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芸人時代、楽屋泥棒の被害に遭った話


とあるライブの日。

いつもの様に元気に声を出し舞台に出る。

僕の他にも30人くらいの若手芸人が
一緒のステージの上で、
真面目に不真面目な事をして
俺が1番おもしろいんだとばかりに騒ぐ。

若手とは言え平均年齢は
26.7歳くらいなので世間一般からすると
良い大人である。

お客さんが笑ってるのか
芸人の笑い声なのかは分からないが
ライブは大盛り上がりして舞台の幕が閉じる。

お疲れ様でした。と言いながら
楽屋に全員が戻り

僕はそのまま舞台衣装から
私服に着替得ようと思い、
カバンの上に投げ捨てた様に置いた
上着を手にした。

あれ?

いつも財布はカバンの奥に入れてるのに

なぜかカバンの上に置いてある。

何か嫌な予感がし、
財布の中身を見ると財布の中身が空っぽである。

3万円は確かにあった。

いつもはそんな大金は入れてないが
その日に限って入れてあったのだ。

僕は少し困惑したが
すぐに盗まれたと気付いた。


ただこの楽屋は
芸人仲間とスタッフの人しか入れない。

芸人仲間は苦楽を共にし
変な奴らだが同じ夢を追ってる大好きな奴らだ。

スタッフさんも
こんな売れてない社会不適合者の
集団の僕たちを、おもしろい!
と支えてくれるパートナー。

誰も疑いたくはない。


ただ、3万円は簡単に諦められる金額でもない。


僕は仕方が無しに
スタッフさんのいる事務所に行き
事情を話した。

するとスタッフさんは
すぐに楽屋の防犯カメラを見ようと言い

事務所のスタッフ5人と僕で
体を密着させながら小さいモニターを覗いた。



ライブの開演前は
演者の芸人が楽屋でワイワイしている。

誰かと誰かが喧嘩する様なノリが始まり
仲裁に入った奴がボコボコにされて
パンツ一丁にされて皆んなでツッコむ。


とても楽しい風景であるが
僕は全く笑えない。

この中に泥棒がいる。

そのまま1.5倍速くらいで見ていくが
ライブが始まると楽屋は空になる。


演者は全員舞台上にいるから
これで芸人仲間ではないな。

と、安心感に包まれたその時

僕のカバン周辺をゴソゴソとしてる人影がある。

「あ!こいつじゃないか!」

なぜか嬉しそうに叫ぶスタッフ

ただ監視カメラも
安物だから画質がとにかく粗い。

ガラケーのワンセグくらい
映像としては最悪だ。


こんな粗い映像だが
これだけは分かってしまった。



映ってるのは僕が可愛がっている
後輩芸人だ。


嘘だろ、、

スタッフの皆も
唖然としている。


ただ画質が粗すぎて
盗ったかまでは分からない。


皆んなでどうするかと相談したが

決定的な証拠もないから
諦めざるを得なかった。


僕はモヤモヤきた気持ちを抱えたまま
帰ることになった。


家に帰ってもモヤモヤは取れず
その時にお世話になっていた先輩芸人から

ご飯を誘って貰った。

ご飯を食べさせて貰ってる時に

「これ絶対に誰にも言わないでください」と

今日あったことを全て話した。

先輩芸人は怒り狂った。

決定的な証拠は無いと言ったのに
泥棒確定の様に怒っている。


僕としては嬉しい気持ちもあるが
何か不安な気持ちもあった。


次の日またライブの予定があったので
いつもの劇場の楽屋に行くと


そのカメラに映っていた後輩がいた。


ちょっと気まずいなと思いながらも
普通に挨拶をした。


「おはよー!」

すると後輩は僕に

「おはようございます。
 話あるんですけどいいすか?」

なんかちょっとキレている。

僕は少し困惑しながら了承すると

「俺、財布盗んで無いっすよ。証拠ないんすよね?まじで変な噂流さんといてください。」


そう、僕が相談した先輩が
各所方面に言いふらしていたのだ。


それが色々尾ヒレが付いて
本人の耳にまで達したのだ。


たった一晩の間に。


確かに証拠も無いので
相手は後輩であるが焦ってとりあえず謝った。


「とりあえず僕が犯人じゃないとTwitterで書いてください。」


めちゃくちゃキレてる。

ただ正直な気持ち
お前以外あり得ない。

僕はそう思っていた。

上下関係が厳しい吉本で
先輩にそんな口を利き
おまけにTwitterで謝罪させるなんて
あり得ない。

僕は腹が立ち言ってやった。




「ごめん、ちゃんと今日中には書くわ」



僕はビビったのだ。


なぜならその後輩は
柔道の黒帯を持っていてガタイもゴリゴリ。


対オスとして向かって来られたら
ひとたまりもない。

プライドも全て捨て
僕はその日にTwitterに投稿した。



僕が証拠も無いのに
楽屋泥棒という噂を流した事。


それに対しての謝罪

屈辱である。


リプライでは
その後輩のファン達から袋叩き。

「くそみたいな先輩だな」
「〇〇さんが可哀想」


悔しいが確かに
根拠もなく噂になってしまった原因は僕にある。


僕は歯を食いしばりながら
コトが収束するのを待った。


すると次は芸人仲間の間で

僕が自作自演をしているという噂が流れた。


どうやら、
盗まれてないのに盗まれてたと騒いで
注目を浴びようしてると。


勘弁してくれ。


3万円盗られて
後輩に謝罪のツイートをさせられ
ボロクソにファン達に叩かれ

おまけに仲間達からも
意味の分からない噂を流されて
やばい奴扱い。


さすがにこれはへこんだ。


何を信じれば良いのか分からなくなった。

ただ、その後輩も
こういう気持ちだったのかとも思った。

根拠も身に覚えの無い噂で
叩かれる悲しさと寂しさ。


僕は本当に申し訳ない事をしたと、
後輩に改めて電話をし謝罪をした。


後輩はさすがにこの状況の僕に
優しく許してくれた。


僕は何度も、
「ごめん」と「ありがとう」を伝えた。

後輩も笑いながら
「もういいですよ!でも信じてくださいね!
僕じゃありませんから!」

僕は
「分かった。本当に疑ってごめんな」

また謝った。

すると話題をズラそうとしてくれたのか
後輩が僕に言った。


「でも大丈夫やったんですか?
3万盗られて生活とか困ったりしたんじゃないですか?」



僕は一気に寒気が走った。
そして悲しみと怒りに包まれ
吐き気がして携帯を閉じた。


だって僕は誰にも
盗られた金額が
3万円とは言わなかったのだから。


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