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読点の打ち方を再チェック〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「読点の打ち方」です。


読点をどこに打つべきか

ご存じのとおり、読点とは「、」のことです。

読点をどこに打つべきかというのは、けっこう難しい問題です。

多くの人がなんとなく手癖で打っているのではないでしょうか。

自分も人のことは言えませんので、この機会に見直してみることにします。

文章を書くときの基本的な考え方は「それが読者の利益になるかどうか」です。

読点の場合も、点を打つことで、読みやすく、わかりやすくなるかどうかが基準になります。

読点の常識的なルールを確認しておきましょう。


常識的なルール

改めて自分がどう読点を打っているか考えてみましたが、大きく4つに分けられそうです。

1.意味がわかりにくい場合
2.見た目が読みにくい場合
3.文の接続部
4.そのほか

それぞれ見ていきましょう。


1.意味がわかりにくい場合

複数の長い修飾語、長い主語、誤解を招きそうな部分は打つべきです。

【長い修飾語】
✕ 昨年から働き始めた父親譲りの頑固さを持つ青年は常に寡黙だった。
○ 昨年から働き始めた、父親譲りの頑固さを持つ青年は、常に寡黙だった。
【長い主語】
✕ 自分より頭の良い人間の言葉しか聞かない私が彼のような落伍者の話を聞くわけがない。
○ 自分より頭の良い人間の言葉しか聞かない私が、彼のような落伍者の話を聞くわけがない。

(↑こういう場合は文を分けると思いますが、一文で書きたいときもあるでしょう)

【誤解を招く表現】
✕ 彼は慌てて帰った彼女の後を追った。
○ 彼は、慌てて帰った彼女の後を追った。
(慌てているのが誰なのかはっきりさせる)


2.見た目が読みにくい場合

見た目が読みにくい場合は簡単です。

主に

・ひらがなが続くとき
・漢字が続くとき
・要素が並列するとき

です。

たとえば、

【ひらがな続き】
そのときその子が思ったのはこういうことだった。
  ↓
そのとき、その子が思ったのは、こういうことだった。
そのとき、その子が思ったのはこういうことだった。(これでも良さそう)
【漢字続き】
その瞬間彼は怒り出した。
  ↓
その瞬間、彼は怒り出した。
【並列】
彼はナイフとロープスコップタオルを車に積み込んだ。
  ↓
彼はナイフとロープ、スコップ、タオルを車に積み込んだ。

などですね。


3.文の接続部

順接や逆接、原因と結果、対比などの論理構造がある場合は、そこに読点を打ちます。
(ですから、重文はだいたい打っていいと思います)

・川の側まで歩いたところで、彼はタバコに火をつけた。
・彼女は生意気だったが、そんなところも彼は気に入っていた。
・全力で走ってきたようで、彼は荒い息を吐いていた。
・目覚めると、私は見知らぬ場所にいた。
・兄と比べ、弟には常識はずれなところがあった。


接続詞の後も打っていいと思いますが、打たなくても問題ないことも多いです。

・しかし、彼は断った。
・だからこそ、彼女は強く願った。
・なぜなら、彼はそういう男だからだ。


4.そのほか

感嘆詞や呼びかけの後、強調したいときなども打ちます。

・おお、死んでしまうとは何事だ。
・ねえ、これ知ってる?
・彼女は同意した。でも、私は、そうは思わない。


ほかにも読点を打つ場面があると思いますが、あとは本やネットで調べてみてください。


ページの見た目で調整する

ところで、別の視点として、私はページの見た目で読点を調整する場合があります。

最終稿に近くなると、どこかの時点で組版が行われます。

組版というのは、出版形態に合わせて原稿の体裁を整えることです。

組版すると、読点というのは意外に間延びして見えるものです。

隙間が開きすぎる印象になるのですね。


私はわりと読点を打ってしまう方なので、組版すると読点が目立ちます。

ですので、打たなくてもあまり問題なさそうな読点は、そのとき極力取るようにしています。

特に、短い主語に読点はおそらく不要です。

また、ひらがな続き、漢字続きも、場合によっては読点がなくても問題ないですね。

結論として、読点を打つ指針はこんな感じで考えておけばよさそうです。

1.誤解されそうなところは必ず打つ
2.読みにくいところは適宜打つ
3.それ以外は打たない

このルールからすると私はちょっと打ちすぎです。

みなさんはどうでしたか。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「読点の打ち方」でした。

1.基本は「読者にわかりやすく、読みやすくするために打つ」
2.
常識的なルールを知っておく
3.ページの見た目で調整するのもあり
4.必ず打つものと適宜打つもの以外は打たない

打ちすぎても文章がうっとおしくなるので、やはり最小限打つのがいいのでしょう。

それではまたくまー。



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