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まぐろの味噌漬

海なし県の哀しさか、新鮮な魚とは縁がない。最近は流通が発達しているから豊洲直送とか貼ってある鮮魚をスーパーで目にするがやはり値段が高い。
ぴちぴちのお刺身は日常のおかずという位置ではない。ご馳走という意識がある。
身近では野菜、山菜、こんにゃく、豚肉などが特産である。
こんにゃくの刺し身はあるが「うん…こんにゃくだね…。」と言葉少なになる。
これには大抵、酢味噌が添えられている。
たまーに食べればまぁいいけど魚にはかなわない。精進料理だね。うん。ベジタリアンには受けるかもね。
もっぱら山奥では加工された魚をおかずにしていた。
よく私の家で食べていたのは、まぐろの味噌漬(しょっぱい)。塩いか(めちゃくちゃしょっぱい塩漬けのいか)さんまの開き、塩鮭(焼くと塩の結晶が表面に浮く。)しょっぱいのでご飯が食えるとよく言っていた。
高血圧一直線の食卓だ。
少しのしょっぱいおかずで飯を2杯くらい食う。他のものは味噌汁と漬物くらいか。
林真理子が学生の頃弁当のおかずはまぐろの味噌漬がよく入っていたとエッセイに書いていた。林真理子も山梨だから海無し県だ。
弁当にまぐろの味噌漬をご飯に寄せかけて詰めると食べる頃には飯に味噌がちょうどしみ込んでイケるだろうな。
何だかんだ言ってまぐろの味噌漬はうまいもんな。
西郷隆盛だったか、南方熊楠がまぐろのづけの事を「赤ベロベロのしょっぱ漬け」と言っていたと本で読んだ。
記憶が確かじゃないが、確か西郷隆盛か南方熊楠どっちかだったと思う。
それは生のまぐろのづけか味噌漬を焼いたやつなのかは覚えていない。だが、「赤ベロベロのしょっぱ漬け」という言葉は頭に残っている。


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