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日経新聞の「読み物記事」で、老化からバイオ・脳の記憶方法・人口減少・AIを考えてみる

日経新聞にとって、火曜日~土曜日版までは、前日の経済・金融・企業活動の動きの「報道・論評記事」が中心になります。

日曜日・月曜日版は
土日の金融市場、企業活動が休みの影響から「読み物記事」が目立ちます。
そのなかで、楽しみの一つは、日曜版の「科学の扉」欄です。
「ここまで進歩したのか!」「ここまで解明できたのか!」などと目を
見張りますね。

9月3日(日)の「科学の扉」の「老化の研究中」のリード文を読んで、
ぶっ飛びます。
不老不死を願うのは人の本能ですが、「細胞の時計を巻き戻す――。
遺伝子を細胞に入れて強引に若返らせようという研究が注目を集めている。その可能性を示したのは、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した
山中伸弥京都大学教授が開発したiPS細胞だ。」

そもそも「老化」とは何か?
「生まれてから成長を続けてきた体は、あるときに成熟期を迎えます。
この時期から生じる生理機能の衰えが、一般的に「老化(生理的老化)」と呼ばれるものです。

本来、働きが低下した細胞は排除されて新しい細胞が補充されますが、年齢を重ねると細胞が入れ替わりにくくなったり、細胞の数が減ったりして、
生理的老化が進行します。

1秒、1分、1時間……と、時間の流れは誰にとっても同じです。
しかし、体が変化するスピードは同じではありません。
同じ日に生まれた人同士でも、体の成長速度に個人差があるように、老化の進行速度も人それぞれ異なります。
(中略)生理的老化は、誰にでも普遍的に起こるもの。自分だけ不老不死を願っても、生理的老化を避けることはできない。

生理的老化は、遺伝的にプログラムされているもの。
生理的老化が進行しないよう環境を改善しても、限界がある。
生理的老化が進んだら、もとに戻ることはない。」
(サントリーウエルネスオンラインより)といわれてきました。

この“常識”を覆せば、人口減少社会を突き進む日本にとって、労働力不足をAI、ロボットの活用とともに、バイオによる健康寿命が延ばすことは国益にかないますね。
「人で十分に効果が確認された抗老化物質はまだない。
もし、効果のある未承認薬や食品が現れたときには、経済力が老いの差につながりかねない。国民の健康と国力を両立できる処方箋を探す必要がある。」ということになります。

個人的な観点で申し上げれば
私は66歳となり「老化」を、淡々と受け入れて、
一日一日を精一杯、若者の皆様のために学び続けて蓄えた様々な経験や知識、スキルを伝えたいと「就活モチスキゼミ」を主宰していますが、
いかんせん、もの忘れが目立ち、地団駄を踏むことが多々あります。

そっと、日経新聞でフリーキーワード検索で「老化」をひっぱり
「もの忘れにあらがう、脳の使い方はないかな…。」探してみました。

ありました!
脳内科医の加藤俊徳氏の脳は50代以降も成長 10代と違う特性、覚え方に生かそう」インタビュー記事です。
「(前略)意味のない記憶を丸暗記するよりも、意味を理解してから記憶する、という「意味記憶」のほうが脳は受け取りやすくなる。

(中略)「例えば『忖度(そんたく)』という言葉も、『忖度ってどういう意味? ニュースにもなったよね。そうか、自分も上司に忖度することがあるな』というふうに、さまざまな角度から情報を集めて自分の経験にまで落とし込み、意味を理解したうえで記憶するのが、『大人脳』が得意とする意味記憶です。」

これは、単純に丸暗記しようとするのではなく10代、20代の若い人たちにも「意味記憶」することを、おすすめできますね。

さらに月曜日版の「読み物記事」で注目したのは、
「18歳プラス」欄の「読むヒントーどうする日本の人口減少」「池上彰の大岡山通信—AI時代の視点」です。
どうぞ、読み込みながら多面的深堀思考を繰り返して、独自に「意味記憶」「課題解決の立案」をしてみれば、いかがでしょうか。

日経新聞を読みましょう!
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細胞の時計は巻き戻るか 抗老化薬、経済力で若さに差?老化の研究㊥

2023/9/2 2:00 日本経済新聞 電子版

<リード文>
細胞の時計を巻き戻す――。
遺伝子を細胞に入れて強引に若返らせようという研究が注目を集めている。その可能性を示したのは、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学教授が開発したiPS細胞だ。

