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Day Seven | 仕事には期限があるから頑張れるけれども、期限のない人間関係を私は一体何をモチベーションにしているんだろう

夏休み7日目。

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お茶というキーワードだけ聞いていたので、始めお花屋さんに来たのかと少し驚いた。


2人は久しぶりだねと話しながら、
お店の奥に入って行く。

上を見上げたら、ドライフラワーが
吊り上げられていて、その空間に入るだけでワクワクした。

奥に扉があって
そこにはカウンターと椅子が並んでいる。

話しながら手際よく、オボンを並べてくれた。

お茶を淹れるという行為に対して知識が乏しい私は、熱々のお湯が出てくるかと思い
注がれているお湯の湯気がそんなに立っていないことに気付く。

蓋を閉じて、小さな湯呑みを並べて
交互に注いだ。

手元が空中のなにかを切るように
さっきのお湯を入れていた手とは
比べ物にならないくらい
スムーズに動く。

最後の最後に
チャッと急須の中の茶葉をバウンドさせるような歯切れの良い音が鳴った。

「どうぞ」

そう言われて、
手前に出されたお茶を目の前に
「かいでみる?」と
急須の蓋も開けて私に渡してくれた。

しっかりと香るお茶の香りは、本当に一瞬で、そのあとは私の鼻が慣れてしまったのか

香りと空気は一緒になった。


「熱々のお湯で淹れるものかと思っていました」

そんな感想を言うと、少しのお茶の説明と共に

「車、飛ばしてくるなんて思って。2人はさあ、きっと手に汗握ってきっとここにいるでしょう、いつもより、ぬるくしておいたんだよね」

と、話してくれた。

嬉しくなって、

湯呑みの縁に口を付ける。

とても美味しい。

私はお茶の詳しい事は、あまりよく分からない。それでもやっぱりこのお茶は
とてつもなく美味しいと思った。

小さな湯呑みが空になると、どんどん新しいお茶を淹れてくれて、その度に茶筒を隣に綺麗に並べてくれた。

話せば話すほど、
魔法にかけられたように会話をしてしまった。


奥さんと巡ったお花屋さんの話

お茶の話

仕事の話

旅の話

2人の間の話

その、どれもが思わず聞き入ってしまって、同時に私も私の話をとても話したくなった。




仕事には明確な期限がある。
何を、どのように、何日までに
仕上げなくてはいけない。

私は期限があるから頑張れる。
仕事が大好きで大好きでたまらない私でも、ゴールが明確にあるから、
ちょっと衝撃があったとしても辛くても
やる気が出ることもある。

どんなに大好きなことも、変化なく永遠にやり続けるなんて、出来ないと思っているし、なんだか拷問のような感じさえしてしまう。


「ここまで自分のベストで全力で頑張れば良い」



曖昧なものよりも
明確なものの方が惹かれたりする。

定性的な物よりも
定量的な物の方が価値を示しやすい。

目に見えないものよりも
目に見えるものを信じたくなる。



その人との関係性なんて、測れないからこそ
自分でつくって、深めて、時に壊して

時に修復するしかない。



離れたばかりの人に
また会いたいと惹かれてしまうことがある。

逆にずっと会っていないのに、急に会いたくなることもある。

それは友達、恋人、家族関係なく。


誰かと出会うことは、
自分の人生の中にはなかったページの物語の始まりでもある。

でも、きっと全ての出会いは
そうならない。
もう会えない人もいれば、会ったことすら覚えてない人もいる。


期限とか価値とか相手とか
そういうのが関係なく、ただ
続いてくらい曖昧なものがいい。


ただ、何も考えずに淹れるお茶より

目の前の人を思って淹れるお茶の方が

きっと、比べ物にならないくらい、美味しさを引き立てる。


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