上手くいく作品の特徴とは〜受賞する小説のつくり方(7)
崖っぷち作家のニジマルカです。
「受賞する小説のつくり方」7回目です。
6回目はこちら。↓
前回のおさらい
前回は新規性について説明しました。
新規性を出すとは、
タイトルに入れられる新しいワードを出すこと
でしたね。
その具体的な方法として
まだ言語化されていない欲望や現象をワードにする
刺激語と定番パターンを組み合わせる
の2つをご紹介しました。
これで定番と新規性についてはだいたい説明したのですが、この2つのバランスについて、もう少し説明を加えておきましょう。
今回は「上手くいく作品の特徴」です。
上手くいく作品の形とは
上手くいく(読まれる・売れる)作品は、定番と新規性がバランスしている作品だということはもうおわかりだと思います。
ここで、理想的な作品の形について説明しておきましょう。
それはこんな形です。↓
ぜんぜんわからないと思いますが、こうするとなんとなくわかると思います。↓
上手くいく作品は槍の形をしている
作品とは武器です。
その武器を使って、編集者という敵を倒すのが新人賞ですね。
いずれは市場という戦場に出ますが、そこでも事情は同じです。
作品という武器を使って、読者という敵を倒すのが作家の任務と言えるでしょう。
ではその武器はどんな形をしているかというと、槍のような形だと考えるとわかりやすいです。
各部は図を見ればわかるとおり、
定番 :柄の部分
新規性:穂先の部分
のようになっています。
それぞれ説明していきましょう。
定番は柄の部分
定番とは「読者が好きな物語のパターン」のことです。
ここは槍の柄の部分にあたります。
柄がしっかりしていない槍では、敵を倒すことができません。
がっちりと柄を掴むことで、穂先が敵に届くのですね。
そして重要なのは、柄の部分が穂先より長いことです。
柄の部分が短いと、ただのナイフになってしまいます。
すると、敵に接近しなければならず、危険性が増すのです。
それは賢い戦い方ではありません。
つまりどういうことかというと、作品を作るときは、定番の割合を多くすべきだということです。
割合で言えば、定番:新規性=2:1くらいで考えておくといいでしょう。
定番の割合を多くしないと、穂先を敵に当てることができません。
新規性は穂先の部分
一方、新規性とは「今までなかった」という性質のことです。
これは穂先の部分に当たります。
攻撃力があるのは、この穂先の部分です。
つまり、作品の攻撃力は新規性にあるわけですね。
穂先は、強固で鋭くなければなりません。
実際に敵に当たるのは穂先の部分だからです。
ですが、だからといって穂先を大きくしすぎれば、かえって戦いにくくなります。
たとえば斧のような武器で戦うのは、かなり難しいことがわかるでしょう。
そういった特殊な武器は、素人に扱えるものではありません。
ですから、槍のように長い柄と穂先を持った武器が理想なのです。
定番だけでも、新規性だけでも戦えない
柄の部分だけでも、穂先の部分だけでも、戦うのは難しいです。
穂先(新規性)だけで戦おうと思っても、掴んだ途端に自分の手が傷ついてしまいます。
新規性だけで戦うことはできないと知っておきましょう。
では柄(定番)の部分はどうでしょうか?
柄の部分は要するに棒ですから、実はある程度の攻撃力があります。
棒でタコ殴りにすれば、敵に勝てる可能性はありますよね。
つまり、定番か新規性かどちら一方でしか戦えないなら、迷わず定番だけで戦った方がいいということです。
とはいえ、棒だけで戦うのは素人では難しいことも理解しておきましょう。
達人ならいざしらず、敵が鎧を着ていれば、棒はすぐに役に立たなくなります。
ですから、素人は、柄だけでも、穂先だけでも、戦うことはほぼできず、結局、槍の形にしなければ勝負できないのです。
新人賞での武器は
前回の記事で、新人賞はかなり新しめの作品でも戦えると説明しました。
その場合の武器(作品)はこんな感じになります。↓
柄(定番)はしっかりしたものを使い、穂先(新規性)の部分だけ、今までなかった得体のしれないもので勝負するということです。
戦場でこんな武器を出されたら、敵は困惑するでしょう。
その隙にタコ殴りにする戦法です。
実は私はこれに近い戦法で受賞しました。
市場ではまったく売れませんでしたが、珍しい武器でビビらせる戦法は実績もあるので心に留めておくといいですね。
今回のまとめ
受賞する小説のつくり方7回目「上手くいく作品の特徴」でした。
上手くいく作品は槍の形をしている
柄の部分は定番、穂先の部分は新規性
定番と新規性の割合は2:1くらいを目安にする
定番だけでも新規性だけでも戦えない
どちらかで戦うなら迷わず定番で戦う
新人賞ではかなりの新規性が許されるので、穂先の部分だけ珍しいものに変える
次回は「総合まとめ」の予定です。
それではまたくまー。
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