした気持ちになる。それが毎回、ほんのちょっとくやしい。 巨大、七色、半透明、弧。虹の特徴を列挙すると、なんだか奇妙な存在に思えてくる。見慣れた風景に突然現れて、いつの間にか消える。無害な怪異のようだ。ケサランパサランと同じような存在なのかもしれない。 怪異:虹。そいつは今日も我々の知らない間に
2022年11月13日 02:01
ふるえる手 午前1時のカラオケの個室でふたり息をひそめる
2022年1月20日 22:23
ウクレレの音はしめったカーテンのなかを光で満たすいきもの
2021年10月10日 22:08
日曜日ふんわり暗い夜を抜けてホットサンドで暖を取る朝
2021年5月20日 23:22
のろのろと進むあくびの渋滞と田んぼを駆けるオレンジの点
2021年4月29日 21:51
道端で はためく寿司が目に映る 寿司 あれは寿司 寿司 鮪 寿司 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 空腹で迎えるお寿司 海老とカニ味噌と鮪と海老と赤海老 あと一貫食べ切れるかな 止めようかな いや まだいける 赤海老ひとつ 食べるたび 数センチずつ伸びていく塔 眺めると満ちてく心 しあわせと 寿司で満ちてるこの腹に お茶の粉ひとさじ分の後悔
2021年3月1日 23:03
店頭のひなあられ見て四季を識る
2021年3月1日 10:04
校庭に授業中だけ降った雪みたいに溶けてしまった2月
2021年2月28日 01:42
鼻にキスして 目の縁なぞり いつも近くに いる花粉
2021年2月27日 02:04
まだ照らさないで やさしく頬を撫でる毛布がやけに心地よいから
2021年2月25日 23:15
輪郭がぼやけた山はこの街が起きる前だけはっきり見えるキャンディーの包みの端と端を持ち引っぱり開けるときのしあわせ
2021年2月25日 00:34
落ち込んだ心に気づき減っているお腹に気づく ごはん食べよう怒ってる人は空腹 泣いている人も空腹 ごはんをお食べ
2021年2月23日 23:21
前髪を持ち上げた風 人波の消えた校舎の深いため息進むたび灯る照明 ふりむくと廊下の向こうの光が消えた
2021年1月1日 22:11
ひと切れのりんごが月に変わるころとおいどこかで鐘がふるえた