<引用>

山中教授は皮膚などの細胞に「山中因子」といわれる4種類の遺伝子を入れるだけで、受精卵のような万能細胞のiPS細胞になる「リプログラミング」を実現してみせた。
今、老化研究で進むのは「パーシャル・リプログラミング」。
iPS細胞を作るときには投与した遺伝子が長く働くが、一時的に働かせることで細胞の時計を少しだけ巻き戻すという発想だ。

20年、米ハーバード大学のデビッド・シンクレア教授が英科学誌ネイチャーに発表した論文は研究者を驚かせた。
リプログラミングで緑内障や高齢のマウスの視力を回復させたと報告した。山中因子のうちがんとの関係が強い1つを除いた3種類を目に投与した。

シンクレア教授は著書「ライフスパン」などで「老化は治療できる病気といえ、150歳まで生きることが普通になるかもしれない」と主張する。
将来、この技術が病気になるほど老いた細胞を若返らせる抗老化薬につながると期待している。
まだリプログラミングの仕組みは分かっていない。
様々な遺伝子の働き方が変わり、初期の状態へと巻き戻るのかもしれない。

(中略)
食品で抗老化に役立つものを見つけられれば、医療費を抑えられるかもしれない。大阪大学の吉森保教授は不要なたんぱく質を分解してリサイクルする細胞内の仕組み「オートファジー」の働きを促して長寿につなげる道を探っている。

(中略)
食品で抗老化に役立つものを見つけられれば、医療費を抑えられるかもしれない。大阪大学の吉森保教授は不要なたんぱく質を分解してリサイクルする細胞内の仕組み「オートファジー」の働きを促して長寿につなげる道を探っている。

オートファジーは心臓病や糖尿病、がんなど様々な病気との関係が指摘されている。
例えば、アルツハイマー病は脳に不要なたんぱく質が蓄積する。
不要なものを分解する仕組みが生体の維持には欠かせない。
オートファジーの働きは年齢と共に下がる。線虫やハエの実験では、オートファジーの働きを活発にすると寿命が約20%延びた。

吉森教授は
「働きを高められるのならば食品の成分でもいい。薬にこだわらず、働きが高まると長寿につながるという証拠を集めたい」と話す。

人で十分に効果が確認された抗老化物質はまだない。
もし、効果のある未承認薬や食品が現れたときには、経済力が老いの差につながりかねない。国民の健康と国力を両立できる処方箋を探す必要がある。

「老いを病と定義しよう」。
老化への積極的な介入を考える研究者は世界保健機関(WHO)に病気の分類に老化を入れるように働きかける。
22年に発効した約30年ぶりの改訂では入らなかったが、次の改訂ではどうなるか。そのときには日本も対応を迫られる。
(サイエンスエディター 松田省吾)

脳は50代以降も成長 10代と違う特性、覚え方に生かそう

2023/8/10 5:00 日本経済新聞 電子版

<リード文>
脳は何歳になっても成長する。
加齢とともに、会話の中に「あれ、それ」が増えてきた。
新たな学びに挑戦したいけれど若い頃のように頭に入ってこない。
そうした現象を、「脳の老化のせいだから仕方ない」とあきらめていないだろうか。「それは大きな誤解です。脳が老化するかどうかは使い方次第。何歳になっても脳の細胞同士をつなぐネットワークは枝を広げるように成長していきます」と言うのは、脳科学・MRI脳画像診断を専門とする脳内科医の加藤俊徳氏。
私たちが今よりも脳を成長させ、若々しい脳を維持していくための
脳の使い方について加藤氏に聞いた。

<引用>

「物忘れ」はマンネリ化した脳の使い方が原因だった
人の名前が出てこない、何を言おうとしたのか忘れる、簡単な漢字の書き方がわからなくなる―
―40〜50代以降になると、脳の働きの低下を実感するシーンが増えてくる。定年後に向けて新たな分野を学ぼうとしたり、楽器や語学をマスターしようとしたりしてみたはいいものの、思うように進まずに挫折、という経験もあるかもしれない。
「見た目と同じように脳だって老化するんだ。仕方ない」とあきらめながらも、認知症の始まりではないか、と不安になることもあるだろう。

