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【エッセイ】鎌倉②─鎌倉大仏と武器屋─ (『佐竹健のYouTube奮闘記(29)』)

「次は、長谷、長谷──」

 次の停車駅を告げるアナウンスが聞こえた。長谷まで来ると、鎌倉駅は近い。あとは由比ヶ浜駅と和田塚駅を通過すれば、鎌倉駅に着く。

「長谷か」

 長谷と聞くと、高徳院の大仏と近くにあったインパクトの強いお土産屋さんを思い出す。


 長谷駅から歩いて少し先にある高徳院の大仏は、通称「鎌倉の大仏」としてよく知られている。

 鎌倉の大仏は鎌倉時代に作られた阿弥陀如来の像だ。

 作られた当初は、奈良の大仏のように大仏を保護する建物があった。だが、後世に建物が台風だか地震だかで倒壊し、現在のように野ざらしとなったと聞き及んでいる。

(そういえば、鎌倉の大仏の中って入れるんだよね)

 私は鎌倉大仏にまつわる衝撃的な事実を思い出した。

 実は、鎌倉の大仏の中には入れる。

 この事実を知ったときは、本当に驚いた。厳かな表情をし、印を組んで鎮座している大仏。まさかその中に入れるとは、思いもしなかった。

 どのようにして入るのかというと、まず側面だか後ろ側だかに入り口があって、そこで入場料を払って入るような感じだった。しばらく鎌倉の大仏へは行っていないので、私の記憶違いがあるかもしれないが。

 鎌倉大仏の中は個人的にも気になるので、もし鎌倉へ行く機会がまた会ったら、中へ入ってみようと思う。


 鎌倉の大仏で思い出したが、近くにはかなりクセの強いお土産屋さんがある。

 そのお店はまさしく、「お土産屋さん」というより、RPGのファンタジー系のゲームに出てくる「武器屋」そのものであった。

 この「武器屋」という表現は、私ではなく同行していた仲のいいフォロワーさんがしていたものなのだけど。

 まず初期装備になるであろう男子の修学旅行のお土産の定番木刀をはじめ、模造刀、手裏剣といった侍や忍者の基本装備となるものが売られていた。当時来たときは、ロングソードや盾もあった覚えがある。

 私は同行していたフォロワーさんが、この特徴的なお土産屋さんのことを「武器屋」と表現したのが、とても上手いなと感じた。冒険者に必要な装備が、全てこのお土産屋さんで買えるからだ。しかも、東京にあるお土産屋さんで売られている武器よりも、遥かに良質で品揃えが豊富だ。

 今度大仏を見に行ったら、久しぶりにこのお土産屋さんも立ち寄ってみようと思う。


 鎌倉の大仏や近くにあるお土産屋さんのことを思い出しているうちに、車両は由比ヶ浜や和田塚の駅を通り、終点鎌倉駅へと向かっている。

(さて、出る支度をしないとな)

 私は財布に入れていた新宿で買った切符を手にし、駅を出る準備をした。短い梅雨時の鎌倉遠征が始まろうとしている。

(続く)


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