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『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』のお料理

『街とその不確かな壁』は、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の高い壁に囲まれた街と同じような世界があります。『世界の終わり』は、壁の内側でお料理は、質素ですが『ハードボイルドワンダーランド』はお料理がたくさんあります。

老人の孫娘が作ったサンドウィッチ

キュウリとハムとチーズのサンドウィッチ

パンは新鮮ではりがあり、よく切れる清潔な包丁でカットされていた。マスタードは上物だったし、レタスはしっかりいていたし、マヨネーズも手づくりに近いものだった。これほどよくできたサンドウィッチを食べたのはひさしぶりだった。

サンドウィッチ用パン・キュウリ・フェンネル・セロリの葉・サワークリーム・白ワインビネガー・鶏ハム・チーズ
キュウリは薄くスライスし、塩、胡椒をふりワインビネガー、フェンネルに10分ぐらい漬ける。
パンの片方にバター、もう片方にはサワークリームを塗りキッチンペーパーで水分をきったキュウリをのせる。
ハムは作り置きの鶏ハム。セロリの葉。
チーズはカイワレ大根とマヨネーズ。

サワークリームとワインビネガーの酸味、フェンネルの爽やかさ。キュウリが一番のお気に入りだけど、鶏ハムも柔らかく、チーズとカイワレ大根のピリッとした感じもいい。

孫娘が作ったものと違うけど、美味しい。

図書館の女の子を待つあいだに『私』が作った簡単な夕食

梅干しをすりばちですりつぶして、それでサラダ・ドレッシングを作り、いわし油あげと山芋のフライをいくつか作り、セロリと牛肉の煮物を用意した。(中略)缶ビールを飲みながら、みょうがのおひたしを作り、いんげんのごま和えを作った。

いわしと油揚げと山芋のフライ

鰯・山芋・油揚げ
小麦粉・卵・パン粉で衣をつけます。

鰯は、梅干しと紫蘇。油揚げのフライははじめてだけどかりっとして美味しかった。鰯は、ふっくらできました。

セロリと牛肉の煮物

牛肉とセロリ

すき焼き風の甘辛さに、セロリの苦味、相性のいい組み合わせです。

みょうがのおひたたし・いんげんのごま和え・厚あげ

みょうがのおひたし
いんげんのごま和え
厚あげ

私はテーブルに料理を並べ、彼女がそれを片端からたいらげていくのを、感心して眺めていた。これぐらい熱心に食べてくれれば料理の作りがいがあるというものだ。(中略)厚あげを強火でさっと焼いておろししょうがをかけ、それをさかなにウィスキーを飲んだ。

図書館の女の子は、胃拡張でこのあと、ご飯と梅干しとわかめとねぎのみそ汁も食べ、フランクフルト・ソーセージを炒めたものと、ポテトサラダにわかめとツナをまぜたもの、チョコレート・ケーキも食べました。

世界の終わる日の朝、図書館の女の子の台所で作ったストラスブルグ・ソーセージのトマト煮込み

私は、鍋に湯をわかして冷蔵庫の中にあったトマトを湯むきし、にんにくとありあわせの野菜を刻んでトマト・ソースを作り、トマトピューレを加え、そこにストラスブルグ・ソーセージを入れてぐつぐつと煮込んだ。

じっくり煮込んだらできあがり。ソーセージが破れたけどそれも美味しそう。
煮込んでいるあいだに作ったキャベツとピーマンのサラダ。塩昆布とごま油で。

『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は、1985年に出版されているから村上春樹さんは、35,6歳。勢いがあって、音楽もお料理もたくさん!!80年代のあの感じ。わたしは、20代で傲慢で遊ぶことしか考えてなくって。この本を読んだときも、おもしろい!おしゃれ!食べたい!と思ったけど作りたい!とは思わなかったな。

小説の中のお料理を楽しめる今が好き。きっと村上春樹さんも今だから、『街とその不確かな壁』なんだろうな。

わたしは、今20代でないし、村上春樹さんも30代ではない。


『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は、ミュージシャン、歌手を含めて、音楽が50ぐらい流れてます。

モーツァルト、アイルランド民謡、マイルス・デイヴィス、ボブ・マリー、チャリー・パーカー‥‥。

『私』が晴海埠頭はるみふとうで聞いたボブ・ディラン。

風は、向かい風や追い風もあります。その時々によって立場によって答えは変わります。

答えは、ひとつでない。
答えは、わからない。

だけど、前に進む、しゃがれた声が語ってます。

参考文献

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