このような悩みに対し
「中高年世代の物忘れや記憶力の低下は、ほとんどの場合、加齢による老化というよりも、脳の偏った使い方、つまり脳のマンネリ化が原因で起こります」と説明するのは、脳科学・MRI脳画像診断を専門とする脳内科医で加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳氏だ。

加藤氏は、これまで30年以上にわたって、0歳の子どもから100歳の超高齢者まで、1万人以上の脳をMRI脳画像で診断し、治療にあたってきた。
その経験から、「実は、脳は何歳になっても成長し続けることがわかりました。80代や90代でも脳の一部に顕著な成長が見られることはあります。
ただし、それは大人になった脳に対して適切な働きかけをしてこそ得られる結果です」と加藤氏は言う。

例えば、新たな情報を頭に入れたいとき、
資料を1ページ目から読んで丸暗記する 付箋を貼り、マーカーを引く
といったやり方をしていないだろうか。

「このような学生時代と同じやり方は、大人になった脳には適しません。
丸暗記、という方法は、10代の『学生脳』に適したアプローチです。
後で解説するように、脳は、30代以降、その人が生きる中でさまざまな刺激や経験を蓄積する結果、丸暗記が得意な『学生脳』から、より高度な機能を備えた『大人脳』に切り替わっていきます。

『大人脳』は『学生脳』と異なり、思考、記憶、感情、運動、視覚、聴覚をつかさどる脳内のさまざまなエリア(加藤氏は『脳番地』[注1]と表現する)をまんべんなく刺激することで活性化し、変化、成長していくという特徴があります」(加藤氏)
[注1]脳番地:脳の学校の登録商標(商標登録第5056139 /第5264859)
覚えているべき人の固有名詞をど忘れし、「あれ、それ」が増えてくるのも、「自分の慣れ親しんだ脳の使い方ばかりに偏っているサインかもしれません」と加藤氏。

脳のさまざまなエリアを幅広く刺激していないと脳全体の活性が落ち、覚える力も、さまざまなヒントをたぐり寄せて記憶を取り出す力も低下します。仕事人間で、その他のことには興味を持たずにきた、というような人こそ、これまでとは違う脳の使い方にシフトすることで、脳を再成長させるチャンスがあります」(加藤氏)

加藤氏によると、
人はそれぞれ、日々の脳の使い方に応じた脳の形をしている。
「私たちの脳は、過ごす環境や職業、人生経験、脳の使い方によって形作られています。それぞれの脳には持ち主に似た顔つきや個性があり、日常的によく使う脳のエリアは神経細胞同士のネットワークが発達し、白質(神経細胞同士をつなぐ神経線維の集まり)が太くなっている一方、あまり使わないエリアの白質は細くなっています。

脳の特定のエリアばかり使い、別のエリアが休眠しているような方に、あなたはこの部分が衰えているのでこのような行動を意識してみては、とアドバイスすると、新たな刺激を送られたエリアの白質は太く成長し、早くて2週間から3カ月後には、MRI画像で確認できるほどの変化が起こります」(加藤氏)
(中略)
丸暗記が得意な「学生脳」、意味付けして記憶するのが得意な「大人脳」
加齢にともない、脳は老化し、記憶力も衰えていく一方だ――。私たちはなんとなくこのような認識をしがちだが、加藤氏はそれは誤りだ、と指摘する。
「確かに、20歳前後から脳細胞は減少していきます。
しかし、脳細胞の減少そのものが脳の成長を止めるわけではありません。
脳の働きには、脳細胞の数だけではなく、細胞同士をつなぐネットワークの発達具合が大きく関わります。そして、そのネットワークが完成するのは30歳前後で、私は、『脳の成人式は30歳』と捉えています。

その後も脳を使えば使うほど脳のネットワークは成長します。
逆に10代までは脳細胞がどれほど潤沢にあったとしても、細胞同士をつなぐ情報伝達回路の結びつきは弱く、脳は大人の脳ほど機能的に働きませんし、30代以降でも、脳をうまく使えていないとネットワークは良い具合に発達しません」(加藤氏)

つまり、脳のネットワークを豊かに働かせていないことこそ、脳の機能低下を引き起こす一因なのだ。
「脳は、経験や刺激、脳の中に入る情報によって形作られます。多くの人は、『学生のときのように記憶ができなくなった』ことを脳の老化だと思っていますが、それは誤解。年齢とともに蓄積した経験とともに脳の仕組みが学生時代とは変化しているために、記憶の仕方も変わっている。そうとは気づかず、学生時代のやり方のまま記憶しようとするからうまくいかないのです」(加藤氏)

