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なつくまエッセイ【ゼンマイじかけのシンビジューム】

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こちらはエッセイのコーナー。シンビジュームは可憐なのに、よくみると毒々しいランの一種です。
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#随筆

歌は切ないけれど。うん、しあわせ!

数日前から玄関に大きなダンボール箱があった。おとなが体育座りできるくらいの、つい乗りたくなるサイズ感のもの。いびつなかたちをしていた。 旦那さんがオークションで車のシートを購入したのかと一瞬思ったけれど、ちがった。 それは私への誕生日プレゼントの椅子だった。大きすぎてバレバレだけど、知らんぷりをして誕生日まで過ごしていた。 誕生日当日。 朝方まで起きていた。 旦那さんはゴルフがあるから5時ごろ起床。少しすると、一階にある玄関から段ボールをもってあがってきた。 「誕

(随筆)咲いたひまわりといた夏

ひまわりが咲いた。 「ただいま」 をいう前に、土から天に向かってすくっとのびた黄色い花たちが迎えてくれる。 去年は、花が終わったのち、種からひまわりティーを作った。 私はそれを記事にした。ちょうどライフスタイル系メディアの仕事をしていたから。 少しして、そのメディアとは、さようならをしたけれど。 きっと蝉時雨の季節がくるたび思い出すだろう。あのメディアで書いていたことを。 またひとつ、ひまわりの思い出が増えたみたいだ。 未来の私は、今年のひまわりに対してどんな

誰にも選ばれない恐怖

人は透明人間になれる。 誰にも選ばれない恐怖を味わったときに、透明になるのだ。 それは「花いちもんめ」で誰も指名してくれないとき。 「好きな人と組んでいい」と言われ、最後まで残ったとき。 恐怖のふりした孤独は、人を透明人間にさせる。 ねえ、誰か気づいてよ。「いっしょに遊ぼう」と言ってよ、と心の中で叫んでも、みんな一人になるのは嫌だからとっとと近くの人と組んで、哀れみのような安堵の表情を浮かべるのだ。  それは大人になってからも続く。どこかに所属をしてもアテにしちゃい

(随筆)不確定な世界「達成感」

駅をおりて、グーグルマップを起動させた。 なのに、ぼんやりした色のまま動いてくれなくて、少しあせる。 いただいていたメールで住所を確認する。 よっしゃ、これで伺える! 私は小躍りするきもちだった。 ちょうどそのころ、グーグルマップ起動。 私のなかで妙な達成感が、ぐにゅんと突き出てきた。グーグル先生に頼らなくても、行く先わかったもんね、というねじ曲がった想い。 でもそういうプチ達成感(いや優越感か?)はすぐに消えてしまうものだ。 だってもう一度ちゃんと迷って、グー

(随筆)本日の不確定な世界

あんなこといいな、できたらいいな の歌ではないですが、口に出すと案外かなうものなので、みなさんも叫んでみませんか……。 なりたいモノが決まったら、とりあえず叫ぶ! そうすると、モチベーションがあがって違う世界をみることができますよ。 ……なんてこと、ありませんからねー。 地道にコツコツ。それしかないのです。誰に向かって言ってるかというと、自分でございます。 そんなわけで今日はおしまい。おやすみなさい。

ボケ防止のために知らない土地に行きたいわけでも職業旅人になりたいわけでもないけれど、近場の未知を開拓したい。そんな乙女心をわかってくれる人、この指とまれ。ってもう乙女じゃないなんてこの際抜きでね。ここすべてタイトルですが、どれくらい入るか興味があっただけなんて口がさけても言えないよ、好きだなんて。

なるべく知らない場所にいくとボケにくい、なんて話を以前きいた。 だからってわけじゃないけど、知らない場所に行くのが好きだ。 車でもナビ通りにまず走らない。直線距離をぐんぐん突っ込んでは迷い、おおまわりして喜んでいる。 ふらりと入ったお店で、天然酵母のもふもふパンを買って帰る。 それだけで、今日という日が特別になるのが、知らない土地のマジックだ。 数時間後、地元にもどりホッする自分がいるのも、たしかだが。 プチ旅行は、自分をちょっぴり生き物にしてくれる。

