ハイブランドおじさんとファストショップおにいさん
「あっ、ハイブランドおじさん。そのスーツ下ろしたて?ねえいくらなんですか。よかったらお店教えてくださいよ。今度彼に作ってあげようかなって思ってまして」
「ふふっ、君ね。このスーツいくらすると思っているの?このスーツはね、君の給料の二ヶ月分の値段なんだよ。君の貧乏な彼にはもったいなさすぎるよ。やめたまえ、このハイブランドのスーツを着こなせるのは僕のようなハイクラスの人間だけだよ」
「へぇ〜、そんなに高いなんてびっくりしました。意外っていうかすごいですね!」
「ねぇ、ファストショップおにいさん。そのスーツどこで買ったんですか。すっごい高そうじゃないですか?今度彼の誕生日だからスーツ作ってあげたいんですけど、私じゃ絶対買えないですよね」
「いや……言いにくいけどこれ安物だよ。ファストショップのバーゲンで買ったから一万円もしないんだ」
「ええ〜!うそぉ〜!そのスーツ私の給料の二ヶ月分ぐらいの値段のハイブランドスーツにしか見えないですよぉ!きっと着こなしが上手なんですね!」
「いや、着こなすって言ったってただのスーツだよ。着こなしようがないと思うんだけど」
「ああ凄い!もう彼のスーツなんかどうでも良くなったわ!」
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