例えば、子ども時代には新しい言葉を聞いただけでするする丸暗記ができた。これは、10代までの「学生脳」に、「聴覚をつかさどるエリアと記憶をつかさどるエリアの結びつきが強く、耳からの情報を記憶するルートがスムーズに使いやすい」という特徴があったから。
「無意味記憶、といいますが、子どもはまったく知らない言葉でもそのまま記憶し、あとからその意味を知り、理解する、という順番で脳を働かせています」(加藤氏)

学生脳と大人脳の記憶の仕組み(イメージ図)。

10代までの学生脳の特徴は
聴覚(または視覚)から記憶への脳内のルートが強くて使われやすいこと。大人になるにつれ「聴覚-記憶」のルートだけでなく「理解―記憶」ルートを中心に脳のさまざまな領域を総合的に駆使して記憶されるようになる
しかし、年齢を重ねて、多種多様な経験や情報という刺激を受け、理解や思考をつかさどるエリアが発達するなかで、それまで使われていなかった脳のルートが次々に開通していく。
すると、意味のない記憶を丸暗記するよりも、意味を理解してから記憶する、という「意味記憶」のほうが脳は受け取りやすくなる。

(後略)
加藤俊徳氏
加藤プラチナクリニック院長。脳内科医・医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI脳画像診断の専門家であり、脳番地トレーニング法や脳科学音読法を提唱。1991年に、現在世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995〜2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事する。2013年、加藤プラチナクリニックを開院。「1万人の脳画像診断から分かったあなたの脳の処方箋」をテーマにして、独自開発した加藤式MRI脳画像診断法で1万人以上の診断や治療を行う。『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『人生がラクになる 脳の練習』(日経ビジネス人文庫)など著書多数。

脳の学校 公式サイト:https://www.nonogakko.com
加藤プラチナクリニック公式サイト:https://www.nochanchi.com
(まとめ:柳本操=ライター、図版作成:増田真一、毛利司津江)
[日経Gooday2023年4月1日付記事を再構成]

読むヒントどうする 日本の人口減少
国力落ち暮らし窮屈に/先手打ち社会の変革を 玉利伸吾

2023/9/4付日本経済新聞 朝刊

<リード文>
人口減への懸念が広がっている。
少子高齢化が急速に進み、労働力不足や経済の停滞など負の影響も指摘され始めた。危機をどう乗り越えるか。
この4月、国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」は衝撃的だ。現在の総人口、約1億2600万人が50年後には、7割(約8700万人)に減って、65歳以上がほぼ4割を占める「超高齢社会」が出現する。世界史に例がない急減であり、最速の高齢化である。

<引用>
これから何が起きるのか。
順に挙げたのが、河合雅司著『未来の年表』だ。
2033年、全国の住宅の3戸に1戸は空き家になる。
40年、市町村の半数が消えるなど社会が縮小し、現在のような暮らしがだんだん難しくなっていく。
河野稠果著『人口学への招待』も人口減による国力低下を懸念する。
経済力や技術力、日本文化全体の総合的な力が落ちる。そのとき、世界での経済力、政治力を維持できるかどうか分からないという。

もちろん、政府も近年、主因である出生率低下を止めようと「異次元の子育て支援」を打ち出し、こども家庭庁の設置など対策に動いた。

だが、取り組みが遅く、効果がでるには時間もかかる。
後手に回った背景には、明治以降、人口過剰に苦しんだ経験があった。

明治の初め、工業化に合わせた人口増は国力増強につながると歓迎された。1920年代から30年代にかけ、爆発的に人口が増えると、失業や生活難の原因と考えられるようになる。

26年(大正15年)の日本の人口は約8540万人(海外領土を含む)だった。「中国・アメリカ・ソ連・ドイツに次ぐ世界第五位の人口大国」「これだけ高い人口密度(一平方キロメートルあたり159.1人)をもつ国はなかった」(速水融・小嶋美代子著『大正デモグラフィ』)という。

100年前の関東大震災の4年後、芥川龍之介は新聞に復興ルポを連載
記事に「人口過剰に苦しんでいる僕等はこんなにたくさんの人間のいることを神の愛の証拠と思うことは出来ない」(『本所両国』)と書くほど共通認識だった。
なんとか人を減らしたい。産児制限論争が起き、国は海外移住を促し、大陸に開拓団を送る。

