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ジャスパー・ジョーンズへのインタビュー記事 その5

その5です。この部分に現代アートの最も本質的で重要なジャスパー・ジョーンズからのメッセージが述べられています。

前回(その4)

DSはインタビュアーのDavid Sylvester、JJはJasper Johnsです。(※訳者注のカッコ内は私の勝手な解釈なので、参考程度に思って頂いた方が良いと思います。)

one has to work with everything and accept the kind of statement which results as unavoidable, or as a helpless situation.
One shouldn't really know what to do

DS:その意味とは何でしょう?(※訳者注:絵そのものよりも有意義であるとジョーンズが言った、絵にまつわるプロセスが与える意味)

JJ:視覚、知的活動、あるいは「再生」。

DS:しかし、これと指し示すことはできないのですが、あなたの絵を見て、絵そのものの中に論及があって、それは絵画に強烈さを与えるものであり、重要な何かが起こっている、もしくは既に起こったという感覚を覚えるのです。絵で起こったことは絵以外の特定のプロセスに類似している可能性はありますか。例えば、目や心を何かに集中させること、意識の放浪や回帰、判明・感受・忘却・(記憶の)復元・再明晰化のプロセス、などの心理学的プロセスです。また、破壊と再生のプロセス、崩壊する・繋ぎとめることへの思想などの、自然界の特定のプロセスに類似しているのでしょうか。

JJ:絵で(芸術作品で)それらを示唆できることはほぼ間違いないでしょう。しかし、絵描きが(アーティストが)それらの示唆を発することは許されない。もしあなたが何か、例えば特定の心理状態など、を示唆するために作品を作り始めたなら、あなたは不自然で作為的な声明をすることによって、ペインティングのプロセスから多くのものを失わさせるでしょう。それはとても残念なことです。逃れることのできない、どうすることもできない状態(※訳者注:本当の気持ちの底から湧き出てきて仕方がないような状態)の結果から出た声明のみを受け入れ、それに励まなければいけません。声明を込めるための芸術は、方法があまりにも汎論であり作為的であるため、声明に失敗するのだと思います。そういう人は絵から(芸術作品から)生命の感覚を得たいのでしょう。最終的な示唆、最終的な声明は、意図的な声明ではなく、無力な声明でなければなりません。それはあなたが湧き出るものを止められないものでなければならず、発言するためのものではあってはならないのです。人は使える全てのものを使わなければいけない。絵を描くことに全てのエネルギーが消費されなければいけない。余分なエネルギーなど残してはいけないのです。作品を作ることに、どうすればいいのか本当にわからずにいるべきなのです。なぜならそれはすでにあるものと一致するはずだから(※訳者注:作品を作らなければいけない理由は、既に私たちの近くに-中に-存在する)。単に好きなものであってはならないのです。

その6へつづく…

-References-
-引用元-

Harrison, Charles. Wood, Paul.(2003). Jasper Johns (b. 1930) Interview with David Sylvester.Art in theory, 1900-2000:an anthology of changing ideas. 2nd ed. Blackwell Publishing, pp.740-741

Johns, Jasper.(1977).Savarin. The Art Institute of Chicago