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選択制別姓について~日本以外では?


経済界も選択的夫婦別姓を後押ししているという記事を読みました。

私も日本にいるころからなぜ別姓じゃないんだろうと思っていたけど、早30年以上、日本はまだ何1つ変わっていません。


ドイツの場合は7択!

ドイツでは結婚の届け出のときに、その後の姓について決めます。

1.夫婦ともにそれぞれの姓のまま変更しない
2.夫が妻の姓になる
3.妻が夫の姓になる
4.夫が「夫-妻」のダブルネームにする
5.夫が「妻-夫」のダブルネームにする
6.妻が「夫-妻」のダブルネームにする
7.妻が「妻-夫」のダブルネームにする

うちの場合は7で、「Sato-Zuckermann」のようになっています。
(Zuckermannは砂糖とかけた架空の苗字!)
さらに、子どもについてはそのときに「夫の姓」か「妻の姓」かの二択しかありません。
我が家は夫のドイツ名にしました。
これは事前に決めておかないとならず、途中で変えられないと言われた記憶が・・・(上の子はこっち、下の子はこっちができない)
日本の二択よりはいいけど、それでも私は不満で、選択肢にはない「夫婦両名がダブルネームを選択する」があって、子どもたちもそう名乗れればいいのに!と思います。

ダブルネームの文化のない日本ではおかしいだろうけど、ドイツではよくあるので、「シュミット-ミュラー」みたいな名前を夫婦で名乗ればいいのです。

ちなみに日本の国籍はダブルネームを認めていないので、国籍ではやはり夫の姓や妻の姓を選びます。
私は自分の姓のままなので、変わっておらず、備考欄に夫の名前が書いてあります。
さらにパスポートは姓の欄に「Sato(Sato-Zuckermann)」というようにかっこがきされています。
(海外に住んでいて、各種証明ができる人はこのかっこ書きを申請可能。
たとえば、日本名は「譲-じょう」だと、日本のパスポートはヘボン式のJoかJohしか選べないけど、英語名がJoeなら、「Jo(Joe)」とできます)

日本人とドイツ人の国際結婚で見ると、私の世代はダブルネームが多いけど、もう5~10才以上の世代だと、ご主人の名前だけにしている人が多いです。
「シュミット花子」みたいなね。
多分、日本の国籍も苗字がカタカナになっているんでしょう。
嫁に行ったからには、みたいな古い概念に感じられます。
勝手な予測だけど、若い世代は自分の姓のままにしてる率が挙がってるんじゃないかなと思います。

私の周りはダブルネームが多いけど、旧姓保持で子どもと苗字が違う人、子どもを日本の苗字にした人、子どものセカンドネームに日本の苗字をつけた人などもいます。


別姓・ダブルネームの問題点

でも、別姓やダブルネームだと不便なこともあります。
1つ目は長いこと!w
名前を書くのに長いし、呼ばれるのも、「サトウツッカーマンさん」とちゃんと呼ばれればそれはそれで面倒くさいし、「ツッカーマンさん」と呼ばれると、「ちがうしー」と思います。
でも、自分ではレストランの予約で電話するときなんかは「Satoです」「へ?なんですか?」「Sa-To-U」「ザトーさんですか」みたいなやりとりをするのが面倒くさいので、ドイツ名だけを名乗ります。

でも、特に国際結婚なので旧姓だけ保持だともっと面倒なことが!
それはうちのようにドイツのパスポートしかとってない子どもと、母子で旅行をするとき、親の苗字は「Sato」、子どもは「Zuckermann」だと親子関係が証明されないこと。
もちろん、出生証明のコピーとかを持ち歩いていればいいだろうけど、いちいち連れ去りを疑われることになる!

そもそも国際結婚での子どもの連れ去りを禁止した「ハーグ条約」というのがあります。
国際児は二国の国籍を持っていることが多く、二国にとっての財産です。
それをどちらかの親が一方的に奪っていってはいけない、ということです。

例えば、日本とドイツの国際児で、ドイツ在住の場合、日本人の親が日本に連れていく場合、ドイツ人の親の承諾がなければ、条約違反になります。
ちゃんと見ている出入国審査だったら、ドイツを出国できない。
逆に日本在住の場合、ドイツ人の親が一方的にドイツに連れていこうとしても同じです。
それが一時的だろうが、離婚してのことだろうが、きちんと承諾書を見せたり、離婚後親権を100パーセント持ったことを証明できなくてはならないのです。

日本は大分抵抗して加盟してなかったんだけど、数年前に加盟したので、私だけが子どもを日本に連れて一時帰国するときは、夫の承諾書を持参しています。
まあなので、母親だけ別姓でも問題はないんだけど、あれやこれや面倒だからダブルネームだと、親子関係夫婦関係の証明が不要になるのは便利かな。
ただ上述したように日本のパスポートではかっこ書きなので、飛行機のチケットを取るときなど、かっこって何?!って感じに・・・
かっこ取ってほしい。。。

ちなみにドイツでは、ダブルネームの人同士が結婚するなどの場合、苗字は2つまでしか選べないことに数年前決まりました。
Sato-Zuckermannさんと、Salzmannさんが結婚してダブルネームを選択するとき、Sato-Zuckermannさんは、その3つの中から2つを選ぶことになります。
これは、長すぎる名前になるのを防ぐためだそうです。


スペインの場合~確定ダブルネーム!

