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【史】ダイナブック構想の話/IT全史を読む(17)

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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2022年8月6日配信の書き起こしです。

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にゃおのリテラシーを考えるラジオ

読書と編集の千葉直樹です。

このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。

今回のタイトルは、

ダイナブック構想の話

IT全史を読むシリーズの17回目です。

パソコンの原型

メメックスという、今、我々が手に持っているスマホの遠い祖先の構想の話をしました。

メメックスは、人の知能を増幅する装置として考えられたものです。

このメメックス構想を雑誌で見た、ダグラス・エンゲルハートという人がいます。

この人は、メメックスを自分で開発しようと考え、NLSというシステムを作ります。

このシステムは、 ビットマップディスプレイ上にグラフィカルユーザーインターフェースを表示し、マウスなどでそれを操作するという、今、僕たちが使っているパソコンそのもののようなものです。

しかも、これはネットワークにつながって、動作するものです。

NLSは、oN Line Systemを略したものなのです。

そして、メメックスで構想されていた連想索引をハイパーテキストとして実現しました。

僕たちが、ブラウザ上で普通に使っているハイパーリンクです

エンゲルハートが、このNLSを作ったのが、1965年だそうです。NLSの画面には、マルチウインドウもありました。

1968年にサンフランシスコで開催された会議で、このNLSのデモが行われ、参加者に大きな衝撃を与えました。

当時、コンピューターは、その名の通り、計算する機械という認識が一般的でした。

そこに、計算ではない用途を具現化したわけです。

ポータブルな知能拡張装置を実現する

このエンゲルハートのデモは、たくさんの人に影響を与えます。

その影響を受けた人の中に、アラン・ケイという人がいます。

この人が、後に我々が手にすることになる、ポータブルな知能の拡張装置としてのダイナブックを構想することになります。

ダイナブックは、NLSをさらに拡張し、人の視覚だけでなく、聴覚なども使用したあらゆる情報を手元で記憶し、検索できるデバイスとされています。

ダイナブック構想は、ゼロックスのパロアルト研究所で、1973年に「アルト」として結実します。

本体は机の下に収まる程度と、ポータブルには程遠いですが、 今、我々が目にしているマルチウインドウのパソコンの原型は、ほぼここで出来上がりました。

これがアラン・ケイの構想のように、我々の手元に来るには、40年ほどの時間がかかりました。

ダイナブック構想は、人の知能を拡張する機械の、あくまで理想系を示したものです。

当時は、まだ大きな研究所の中にあるものでした。

これとは、別の流れで、ハードウェアとしてのパソコンを作り始めた人たちがいました。次回はその流れを追ってみようと思います。

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今日もワクワクする日でありますように。

千葉直樹でした。

ではまた。

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