(随筆)ムショウになにかを壊したくなる

目の前に、ポテトチップスがあります。 買ってきてもらったものです。 夜中にお腹がすくことはあったけれど、あまり行動に移すほうではありませんでした。食べたらどうなるか、私のなかの優等生ちゃんがわかっていたのでしょう。でも最近の夜更かしのせいかしら、優等生ちゃんはさぼりまくりです。 かわりに姿を現すのは、ムショウになにかを壊したくなる、あばれ虫。どんちゃかどんちゃか、私のなかで破壊するものを探しているのです。 きっとポテチを食べたくなったのも、そのせいだと思っていますよ。

(随筆)人をバカにするもんか

ふだんは断言した言いまわしは、あまりしない。 ちがう考え方もあるんじゃないかって考えるから、ほんの少しの猶予をもうける。 だけど仕事に関して、ちょっと思うところがある。 私、がんばってます! は、あたりまえ。 ライターの仕事は、読者にとって有益か否かがすべてだ。 クライアントが納得するモノを作らないといけない。でもそれは、その先のユーザーがよろこんでくれることが一番の目的なわけでして。 内輪でもめて、私が正しい、正しくないは関係ない。 結果的に、ユーザーが制作物

皆既月食でしたね・月はきれいでしたか。あなたも同じかもしれませんよ。(随筆)

1月31日の夜は、皆既月食がみられた。 月って、人気者だよね。妬けちゃうくらいに。 月からしてみれば、誰かにこんなに覗かれているなんて思ってもいないだろう(「思う」という概念もおかしいけれど)。 だいたい月は、自分が黄金色や赤色に変化して見えていることも、雲に隠されてしまいがちなこともしらない。ただ月の居場所で、月らしい毎日(という言葉が正しいかはわからないけれど)を過ごしているだけなのだ。 それって、私たちにもあてはまること。 多くの人に注目されている人物でも、案

チャーハンの誘惑とRPG       (随筆)

noteでチャーハン大賞なるものをやっているらしい。チャーハン関係の写真やエッセイなど、なんでもいいのでハッシュタグをつけて応募すると、なにかもらえるみたいだ。 あまり応募要項を見ていないので、わからないけれども。 とにかくチャーハンなんて文字を見てしまったら、私のチャーハン熱が黙っていられないので、今日はチャーハンのおはなし(1文で3チャーハン、入りました!)。 チャーハンは、私にとって愛であり、宝さがしであり、癒しだ。 休日になると、私はよくチャーハンを食べた。

どうしてもっとガツガツいかないの、というけれど……。(随筆)

どうやら私は友人からすると、もどかしい性格のようだ。チャンスが転がっていたら試みるが、なにがなんでも自分の意見を通すぞ! という気合いが感じられないらしい。 以前、その友人と映画シナリオの合作制作をおこなった。かなりもめて、友だち関係にヒビが入りそうにもなったけれど……。まあ、なんとかカタチになった。 その甲斐あって、最初のシナリオは結構いいところまでいった。たしか3、4次くらいまで残ったらしい。 シナリオ作成中に何度も言われたことは「どうして、自分の意見を通そうと

「ある言葉に囚われている」(随筆)

その言葉は、昔ある人から教えてもらった。ときどき想い出しては、ドキドキしたり、うんざりしたりしている。 どんな言葉かくわしくは伏せるけれど、とても美しくそれでいて残酷なフレーズだ。だから印象に残っている。そういう種類のもの。 きっとどんな人であれ、ふと、よみがえる言葉を喉元に隠しているのだと思う。 それが、祝福の言葉ならば、しあわせだ。 それが、侮辱の言葉ならば、心が軋む。 だからこそ、人にはやさしい言葉を届けていきたい。 でも、ときどき、うまくいかないこともあっ