子どもたちの同級生に結構よくいるスペイン系の人たち。
彼等は100パーセントダブルネームです。
夫Fernández-Garcíaさんと妻佐藤さんが結婚したら、子どもは「Fernández-Sato」と夫の第一姓、妻の第一姓の組み合わせのダブルネームになるそうです。
夫婦の苗字が使われているからいいじゃんと思ったけど、Fernández-Satoさんと、López-Suzukiさんの子どもなら、結局Fernández-Lópezさんになっちゃう。
つまり、父の名前だけが受け継がれていく!
男性社会の名残ですね。

そもそもスペイン語は「彼ら」(英語のthey)が、男の子だけならこれ、女の子だけならこう、でも、女の子の中に男の子が一人でも入ればなんとか、と娘が説明してたけど、言語も男性上位のようです。
ドイツ語では、彼らsieに性ははないけど、生徒と呼ぶときは、男子生徒なら
「Schuler」女子生徒なら「Schülerin」、男子生徒たちなら「Schüler」、女子生徒たちなら「Schülerinnen」、男女混合なら昔は「Schüler」(男子生徒たちと同じ)だったけど、ちょっと前までは「Schüler und Schülerinnen」(レディースアンドジェントルマンみたいに)、最近は「Schüler*innen」「SchülerInnen」(Iを大文字にする)と表記し、ジェンダーを排しようとしはいます。
(だから娘は「スペイン語は遅れている!」と怒っていた)
その点日本語はジェンダーフリーだけどね!


ギリシャの場合~兄妹で違う苗字?!

娘のクラスにある日代講に、男の先生が来たそうです。
「アルキメデスです」(正しくは忘れた)
と言われて、子どもたちが、
「自分たちの数学の先生の名前と似てる!
その女の先生は、アルキメデサですよ!」
というと、
「それは私の姉/妹です!」
って言われたそうな。

ギリシャでは、女性の苗字は父親の姓の属格を使うそうです。
例えていうなら、「佐藤」さんの息子は「佐藤」だけど、娘は「佐藤の」みたいな感じ。
鈴木さんと結婚して、夫の苗字になると、夫は「鈴木」で妻は「鈴木の」。
これまた古い時代の考え方ですね。

ギリシャだけでなく、スラブ系の習慣のようです。
ロシアでも「イワノフ「イワノワ」「ドストエフスキー」「ドストエフスカヤ」などがあるそう。


インドの場合

これまたそこそこいる娘たちの同級生の話を聞くと、インドではお父さんの名前(ファーストネーム)が子どもの苗字になるんですって!
まあ、インドも広くて、色々な民族がいるので一概には言えないかもしれないけど。

「佐藤太郎」さんの子どもは「太郎次郎」さん。
その人の子どもは「次郎三郎」さん、という具合。
今調べたら、「佐藤太郎」さんの娘、花子さんは「太郎花子」さん。
もし「鈴木四郎」さんと結婚したら、「四郎花子」さんになるみたい。
まあ、これも所有を示す考え方ですね。


中国・韓国の場合

選択制じゃなく、完全別姓ですね。
ベトナムもそうだった気がする。
私はそれが一番いいと思います。

選択制別姓に反対する人の理由に、苗字が違うと家族として連帯感がないみたいなことをいう人がいるけど、じゃあそういう国は家族としての連帯感が一切ないのか?!
そんな記号1つのことで何1つ変わらないでしょう。
もし自分は大きな影響を受けるというなら、自分は選択しなければいい。
でも、他の人の選択にケチをつけるなと思います。


結婚制度とは

日本がようやく別姓が俎上にのるかのらないかってときに、そもそもヨーロッパでは、結婚自体が減ってきています。

ドイツでは、1991年の約45万組から2007年には約37万組に減少。
2022年には約39万組に増加してるけど、これは2017年から同性婚が可能になったから。
39万組のうち、10,043組が同性婚。
そして、コロナの間に控えられていたのが、落ち着いて2022年に結婚が増えたのも要因のようです。
人口比でいうと、1950年代初頭には人口1,000人当たり10組だったのが、2022年には5組弱となっているそう。

なお、日本の婚姻数は2021年で51万組。
戦後最低だそうです。
人口1.25億人とすれば、1000人当たり4組。
ドイツ以下だ・・・

結婚は減っているけど、離婚は増えています。
2022年には、約14万組が離婚しています。
最近離婚率は下がって、3割くらいのようだけど、一時は4割を超える離婚率だった様子。
離婚率が下がったのは、結婚しないカップルが増えたからかもw

ちなみに新生児は、1950年に111.6万人。
人口千人当たりでいうと、16人強。
10組が結婚して、16人生まれている。
2020年には、77万人強の出生で、これは9人強。
5組の結婚で、9人強。
つまり、結婚と出生の比率はむしろ高くなっています。
結婚しないで子どもを産み育てても、結婚しても同じだけの手当、権利を子どもたちが得られるからでしょう。

相手が外国人などで滞在許可などの問題があるなら別だけど、そうでないなら、結婚しなくてもいいですよね。

アメリカ合衆国中央情報局発表の「The World Factbook」によると、2023年推定の出生率は、日本が1.39、ドイツが1.58だそうです。
日本はドイツの1.5倍くらい人口はあるから、出生数は多いだろうけど率は低い。
まあ、ドイツもドイツ人カップルの出生数は減ってると思ますけどね。
(特に高学歴の頭いい人たちが子どもを残さな~い!!)

どこも政府は結婚制度だの、別姓だのという話以前に、出生数を上げる努力をすべきだと思います。

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