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アルテイシアさんに教わるフェミニズムを、男性と学びたい!

2月10日に発売されていたアルテイシアさんの新刊「ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法」をようやく読むことができました~!
今回もめちゃくちゃ面白かったです。

ご存じない方に向けて簡単に説明すると、アルテイシアさんとは数多くのフェミニズムエッセイを書かれている作家さんで、その語り口調は、まさに隣で話しかけてくださっているように軽やかで砕けていてとても読みやすい文体なのが特徴です。

「フェミニズム」というと正直嫌な印象や、固かったり、ヒステリックな印象を持っている方も多いかもしれませんが、年上の友人と話しているような感じで読めて、フェミニズム系の本の中でもかなりとっつきやすいですし、エッセイ本の中でも読みやすい部類だと思います。

ツイート内でも書かれていますが、フェミニズムに関する論争が巻き起こると必ずと言っていいほど「男だってつらいんだ!」という言葉を見かけます。
いやいやいやいや。
だったら男のつらさも一緒になくしましょうよ。
カギになってくるのは「ジェンダー」という呪い。
この呪いが、男女どちらにもかかっているのです。

実際、私自身はフェミニズムより先に男性学に出会った人間です。
男性学とは、男性の問題を考える学問です。
例えば、男性として生まれて「男だから泣くな!」とかいわゆる男だから強くあれ!!!みたいなことを言われて育った人は少なくないと思います。
そのため男性は弱さを吐き出すのが苦手で、逃げることに消極的、自殺率が女性と比較して高いと言われています。

でも「男だから逃げるな」なんて理屈が通ってないと思いませんか。
男と女、オギャーと生まれて、そこから「強くある人とそうでない人」、体の形で社会に規定されるのはおかしいのではないでしょうか。男性が弱くたって全然いいと思います。

また、男性が、逃げるのが困難だと考えてしまうのは社会的な構造のせいもあると思います。

例えば、家庭をもった際、女性が正規雇用で働き続けて子育てをする道はまだまだしっかりとはしていませんから、自動的に男性に負担がかかってしまいます。
でももし女性も働き続ける選択肢があれば、負担を分担できるかもしれません。であれば女性の社会進出は男性にとって他人事ではないはずです。それも、いい意味で。

こうして女性の問題と男性の問題はプラスの意味で表裏一体だと思うのですが、それについてはまだまだ理解されていない気がします。
しかしアルテイシアさんの「ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法」では、仮キャラとしてモブ男性が出てきて対話し、フェミニズムが男性にとってどのようなものか語られています。
一方的な語りではなく、対話なのがポイントです。

さらに本作では「僕の狂ったフェミ彼女」(ミン・ジヒョン著)についても触れられていたのも、大変うれしかったです。
(私も以前下記の記事で感想を投稿しました。めちゃくちゃうなずきまくりながら読めるフェミニズム小説です。個人的には結構イライラして、そこもリアルでした笑)

この節は全部がおもしろいのでぜひ読んでほしい…!
女性と男性、恐ろしいほどものの見え方が違うんだってことに、やっぱり打ちのめされるはず。

「僕の狂ったフェミ彼女」では主人公がフェミニストになってしまった自分の彼女を理解できず矯正させようとするのですが、この「ヘルジャパンを~」を渡して冷静に考えてほしいな、なんて思いました。

フェミニズム的な発言に過剰に反応する男性は、残念ながら多い印象ですが、男性にとっても肩の力を抜ける社会を一緒に作りましょう、という意味で、この本で一緒に勉強したいなと思う一冊です。ぜひ読んでみてください!


ここまで読んでくださってありがとうございます。

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