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昭和のお盆

この時期、盆棚が仏間の押し入れの上、袋棚からおろされます。
八月になるとご先祖様を迎える準備はこまごまと準備されます。

大きな蓮の花がいつもの仏花に加わってその桃色のつぼみが何とも仏様の世界を我が家にもと言った感じで特別であることが幼心にも感じました。

「魂を迎える」とは亡くなった祖父たちが幽霊になって帰ってくるのかと少々怖かったですが、それを何の疑いもなく話すおとなたちに不思議を感じました。

お昼から準備で忙しい祖母や母は年に一度のことなのに毎日の習慣のように手際よく動いていました。

父たちが日ごろは届かない電球や、欄間の辺りまで拭き掃除。
丁寧にお迎えする様子を遠巻ながら見ていました。

呼ばれたので台所に行くと大きななすびと長くて立派なキュウリ。そこに半分に切った割りばしが二膳。野菜を馬と牛に見立ててその割りばしで足を作るように言われました。

どちらが馬で牛かは知らされません。形から想像はできますが、叔母さんに教えてもらった「ご先祖様、早く帰ってきてください!馬に乗って。ゆっくりお帰り下さい。牛に揺られて。」と言う言葉がヒントになりました。

「そんなことを思いながら作った二体は何だか目や口までもあるように見えて…。

近所のおじさんがたくさんほおずきをくださいました。オレンジ色と言うよりはミカン色?

そうそう、「ヤッパリゴゼンゾサマモソウメンヲタベサセラレルンダ」と毎日のお昼ごはんで飽きていたこともあって思ったものです。

他には好きだったお菓子や果物、桃やりんご、葡萄にメロン。スイカは小玉。所狭しと供えられます。

両側には盆提灯。クルクルと中で回転して走馬灯。蓮の花が流れていきます。

お盆は今を生きる家族にとっても大切な儀式であった昭和の時代。
今はそれほどのことはできませんが、家族が元気で笑っている毎日を感謝する日でもあるようです。

夜はみんなで食事。会話の中に星になったご先祖様の話が出てくればそれが一番の供養のような気がします。

美味しそうにビールを呑む息子と主人が重なって、もうこんなおじさんになったんだ―とは私の独り言。この夏は転勤で引っ越しをした娘一家の帰省はおあずけになりましたが、新しい町を探検?して早くも馴染んでいる三人の動画が送られてきました。

厄年で逝った主人の分も二人の息子!に託したい。何を?と聞かれても答えはありません。今あることで親孝行ということでしょう。

今日もいい日にしましょう!


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