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日建設計・設備フォーラムから生まれたアイデア④「オフィス×あえて作らない」

社会ストックをどう活かす?

高根澤 武
日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ
アソシエイト

「働き方の変化」と「地域の実態」

COVID-19の蔓延で「働く場所」の概念が一変しました。ワーカーが都市の中心部へ集中するという従来の考え方から、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務など、場所を限定しない柔軟な考え方に変わりました。この変化は、プライベートを含めた個人のライフスタイルを見つめ直すきっかけとなり、より住環境の良い「地方」への移住を希望する人が増えています。
一方、各地域の中核を担ってきた「商店街」の実態はどうでしょう。全国的にも空き店舗率は増加しており、衰退の様子が見て取れます。
「中央に集中しない働き方」と「空き店舗が目立つ商店街」。何か可能性を感じませんか?

商店街を含む地域全体の成長へ

商店街の空き店舗をオフィスとしてコンバージョンすることを提案します。利用者を増やすことができたら、商店街に活気を取り戻せます。元々営業している八百屋、惣菜店などに加え、オフィスワーカーをターゲットとしたカフェ、お弁当屋なども賑わいます。さらに、老人ホーム・託児所などの新規業種を呼び込むことで、それぞれのワークライフバランスに合った素敵な職住環境を提供できます。商店街には可能性があります!

ペルソナ① ― 共働きを始めた子育て中の女性 ―

ペルソナ② ― 介護が必要な両親がいるサラリーマン ―

アーケードの使い方も想像が膨らみます。イベント利用はもちろんのこと、オープンスペースとしてのオフィス利用も可能です。行き交う人によって横のつながりが増え、オフィスビルでは生まれなかった会社・世代を超えた新たなコミュニティの創出も期待できます。立地の面から考えても、商店街は駅の近くに位置していることが多く、地方においてアクセスしやすい場所となっています。
親の介護が必要な方や、自然の多い地方で子供を育てたいという方にとって、商店街オフィスは最適な働く環境になりえます。

エネルギーの地産地消 と レジリエンス性の向上

商店街のアーケード上部には、太陽光パネルを設置する十分なスペースがあります。加えて、蓄電池設備を活用することで、エネルギーの地産地消、電力の平準化が可能となります。災害時には避難場所・地域再興の拠点となり、地域のレジリエンス性向上にも寄与することができます。

商店街への期待

「縦」のオフィスビルから「横」の商店街へ。
住環境に近く、様々な店舗がある商店街にオフィスをミックスすることで、現代に合った「働く場所」を提供することができそうです。また、地方に労働世代を留める・呼び込むことができれば、地方活性化に貢献し、更には人の移動に使われるエネルギー・CO2を削減することにもつながるため、地球環境問題への対策としても期待できます。


高根澤 武
日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ
アソシエイト
2009年日建設計入社。事務所、工場、学校、研究所などの電気設備設計を担当。プロジェクトごとの特性の見極めに注力し、意匠・構造・設備の垣根のないデザインを目指している。
主な担当プロジェクト:ダイヤゲート池袋、小学館ビル、荒川ビル、アクティオホールディングス統括工場など。



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