天ガエル

2024/2/6開始。短編小説を書こうと思い登録しました。今まで書いたことが無く、拙い…

天ガエル

2024/2/6開始。短編小説を書こうと思い登録しました。今まで書いたことが無く、拙い文章が多いと思います。そんな文章でも読んで下さった皆さん、本当にありがとうございます。ご指摘がありましたら、なんでも教えて頂けると嬉しいです。

最近の記事

三日月ファストパス #毎週ショートショートnote

日が沈み始めた空を見上げる紗夜の瞳には、月星と共にそびえ立つ宇宙エレベーターが映っていた。 2124年、月旅行の費用は往復だけでも300万円。 紗夜は月へ思いを馳せながら、真悠子の元へと足を急がせた。 「お待たせ、急に呼び出してどうしたの?」 「実はね…じゃーん!」 紗夜の眼前に勢いよく現れた2枚のチケットには「三日月ファストパス」と書かれていた。 驚きと嬉しさのあまり真悠子に抱きつく紗夜。 胸踊らせながら受付場所へ向かい、ファストパス専用の通路

    • 洞窟の奥はお子様ランチ #毎週ショートショートnote

      鍾乳洞を2時間ほど歩き続け、冒険者達はついに最奥の間に到着した。 場違いな香りが扉の奥から漂ってきている。 超ヘビー級クエスト 『洞窟の奥はお子様ランチ』 今まで、数多くの者が失敗した最難関クエストだ。 勇者「いよいよボスだ、戦う前にしっかり装備を確認しよう」 モンク「おいおい、本気でこの装備で挑むのか?」 魔導士「私もそれを装備するの?」 勇者「このボスの特効装備らしい。それじゃあ、開けるぞ」 ギィィィィィ ドラゴン「ランチィーーーーー!!!!!」 主の

      • 洞窟の奥はお子様ランチ #毎週ショートショートnote

        ライス村、魔王城の影にひっそりと佇むこの村の周辺には、魔王の邪気に当てられた強力なモンスターが横行していた。 この村特有の珍名な超高難易度クエストが、今日も次々とギルドの掲示板に貼り出されていく。 ・マグマの中は麻辣火鍋…報酬エターナルガーディアン(全属性無効防具) ・クレバスの裂け目でチーズフォンデュ…報酬テラトライデント(最強の槍) ・洞窟の奥はお子様ランチ…報酬幸福と喜び 「幸福と喜び?誰がこんな漠然とした報酬のクエスト受けるんだよ」 誰もが一

        • 短編小説 「私のシグナル」

          私たちは、生まれた瞬間から体内にチップを埋め込まれている。 『エモーションシグナル』と呼ばれるそれは、感情を言葉にせずとも、任意の相手に自分の思考や感情、またその温度感までも送受信することを可能にした。 今ではエモーションシグナルでのコミュニケーションが当たり前になり、2月14日のような恋愛イベントでは様々なカップル誕生に貢献していた。 バレンタインといえば『手作りチョコ』 そんな時代もあったらしいが、2070年になった今、カレンダーにはデジタルバレンタイン

        三日月ファストパス #毎週ショートショートnote

          デジタルバレンタイン (OMOI) #毎週ショートショートnote

          「博士、ついに完成しましたね!」 「そうだな助手君!このメガネ型デバイス(OMOI)さえあれば、バレンタインで男性が抱えるモヤモヤを解消してくれること間違いない。ついにデジタルバレンタインの幕開けだ」 「もらったチョコの潜糖力(愛情指数)をはかって、義理チョコと偽った本命チョコを見つける事ができるなんて画期的すぎますよ!」 「恥ずかしくて、本当の気持ちを伝える事ができない女性もたくさんいる。そんな女性の味方にだってなってくれるだろう。」 「すばらしいです博士

          デジタルバレンタイン (OMOI) #毎週ショートショートnote

          短編小説 「酒場 桃太郎」

          とある村の小さな酒場に、カウンター席で仲良さそうに話をしている二人組がいました。 「なんだ赤鬼君、もう酔ったのかい?」 「そうそう…って俺は元から赤いんだよ!!」 お決まりのギャグを済ませてケラケラと笑いあう二人。 「だけど、赤鬼君とこんなに仲良くなれるなんて思わなかったなぁ」 そういうと、 グラスに注がれたウイスキーを桃太郎はゆっくりと口へ運んだ。 「そうだな…でも鬼ヶ島の入り口で、出てこーい!って勇ましく叫んでいる桃を見たときはビックリしたぜ」

          短編小説 「酒場 桃太郎」

          短編小説 「500円の魔法」

          「はぁ、今月まだ5日もあるわ…食費に使えるのは、あと500円だけ」 家計簿と1枚の少し錆びれたニッケルを見てため息をつく34歳の主婦アヤコ。 6歳の息子ケイタは、母のそんな様子を襖の影からこっそりと覗いていた。 (ママ、500円玉を見てため息つくなんてどうしたんだろう…) 話しかけにくい空気を感じ、一人部屋へ戻るケイタ。そして、机の奥に大事にしまってあった500円玉を取り出した。 「どうして僕のママは君を見て悲しい顔をしているの?」 そうつぶやくと…

          短編小説 「500円の魔法」

          短編小説「みかんの皮」

          ある寒い日の夜。暖かいおうちの中で、ポツンと寂しそうに1つのみかんの皮が落ちていました。 こたつ布団の隙間に紛れ、捨てられることさえ忘れられた皮… 周囲では、住人であるお父さんやお母さん、それに5歳くらいの男の子でしょうか。仲良く楽しそうに話している声が聞こえます。 そんな声を寂しそうに聞くミカンの皮。 (楽しそうだなぁ…僕もみんなとお話ししたいよ…) 確かにそこにあるのに忘れ去られた、そんな存在。 次の日、掃除機の音で目が覚めたミカンの皮は少しホッ

          短編小説「みかんの皮」