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短編小説 「私のシグナル」

 私たちは、生まれた瞬間から体内にチップを埋め込まれている。

 『エモーションシグナル』と呼ばれるそれは、感情を言葉にせずとも、任意の相手に自分の思考や感情、またその温度感までも送受信することを可能にした。

 今ではエモーションシグナルでのコミュニケーションが当たり前になり、2月14日のような恋愛イベントでは様々なカップル誕生に貢献していた。

 バレンタインといえば『手作りチョコ』

 そんな時代もあったらしいが、2070年になった今、カレンダーにはデジタルバレンタインデーと記載されている。

 理由は簡単だ。

 余分な箇所は削ぎ落とされ、『相手に想いを伝える』という部分だけが残ってしまったのだ。

 間違ってはいないと思うし、否定するつもりも無い。

 ただ、私は効率を求めるがあまりの冷たさをどうしても感じてしまっていた。

 古書店で出会ったあの人への想いは、私の言葉で伝えたい。

 昔のように、甘いチョコレートに想いも乗せて。

 私はヒューマノイドではなく、人間なのだ。


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企画に参加しようとしたらお題と反対方向へいってしまったので……
供養投稿させて頂きます😭
最後まで読んで頂き、ありがとうございます✨

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