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『光る君へ』と『未来世紀ブラジル』との接点

『光る君へ』に登場して、主人公たちである、紫式部こと“まひろ”と、藤原道長に強烈な印象を遺した直秀は、

ふと、テリー・ギリアム監督の『未来世紀ブラジル』の、ロバート・デ・ニーロが演じた義賊を思い起こさせましたね。

この映画の発想の源となったジョージ・オーウェルが描いたディストピア小説『1984』を彷彿とさせる悪夢のような管理社会で、虚しい抵抗を試みるも、遂にロボトミー手術のような拷問により完全に破壊される主人公の夢想に登場して、主人公に束の間の“自由”を与えてくれた存在。

『未来世紀ブラジル』
のエンディング

主人公は情報省に対し奇跡的な勝利を収め、恋人と田舎へ逃亡する。

しかし現実は、主人公サム・ラウリーは大臣の拷問により発狂しており、彼の逃亡の夢は、傷つけられた心が見た幻想でしかなかったことが突如明らかにされる。

テリー・ギリアム監督のオリジナル版は、絶望的な最期を迎える。

※※※

私がこの映画を観たのは、ロードショー公開時の1980年代の一度切りですが、強烈な印象が刻み込まれるとともに、

この映画のエンディングで最期に流れていた、ノスタルジックでありながら悲しみに満ちたサンバ「ブラジル(の水彩画)」を初めて聴き、

今でもそのまま記憶の底に鳴り響いております。

表面的には、血で血を洗う戦はほとんど起きなかったが、もっと陰険で陰惨な権力闘争が繰り広げられていた平安時代の貴族社会。

実は、どこにも自由がなかった、“平安”とは程遠い世界だったのではないかという問題提起。

さて、毎熊克哉さんが演じた直秀の役割はここで打ち止めですが、

このドラマでも、彼が“遠くの国”に旅立ったという“夢想”を抱きつつ、彼女ら彼らの心の中にずっと生き続けていく存在なのだと思います。

大河ドラマ「光る君へ」
オープニング (ノンクレジットVer.)
NHK

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オープニングのテーマソングですが、クラシック音楽に造詣の深い人から、ラフマニノフ風味のサウンドであるという感想をいただきました。

一般的には、冬季五輪のフィギュアスケートで、かつて浅田真央さんが、キム・ヨナさんと、女王の座を賭けて熾烈な争いを繰り広げていた時に、真央さんがタラソワコーチの下で、フリー決勝の楽曲として選んだのが、ラフマニノフの曲だったので、そのようなサウンドをイメージされるとよいと思います。

一方で、このテーマソングを最初に聴いた時に、個人的には、ある楽曲の曲想がすぐに浮かんできました。

1970年代に、イタリアとフランス合作で、ルネサンスの万能の芸術家として名を馳せた、レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を描いた一大TVシリーズ『レオナルド・ダ・ヴィンチ ミステリアスな生涯』のテーマソングの曲想が、ごく自然に聴こえてきました。

そのことを、件の音楽に造詣の深い人に話したら、すぐにYouTubeで、ドラマ冒頭のタイトルソングを確認していただき、出だしはまさに瓜二つであるという言葉をいただきました。 

したがって、今回の大河ドラマ『光る君へ』タイトルソングは、ヨーロッパ中世ルネサンス期の曲想を想起させて、ラフマニノフのような、劇的で重厚なイメージを呼び醒ます風味付けがされているということがいえるのではないかと思います。

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