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「愛知」の豊かな醸造文化 (上)

8月でしたが、上記タイトルの講演会に行きました。
日ごろなじんでいるのにそう深く知っている訳でもない「醸造」について、愛知県の生産者の方たちから興味深いお話を聞くことができました。
主催は和食文化国民会議で、2013年和食が世界文化遺産に登録され10年目にふさわしい充実した講演でした。




醸造とは

「醸造といえばお酒だ…」とつい顔がほころぶのは、私くらいでしょうか。実はお酒だけではなかったのです。醸造とは発酵作用を応用して、味噌.醤油.みりん.酢などを作る工程を意味します。(日本では麹菌を用いて発酵させることが多いそうです。)

であれば、和食の味付けは醸造に担われていると言えそうです。講演順に3人のお話をご紹介します。




気候風土と歴史が生み出す八帖町(旧八丁村)「八丁味噌」


「八丁味噌」の名前の由来は、愛知県岡崎城から西に八丁の村で作られてきた味噌だからです。江戸時代初期から2軒の蔵元が独自製法で豆味噌を作り続けてきました。八丁味噌を作るのは、この2軒「カクキュー」と「まるや」だけです。講演にはカクキューの部長さんが来られました。

味噌を色で分けると、赤みそ.白みそ.淡みそとなります。原料からでは、米みそ.麦みそ.豆みそ.調合(合わせ)みそと分かれるそうです。日本の味噌の約80%は、大豆と米と塩を原料とする「米みそ」です。一方、八丁味噌は大豆と塩を原料とする「豆みそ」に分類されます。


         円錐状に石を積み上げたみそ桶/カクキューのリーフレットより


八丁味噌の製法と特色

大豆と塩のみを原料に大きな木樽に約6トンの味噌を仕込み、その上に約3トンの川石を積み上げ重しにします。10年以上修行した職人の手で一つ一つ積み上げられます。二夏二冬(2年以上)手を加えず天然醸造で熟成させる伝統製法で作っているそうです。

八丁みそは水を極限まで少なくし時間をかけて作るそうで、そのかなりの硬さに納得しました。(みそ漉し器がないと、まず溶けません。)その分保存性や風味に優れていて、カレーなど洋風料理のコクだしにも使えるそうです。また、お菓子にみそパウダーが人気だとか、活躍の幅を広げているそうです。(この講演で初めて知ったのですが、我が家で使う赤だしは豆みそ(八丁味噌)に米みそを混ぜた合わせ味噌タイプでした。)

味噌にはいろんな種類があり、地域性も文化もあるようです。日頃あまり気に留めませんが、寒い夜には一杯の味噌汁にほっとします。(会場では八丁味噌の試飲があり、深い独特の味でした。)



     カボチャ.えのきだけ.豆腐の赤だし味噌汁


つづき

次回(11月1日)は「両極の醬油を使い分ける愛知の醤油文化」と「愛知の調味料と郷土料理」についての講演です。




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