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【追跡】レンタカー事故急増の裏で… 中国人観光客 謎の国際免許証 (前半)

年々増える外国人観光客。それに伴って増えているのが、レンタカーを利用する外国人です。その数5年でおよそ4倍。しかし、一部の外国人が使う国際免許証に不審な点があることが分かりました。謎を追っていくと、大きな問題点が見えてきました

外国人観光客で混み合う9月の沖縄。

彼らは中国語や韓国語で書かれたプレートを持つレンタカー会社のスタッフのもとへ。今レンタカーを利用する外国人観光客が急増しています。

中国・東部から友人たちと観光のため来日したAさんもその1人です。

●ディレクター 
Q)沖縄に旅行ですか?
●Aさん
「そうです島を1周する予定です 1週間レンタカーです」

空港に到着するなり、レンタカー会社のカウンターへ。予約なしでしたが、およそ1時間後には…。さっそくレンタカーで観光へと繰り出したAさん。後ろをついていくと…。

●ディレクター
「ずいぶん左寄りだね。真ん中にだいぶ寄ってます。危ない。」

日本では初めての運転となるAさん。中国とは反対の左側通行だからでしょうか、車線をはみ出し…、禁止されている場所で車線を変更。

●ディレクター
「迷った?迷ってるねどっち行くか分からないんだ」

大通りから入ったのは…、

●ディレクター
「まあまあ細いけど大丈夫かな。細い道に入ってきました。」

すれ違うのがぎりぎりの、住宅街の抜け道。中国とは交通ルールに違いがあり、運転もぎこちなく見えます。

沖縄では、外国人が運転するレンタカーによる事故が続発していて、この3年間でおよそ3倍に急増しています。

そもそも中国人のAさんがなぜ日本で運転することができるのか。

これは、Aさんがレンタカー会社に提出した国際運転免許証です。

●Aさん
「レンタカーをした友達からこれが便利だって聞きました。国際免許は絶対に必要です」
Q)どうやって取ったんですか?
「ネットの旅行代理店です。」

条約に加盟している国なら、互いに免許が使えるようにする国際運転免許証。日本もその加盟国のひとつ。しかし中国は入っていません。

ではなぜ、条約に加盟していない中国人のAさんが、国際免許証を持つことができたのか。

Aさんの免許をよく見ると、発行した国はフィリピンとなっています。

確かに、中国は国際免許証を発行できませんが、フィリピンは条約に加盟しているため、国際免許証を発行することができます。しかし…。

●Aさん
Q)免許はどこで取ったんですか?
「フィリピンで。手続きはフィリピンでやりました」
Q)フィリピンに行ったんですか?
「行ってないです」

フィリピンに行ったことがないというAさん。中国にいたまま、フィリピン政府発行の国際免許証を取得したというのです。

これはAさんが国際免許証を注文した中国の代行業者のホームページ。

「本物の国際免許証、日本、韓国、台湾で使えます。」

確かに、本物の国際免許証が発行できると謳っています。

その仕組みはこうです。
▽代行業者はまず、Aさんが既に持っている中国の運転免許証を使ってフィリピンの運転免許証を取得
▽次に、その運転免許証を使ってフィリピン政府発行の国際免許証を手に入れることができるというのです。

これが、Aさんが実際に入手したフィリピンの運転免許証と国際免許証。料金は1700元、日本円にしておよそ3万円、注文から1週間ほどで送られてきたといいます。

ここでもう1つの疑問が…。

Q)これはあなたの住所ですか?
「フィリピンで手続きをした代理人の住所だと思います。」

免許証に書かれているAさんの住所。それが中国国内ではなく、フィリピンのものになっているのです。

Q)この住所はあなたとは関係ないですか?
「関係ありません。」
Q)住んだことや働いたこともないですか?
「情報を渡したら自動的にこうなりました」

住所となっているフィリピンに住んだことも行ったこともないというAさん。ならば、その住所には一体何があるのか。

私達は真相を確かめるべく、フィリピンへ……。

(後半に続く)