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代わりは居ない

妻の父に会いに行った。
1ヶ月前に心臓バイパス手術をして今は自宅療養している。まだ傷や切った箇所は痛いらしい。会った感じでは元気そうで良かった。

昨晩、私の携帯電話に連絡があったのだ。
妻の父は毎回LINEのビデオ通話で掛けてくる。

ちょうど家に帰宅し、車を停めている最中だった。電話を取れなかった私は助手席にいた妻にお願いして出てもらった。

いつもより遅い帰宅。通話したまま家の中に入る。ソファーに座り、妻は会話していた。

残業でいつもより遅い事。
今からご飯を食べる事を話すと
画面の奥から母の声が聞こえた。
「お父さんみんな忙しいんや」

父が悲しい顔したらしい。
妻は悪いと思ってお花を買って帰った事。
そして買ったユーカリの花を見せていた。

娘は2階で勉強中。
息子はサッカーでいなかった。

私は片付けとご飯の用意があった。
一瞬画面に映って「こんばんは」と手を振って会話を終わらせた。

今朝、妻と昨日の出来事について話していて
気がついた。

妻の父は私に電話をかけたのだ。

妻も携帯電話を持っており、
妻へ用事なら妻の携帯電話にかけるはず。

私とも話したかったのではないか?
一瞬画面に映って「こんばんは」と手を振って会話を終わらせた事に後悔した。

次からは手を止めて話す。
私以外私の代わりはいないのだ。

今晩は妻に電話がかかってきた。
「今日はいろいろとありがとう」

家族みんながいたので全員で話す事ができた。人と話すことで痛みがまぎれる。エネルギー補給になるのだろう。妻の父は画面の向こうで笑っていた。


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