1935年、第1回の芥川賞を受けたのは石川達三の小説『蒼氓(そうぼう)』だった。ブラジル渡航経験を生かした作品は「人口問題」解決の国策に翻弄される農民の悲哀を描いたといわれる。

20世紀後半、状況は百八十度変わる。
人口の動きが「多産多死」から「少産少死」へと変わったためだ。
「人口転換」という現象で、まず英米や欧州で広がり、続いた日本では急速に進んで、少子化が止まらず、高齢化の先頭に立った。

英ロンドン大学の人口学者、ポール・モーランド著『人口で語る世界史』(渡会圭子訳)は、世界の少子高齢化の潮流はさらに広がるとみる。年金、医療、介護の負担が財政を圧迫する社会が急増するのは確実で、「先駆者・日本」から「他の国は学ぶことがあるかもしれない」と指摘する。

少子高齢化は止まらない。
出生もすぐには増えない。では何をすべきか。
経済学者、吉川洋・東大名誉教授は、まず「人口減少ペシミズム(悲観論)」をやめようと提案する。

超高齢社会に向けた製品やサービスを生む「プロダクト・イノベーション」を促し、日本経済の力を伸ばすべきだという(『人口と日本経済』)。
人口減を前提に、対策を急ぐしかない。
これから起きる不都合や弊害を見越して先手を打つ。

働き方や暮らし方など社会の仕組みも大きく変えていく。それには、個人や企業の先見と創意工夫がますます大事になってくる。
(元編集委員)

【さらにオススメの3冊】
(1)『人口論』(マルサス著、斉藤悦則訳)…つねに議論になる食料と人口の不均衡。
(2)『世相でたどる日本経済』(原田泰著)…人口の過密問題が深刻に。
(3)『人口減少社会の設計』(松谷明彦・藤正巖著)…縮小を充実へ転じる改革を提案。

池上彰の大岡山通信若者たちへ(337)AI時代の視点(上) 技術の進歩 学ぶ教材に

2023/9/4付 日本経済新聞 朝刊

<リード文>
人工知能(AI)という言葉は、日々、新聞やテレビで報じられるキーワードになりました。
多くの学生がその響きに未来への期待と不安を感じていることでしょう。
そこで今回と次回はAI時代の学び方や働き方について考えます。

AIはいまや主要国の国際会議での議論テーマです。
経済活動や社会の仕組みに大きな影響を及ぼす可能性が出てきたからです。人間をも超えるとされる能力の衝撃は、産業革命に匹敵するとも考えられています。

<引用>
大学界でもAIに関するルールが課題になっています。
学生が対話型の生成AI「Chat(チャット)GPT」を使って論文やリポートをまとめて提出するようになれば、評価の前提が揺らいでしまいます。
急速な技術革新の影響は学びの場にも及んでいます。

学生諸君にすれば、AIの進歩によって「いま学んでいることは無駄にならないか」「将来、多くの職業がなくなるのではないか」と不安になるかもしれません。
こんな声も聞こえてきます。
「私たちは大学で学ぶことよりAIを使いこなす技術を身につけた方がよいのではないでしょうか」。なるほどと考えさせる問題意識です。

AIの登場によって、大学で学ぶことの意味、人と人が議論しながら考える経験の意味が問われています。
ただし、この問いかけに対する答えは一つではないでしょう。
それはAIがこれからも日進月歩で進化し続けることと関係があります。

では、どのように考えたらよいのか。
学生たちのAIへの関心はとても高く、知識やスキルをどんどん吸収していくはずです。チャットGPTを公開した米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)の講演会には多くの若者が参加しています。

だとすれば、使い方を考え、リテラシーを高めていく方が、学びから得られる効果も大きいのではないでしょうか。
私はAIをネガティブに捉える必要はないと考えています。

AIの技術革新そのものを教材にしながら、利便性や問題点を具体的に体験していくのです。その方がAIに対する不安を減らせるように思います。
(後略)
 大岡山は池上教授の活動拠点である東京工業大学のキャンパス名に由来します。日経電子版に「大岡山通信」「教養講座」を掲載しています。

▼ビジネス→コラム→池上彰→「池上彰の大岡山通信 若者たちへ」「池上彰の教養講座」

以上

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