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成熟企業のDXへの踏み出し方 | 経産省DXレポート2.2を読み解く

経済産業省が発表していた「DXレポート2.2」で、デジタル・トランスフォーメーション(本文略、DX)の理解と解説の変遷として下記3点が強調されていました。

  • デジタルを、省力化・効率化ではなく、収益向上にこそ活用すべきであること

  • DX推進にあたって、経営者はビジョンや戦略だけではなく、「行動指針」を示すこと

  • 個社単独ではDXは困難であるため、経営者自らの「価値観」を外部へ発信し、同じ価値観をもつ同志を集めて、互いに変革を推進する新たな関係を構築すること

つまり、「デジタル」は目的ではなく、手段なのです。
経産省は2018年に発生した新型コロナウイルス感染症が蔓延する以前から「DX推進ガイドライン」を出していましたが、企業はデジタルを活用して事業を「探索」していく必要があります。

そこで今回は事業の探索に不可欠な「DX」「デジタル」について考えを記してみます。

デジタル・トランスフォーメーションはなぜ必要なのか

VUCA時代において企業が次の50年を生き残るためには、事業の探索活動を経て、自社の事業ドメインを柔軟に変更していく必要があります。そして探索活動にはスピードが求められています。
(※このあたりの背景は「いま、両利きの経営はなぜ必要なのか?」に詳しく書いていますので、ぜひ読んでみてくさい)

冒頭の経済産業省のレポートからの抜粋でも述べたように、事業の探索をスピーディに行うにはデジタルの活用が欠かせません。

一方で、デジタルという手段が目的になってしまうことはできるだけ気をつけて意識したい部分です。

もちろん、手段を目的にするのが組織運営上必要となる局面があることを否定するものではありませんが、高齢化が進み、人口が減少し、従来の当たり前が通用しない社会変化に対応するためには、経済産業省のガイドラインにも書かれている「トランスフォーメーション」が必達であり、遂行するために手段の目的化は足かせとなりえます。

[永久保存版]コンサルタントによる知見が詰まった一冊『守りのDX vs 攻めのDX』(キュレーションズ)より抜粋

探索活動とトランスフォーメーションは緊密

最近さまざまな場所で耳にするのが「既存事業が儲かりすぎて、トランスフォーメーション、探索側への本気度がそこまでではないんですよ」というもの。

探索側に本気を出すということは、顧客行動の変化を捉え、そこにあるイシューを理解し、未来の顧客行動を定義し、それを実現することを目的とした上で、ビジネス・トランスフォーメーションに取り組むことです。

その結果として、コーポレート・トランスフォーメーションが実現できます。そして、これらの活動をデジタルで成立させ、需要を創造することのすべてがデジタル・トランスフォーメーションなのです。

つまり、DXの第一歩としてビジネス・トランスフォーメーションに取り組むことが重要なのです。

[永久保存版]コンサルタントによる知見が詰まった一冊『守りのDX vs 攻めのDX』(キュレーションズ)より抜粋

これからの時代にあわせた経営目標を定める

ビジネス・トランスフォーメーション(BX)は、あまり耳にしたり、目にすることが少ないかもしれません。

しかし、既存事業の変革、ビジネスモデルを変革するためにデジタルの力を使うには、これまでとは違う方法で顧客が価値を受け入れてくれるか?を検証しなければなりません

これこそまさに「新規事業のような状態」そのものです。

そのことを「BX」、「ビジネス・トランスフォーメーション」と呼ばれていますし、僕たちはBX 0→1(ビーエックスゼロイチ)などと呼んでいます。

ここで重要になるのは、先にも書いたように、「デジタル技術を用いて」、「これまでのような売上の立て方や提供の方法ではないことに挑戦する」のですから、これからの時代に合わせた「目的」を定める必要が出てきます

このような状態を目指そうとなると情報セキュリティの対応や個人情報の取り扱いなど幾つか企業の中で顕在化する課題が出てくるのですが、そのことは改めて別の形での臨み方について記したいと思います。

ちなみに僕自身は時間があるときに上場企業の中期経営計画を見るようにしているのですが、経営層や経営企画室の皆さんには、進出しようとする領域やVISIONを掲げるだけではなく、ぜひPorpose(目的)の再定義までして現場の皆さんに展開してほしいと感じることが多々あります。

それを引き受ける現場の皆さんは、接点のデジタル化や、集積したデータの活用、収益ポイントの多様化などを含めたAs a Service化を目指して、ビジネスモデルの変革に臨んでほしいと思います。

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