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【セカイは今】英王子結婚式でホームレス追放?

世界注目のロイヤルウェディング、イギリスのヘンリー王子と女優メガン・マークルさんの結婚式は、今年5月に行われます。
現地では祝賀ムード一色、と思いきや、中には涙を飲む人もいるそうなんです。(TBS NEWS23 18年1月16日オンエア)

先週、ロンドンの若者の就労支援をするラジオ局を公務で訪れたヘンリー王子とメガン・マークルさん。マークルさんは実質的に王室の一員としての活動を始めています。

その2人の結婚式が行われるのがウィンザー城です。

王室のお膝元の町は、ロイヤルウェディングの影響で観光客がすでに4割増加。記念グッズの販売などで経済効果はおよそ760億円と試算されています。その一方で・・・

●櫻井雄亮記者
「今、パレードが行われていますが、その傍らでは、路上で寒さを凌いでいる人がいます」

この地区のトップ、与党保守党のダッドリー区長は「美しい町が好ましくない色に染まってしまう」として、警察に対し、5月の結婚式までに路上のホームレスを排除するよう求めたのです。

強引な物乞いにより住民や観光客が不安になっているためだと区長は主張しますが、市民の反応は割れています。

●市民
「ウィンザーでホームレスから強引に物を要求されたことなんてない」

●市民
「ウィンザーを訪れた観光客が、(ホームレスの)悪い印象を持ってそれぞれの国に帰るんじゃないかと心配だよ」

路上で4か月間暮らしているスチュワートさん(40歳)。工事現場で月60万円ほど稼いでいましたが、2年前に病気で仕事を辞め、その後、アパートを追い出されて路上生活を始めました。

取材をしていると、通行人から、厳しい声が…

●通行人
「テロリストについて質問しないのか」

●スチュワートさん
「テロリストだって…」

●スチュワートさん音
「物や金の強要などしていません」「この街の人は毛布や枕、セーター、そして食べ物も毎日恵んでくれるので感謝しています」

ダッドリー区長は「多くの路上生活者が行政の援助を断り、自ら選んで路上生活をしている」とも発言していますが‥

●スチュワートさん
「突然ホームレスになったわけで、自ら選んだわけではない」
「役所は氷点下のときに、2晩宿泊場所を用意してくれましたが、それ以外の援助はありません」

イギリスでは路上生活者がこの7年で2倍以上に増加。財政緊縮策により
ホームレスのシェルターなどが減った結果と指摘されています。

一方で、物乞いをした路上生活者に罰金を科すなど厳しい措置を導入する自治体が広がり警察の摘発が相次いでいます。

イギリス北部では、去年、未成年者から300円を受けとったホームレスが
1万5千円の罰金を科され話題となりました。

●地元のホームレス支援団体 マーフィー・ジェームズ代表
「ホームレスを犯罪者扱いして排除しても誰の助けにもならず状況を悪化させるだけです。彼らに必要なのはケアとサポートです」

ヘンリー王子の母ダイアナ妃はホームレスの支援に熱心に取り組んでいました。

また、兄のウィリアム王子は9年前、ホームレスの暮らしを知るため路上での野宿を経験、ヘンリー王子もホームレス支援の慈善団体の活動にも携わっています。

祝福を受ける2人は今回の騒動をどう感じているのでしょうか。

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(櫻井雄亮記者)
ホームレスの方を取材していますとインタビュー中もお酒を手放せない方ですとか腕に薬物の注射跡がいくつもある方ですとかみなさんそれぞれに難しい問題を抱えていて警察の摘発という1つの方法だけで解決できるほど簡単な話ではないと、感じました。

心配なのが区長の発言がホームレスへの敵意を広めてしまったのではないか、という点です。区長は「物乞いの多くがホームレスではない証拠がある」と発言していますが、いまだ、その根拠を示していません。その発言の影響でしょうか、町では「ホームレスは偽物で本当は家を持っている」などと最初から偽物だと決めつけて町から排除するよう求める声がかなり聞かれました。

ホームレスへの敵意を煽るような発言は暴力に発展しかねません。さすがに同じ保守党のメイ首相も「区長の提案には同意できない」と批判的な姿勢を示しています。