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クリスマスのキャロリングの思い出

20年以上前の、甘酸っぱい寮の思い出について書きたい。
クリスマスシーズンの時期の「キャロリング」である。

「キャロリング」というのは、12月に、各寮がそれぞれ有志でクリスマスソングを歌い、当時は女子寮が男子寮を回り、それぞれの寮の庭で歌を歌う、というようなものだった気がする。

当時、全寮がやっていたかどうかは記憶がないのだが、男子寮の元に詣でて、それぞれ、歌を歌いあうというようなイベントであって、とても青春の美しい思い出、なのだが、私はこのイベントがすこぶる苦手だった。

今になって思い出してみると、私が当時キツいと感じていたものにはいくつか種類があった。

①「あんまり話が面白くない男性が、自分を面白いと思い込んでイキる様子

(特に、関東地方の女性は、関西弁で力強く話しているだけでその男性を面白いと勘違いする傾向があり、私はそれを許せないと常々感じてきた)」

②「ICUマジックのせいで、あんまりかっこよくない男性に可愛い彼女ができて(主に後輩)そのせいかその男性が異様にイキる様子」

③「歌がうまくない人(特に男性)が熱心に歌を歌う様子」

④「男性が集団でバカなことをやっているものを、周りで女性たちが面白がる状況」


今は、こじらせから脱し、すべて楽しめるが、当時の、こじらせきった19歳くらいの私にとって、これらの事象は、ひときわ苦手なものだった。

お笑いのコントなども元をただせば、女性にモテたい、ウケたい、というようなことが動機なのだろうから、お笑い好きを自認しながら男性がバカなことをやることを苦手と感じるのは、矛盾しているのだが、お笑い芸人は、面白いから、いいとして、ICUの男子学生の場合は、そもそもほとんどの男性が、すこぶる面倒な「ガリ勉男子」だったために、面白いことをやる男性はごくわずかに存在した寮生しかいなかったために、あんまり、おもしろくなくても、ゲタを履かされて「面白い」かのように思われやすい感じがあって、それが内心、苦手なのだったと思う。

私は当時、「ダウンタウン松本人志を神と崇める目」を内面化していたので、お笑いに対しては異様に厳しい目を向けてしまっていた。…比較対象、間違ってるよ!

そうすると「キャロリング」は、①②③④(④はこの場合あまり該当しないが…まあ歌を歌うことがイキっている、と思うかどうかは若干意見は分かれそうではあるが!マジメに歌ってたし!)それぞれの要素が合わさり、お互いの要素を高めあう、私にとっては、ひときわ、キツいイベントであった。

男子寮生の英語のクリスマスソングの合唱は、本当に、キツいものがあった(いや、かなり頑張って練習していて上手だったんだけど!)。しかも英語の歌がカタカナ発音だから、ゾゾゾっとするというか、ゾゾゾタウンというか・・・ゾゾゾ大沢村であった(※意見には個人差があります!)。

なんか合唱しているときの顔って、誰しも、すごく痛々しくありませんか?

自分が女性だからか、女性の合唱の表情は、そんなにつらくないんだけど、男性の混声合唱って、一人一人の体格に圧があるせいか、見る側に「逃げ場」がなくてひときわ、つらい。それに加えて、カタカナ英語の混声合唱・・・サンタ帽・・・私はキリスト教とは無縁の人生だったので、とってつけたようなサンタ帽には、アウェイ感もあり、すこぶる、キツかった。

また、当時それらの行事を取り仕切って、熱心に合唱の練習をすることを呼びかけてくる友人の性格が、なんともいえずアグレッシブというか、エキセントリックで強引だったので、(彼女は恐らくカトリック系の中高一貫女子高を卒業していた)彼女の変にストイックな姿勢や、意味の分からんこだわりにも、日常的にうんざりしていて(※恐らく同族嫌悪)平日の夜の練習も、すんげえ、めんどくさいし、なんだか「青春の1ページ」過ぎるその設定も、寒くて寒くて仕方が無いと感じていた。

12月に野外で歌うので、物理的にも、寒かった。

しかし今、20年以上前にその時に撮った写真(スマホではなく2000円位かけて現像していたフイルムの写真)を見ると、何やら、とても楽しそうなのだった。
サンタ帽をかぶり、寮の一室でうつっている集合写真。全員19歳~21歳くらいのまぶしい、若さ。みんな、満面の笑顔なのである。

この時に一緒に歌を歌った友人たちと、今後、冬にサンタ帽をかぶって合唱をすることはもう二度とない。海外に住んでいる人も、いろんな事情で連絡を取らなくなってしまった友人もいる。

あの、当時は「キッツい」「発音がカタカナ過ぎて辛い」「表情が痛い」「男子寮生の集合圧が辛い」「男子寮がぼろ過ぎて汚すぎて、靴下が汚れるから、男子寮に入るのがいやだ」とか感じていた、そんなイベントや混声合唱も、もう、一生同じことはできないのかと思うと、記憶が改ざんされ、すべて美しかった思い出に変わり、胸が熱くなるのだった。
(関係者、So Sorry!)

以上です。

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